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今年デビュー20周年を迎えたCHEMISTRYが、20周年を記念し10月27日〜12月8日にかけて代表曲の数々をリメイクし配信リリース。リメイクされた楽曲は「PIECES OF A DREAM feat. mabanua」、「Point of No Return feat.関口シンゴ」、「You Go Your Way feat.Shingo Suzuki」、「君をさがしてた feat. Michael Kaneko,Hiro-a-key」、「My Gift to You feat.Kan Sano,Hiro-a-key」という誰もが知る楽曲を2020年代のサウンドにアップデート。トータルプロデュースは松尾潔、アレンジは気鋭のクリエーター集団であるorigami PRODUCTIONS(オリガミ・プロダクションズ)が担当した。インタビューでは、5曲をリメイクして感じたことや、歌詞の捉え方の変化、2人がお互いに聞いてみたいことなど、話を聞いた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】
ライブ前のルーティン
――全国ツアー「CHEMISTRY 20th anniversary TOUR~第三章~『This is CHEMISTRY』」の手応えはいかがですか。(※取材日は10月下旬)
川畑要 意外な曲も歌っているので、ファンの方からは“神セットリスト”といってもらえています。今回はMCも少なめで20周年なので20曲を歌うことにして。今回はツアーも第三章というのもあって、歌を届けようという方向になって。
堂珍嘉邦 自然とそういう感じになっていきました。今回リメイクしたバージョンでも披露しています。
――この20年間でライブに臨むまでの準備や姿勢というのは変化した部分も?
堂珍嘉邦 今はライブのリハもやり方が変わってきたと感じています。今回は7本なのでそんなに多くはないのですが、30本くらいやっていた時は1カ月くらいリハをやっていたと思うんですけど。
川畑要 ツアーが始まるとずっと出ずっぱりでしたから。
――そういえば、CHEMISTRYは47都道府県ツアーはまだやったことはないですよね?
川畑要 やっていないですね。確か最高でも38本くらい?
堂珍嘉邦 たぶんそれくらい。なので、行ったことがない場所には行きたいですね。
川畑要 ツアーをやっている最中も移動が多いので、いま自分がどこにいるかもわかってないときもあって(笑)。
――それぐらいハードなんですね。お二人はライブ前日、当日はどんな事をして過ごしているんですか。
堂珍嘉邦 前日はなるべく普段通りにする事を心掛けています。しっかり睡眠を取ることだったり。
川畑要 僕は朝起きたらトイレ掃除をします。水回りを綺麗にする、ここ数年のルーティンですね。まあこれは東京にいる時にしか出来ないんですけど。
堂珍嘉邦 それでいうと、自分もけっこう掃除してますね。やっぱりスッキリした気持ちでライブに臨みたいですし、家に帰ってきた時に気持ち良いですから。
――気分良く歌うためには重要かも知れないですね。さて、今回アニバーサリープロジェクトとして5曲がリメイクされましたが、この5曲が選ばれた経緯は?
川畑要 ファンの方はもちろんなんですけど、僕らをよく知らない方でも、曲自体はどこかで聴いたことがある、CHEMISTRYの代表曲といえる曲を選びました。
堂珍嘉邦 リメイクするなら、この曲だよねという5曲です。
川畑要 origami PRODUCTIONSさんにアレンジしていただいたのはプロデューサーの松尾(潔)さんの提案で。松尾さんはいつもアンテナを張っている方なので、origami PRODUCTIONSさんの中でも、この曲はこの人がいいとかあったみたいで。その選ぶセンスは僕らもすごく勉強になりました。
――その中でも特に印象的だったアレンジは?
川畑要 どれもすごく印象的でしたが、敢えて上げるなら「PIECES OF A DREAM feat. mabanua」です。松尾さんが「これはブギーだ」とずっと言っていたのが印象的で。あと、僕はこういったグルーヴの曲が好きなのもあって、ライブのイメージが見えるアレンジだと思いました。第三章『This is CHEMISTRY』のツアーはバンドとのセッションになると思っていましたし、この曲を歌うことも決まっていたので、自分がそこで歌っている姿が想像出来ました。
――堂珍さんはどんな想いでこのリメイクに臨みましたか。
堂珍嘉邦 ただのリメイクにはしたくなかったんです。この20年で積み重ねてきた自分たちの声をアップデート出来る良い機会だったので、やりがいがありました。フィーチャリングした方々とボーカルディレクションも一緒にやったので、その作業もすごく楽しめました。初めてのことだったのでそれもすごく面白くて。リアレンジして下さった人のイメージと、ボーカルの温度感、自分が出来るか出来ないかというところ、やってみたいことを取捨選択しながら決めていくことも楽しかったセッションでした。
川畑要 一つひとつディスカッションしてね。
――ディレクションで印象的だったことはありますか。
川畑要 Michael KanekoさんとHiro-a-keyさんはシンガーでご自身も歌われるので、ボーカリストならではのディレクションというのが面白かった。「君をさがしてた feat. Michael Kaneko, Hiro-a-key 」のサビのフレーズが少し変わっているんですけど、それはKanekoさんがデモで歌ったフレーズからでした。僕はそれを聴いて面白いなと思い、自分もアプローチしてみたいと思いました。アレンジャーがトラックメイカーとボーカリストでは、ディレクションはけっこう変わるなと思いました。
堂珍嘉邦 origami PRODUCTIONSさんとは、こういう企画でもないとなかなか交わらない方々なのかなと思います。その方達がCHEMISTRYの曲をアレンジするとどういう化学反応が起きるんだろう? というの楽しみがすごくあって。あと、今時なのかなと思うんですけど、今回どの曲が何番目にリリースされるのかもみんな知らないままセッションが進んでいくというのも面白かったですね。
――改めてこの曲たちの凄さみたいなのを感じる瞬間も?
川畑要 僕らが「PIECES OF A DREAM」で始まったというのもありますし、その時代にハマったパワーと言いますか、その凄みは感じます。そこに自分たちがいたこと、この曲が今も残っているパワーです。タイトルは知らなくても「Point of No Return」のサビの歌詞<夏草が流れてく>というワードだけ覚えている人もいると思いますし、今回の新しいバージョンから入ってそこで最後まで聴かれる人もいるかと思うと面白いですよね。
――20年前の曲だと、今の20歳の方々はリアルタイムで体験していないので、ここから振り返って聴く方も絶対いますよね。
川畑要 親子でカラオケに行って、子どもが今回のバージョンを歌って、親がオリジナルバージョンを歌うこともありえますからね。子どもはオリジナルを聴いて「そのバージョン何?」みたいな(笑)。
僕ら以外の声が入ることで曲の人格が変わる
――ところで、これらの曲はライブでは歌っているので久しぶりという感覚ではないと思うのですが、リアレンジされたことで新たな発見はあったりするのでしょうか。
堂珍嘉邦 サウンドが変わることで、例えば恋愛の曲だったら重さが軽くなったり、僕らも年齢を重ねてきたことで、当時とは思い描いていた人も変わってきたのかなと感じていて。曲の顔が変わってくるといいますか、それに対してシンプルに向き合うこともあったり、素直にそのサウンドに乗ってみたり。僕の場合は敢えてアンニュイな雰囲気を出してみようとか、そういった発見はありました。
――デビュー当時は20代前半だったお2人が歌うという意味では、結構大人びた歌詞が多かったと思うんです。ご自身の中で歌詞の捉え方が変わった瞬間はいつ頃?
川畑要 確かに背伸びして歌っているような感覚はあったと思います。でも、これはいつのまにか自然と捉え方が変わってきたので、タイミングというのは難しいですね。ライブで歌った時にこの言葉が残るな、とか毎回感じるところが違ったりして。その時によって自分の中で響く言葉が違って、自分に訴えかけている時もあれば、相手に訴えかけていたり。
堂珍嘉邦 「My Gift to You」の<大人になり 夢にはぐれて 戸惑う僕の前に 君が立っていた>という歌詞は、CHEMISTRYが10周年、僕が30代の時に捉え方が変わったのを覚えています。20代の時は夢に“はぐれた側”だったんですけど、それが“大人”の方に切り替わった感じがしました。それは、歌っていて面白いなと思いました。
川畑要 今回、「You Go Your Way」を今の自分で歌い直してみて、改めてあの時は20代の恋愛観だったんだなと思いました。好き、振られた、辛いという極端な感情しか持っていなかった自分が、今は思い出を振り返りながら歌えているなと実感しています。最後の<いつもの笑顔で>というところもこれまでは伸ばさずに止まることで切なく感じるんですけど、今回の浮遊している、余裕のある感じがすごく気に入っています。懐かしんで軽く微笑んでいるようなイメージです。
――今回、Michael KanekoさんとHiro-a-keyさんもコーラスで参加されていますが、第3者が入るのは珍しいですよね?
川畑要 過去に和田昌哉さんに入っていただいたことはありましたけど、確かにそんなに多くはない事です。僕ら2人だけの声で全てを表現することはずっとやってきましたし、今回リメイクなので固定観念を外して考えたかったんです。コーラスを入れたい、と言っていただいて、それによって曲の世界が広がるというのは本当にありがたいことでした。
堂珍嘉邦 僕ら以外の声が入ることで曲の人格が変わるんですよね。コーラスのレコーディングは最後まで見届けることが出来なかったので、僕としてもどんな風に聴こえるのか楽しみでした。ちょっと隙間をあけてくれると言いますか、新しい風が吹いてきたような感覚がありました。
――私も聴いていてまた違った世界観があって興味深かったです。最後に20年を経てお2人がお互いに聞いてみたいことってありますか。
川畑要 めちゃくちゃ難しい質問じゃないですか(笑)。20年を経てか...。
堂珍嘉邦 これ、記事として書ける方が良いですよね?
川畑要 書けない質問とかあるの(笑)。
堂珍嘉邦 無難なところで言うと「YouTubeチャンネルやっていてどう?」というのが聞きたいことかな。
川畑要 うわっ、すごくいい逃げの質問が来た!
堂珍嘉邦 いやいや、逃げじゃないから(笑)。
川畑要 YouTube楽しいですよ。自由にやらせてもらっているので。じゃあ僕からは先に43歳になりますけど、どんな気持ちですか。(※堂珍の誕生日は11月17日。川畑は1月28日)
堂珍嘉邦 43歳というのは意識はしていないけど今、「人生100年時代」と言うじゃないですか。その波に乗ってみたいと思っていて。僕が70歳くらいの時に不老不死の薬とか出来ないかなと期待しているところもあります。
川畑要 あー、長く生きたいタイプね。
堂珍嘉邦 出来れば135歳くらいまで生きたい。
川畑要 そんなに生きて何を残したいのよ。
堂珍嘉邦 死んだら終わり、生まれ変わりとか信じていないタイプだから、この一回切りの人生を少しでも長く楽しみたいと思っていて。やりたい事が沢山あるんだよね。
――川畑さんは人生で残したいものは?
川畑要 何を残すというかよりも、今をやり切れるかですね。今が未来を作る。今がなければ未来はないですから。今やっていることもそうですし、自分の可能性をずっと信じています。
(おわり)
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