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佐竹桃華が、舞台『ゆらり2021』で主演を務める。昨年開催の『ホリプロタレントスカウトキャラバン』で特別賞を受賞。今年6月上演の初舞台『天神夢双』で初主演を務め、本作で2作目の舞台での主演を飾る。幼少期からバレエで培った表現力で主人公・高崎凛香を生き抜く。【取材・撮影=木村武雄】
自身の性格は「明るくて、よく笑うんですけど、根は暗いんです」と笑う。
気持ちが折れそうになった時は、「普段の生活で、やりたいことをやるように本能的に過ごすと解消できます」
大食いでも知られ、先日出演したテレビ番組では「全部食べられなかった」としながらも、親子丼など総重量3.5キロあるメニューを2.5キロも平らげた。「出演して以来、SNSのフォロワーが増えて嬉しいです」とにっこり。
焼肉やデザートは活力にもなる。特にアイスは「頑張った時のご褒美でちょっぴり高いアイスを食べて癒されています」。大食いの彼女だが、アイスは量よりも質を選ぶ。
昨年開催の『第44回ホリプロタレントスカウトキャラバン ミュージカル次世代スターオーディション』で、特別賞「17LIVE賞」を受賞した。オーディションへのエントリーを勧めたのは母だった。「何かに挑戦することで活気が戻れば…」
小さい頃からバレエに勤しんできた。過去に臨んだコンクールでは、中学生時代に2位、高校時代は4位という輝かしい成績を収めている。高校はバレエ専門学校に通い、京都バレエ団の一員として公演にも参加。留学経験もあり将来は指導者になることを夢みていた。しかし、コロナが全てを奪った。
「予定していた留学も中止になって、目標も見失った状態でした。何をしていいか分からないときに母が『バレエの経験が活かせるかも。何かに挑戦することで活気が取り戻せるかも』と勧めてくれたのがあのオーディションでした」
自分では受かると思ってもいなかった。合格の知らせを聞き「本当に嬉しかった」と喜んだ。バレエで培った体幹と表情、そしてコンプレックスだった通る声。何もかもがこの時に結実した感覚だった。
あれから約1年。主演舞台『ゆらり2021』が幕を開ける。本作は13年に上演され、15年に映画化された名作だ。温かくも切ない家族の姿を描く本作に彼女はどう挑もうとしているのか。ここからは一問一答。なお取材は稽古期間中に実施。
――出演が決まった時の心境は?
過去に舞台、そして映画化された、愛されている作品で、しかも「劇団太陽マジックフィルム」の10周年記念公演。演出の西条みつとしさんにとっても大事な作品と聞いていましたので、出演が決まった嬉しさと不安があり「本当に私が主演でいいのだろうか」と心の中でせめぎ合っていました。
――今回演じる高崎凛香はどういう人物ですか。
女優を目指して上京しますが、うまくいかなくて実家に戻ってきたお話です。高崎凛香は明るくてよく笑う子ですが、上京してからうまくいかずに変なプライドや母親に強く当たってぎくしゃくします。
――演じるにあたって難しいと感じたところは?
凛香は母親とケンカしますが、私自身はケンカはあまりなくて、怒られたこともなければ、反抗したこともなかったので、感情を表にだして母親に怒りをぶつけるシーンはどう演じようか、高崎凛香という役としてどうしたら母親を傷つけられるかを探っていました。
――西条さんに言われたことは?
上京して挫折した子っぽくないと言われました。なので形から入ろうとして、メイクを薄めて、声のトーンを落としました。そこから役が私に定着していったと思います。まわりのとのコミュニケーションもとれて、父や母などそれぞれのキャラクターとの関係性もできてきていると思います。
――注目してほしいシーンは?
やっぱりラストのシーンです。『ゆらり』は1章、2章、3章とあって3つで1つの作品です。私は3章に出演しますが、伏線を回収する重要な役割なので集中してやりたいです。ラストはお客さんもグッとくると思います。
――改めて。
コロナ禍で、舞台上演も厳しいなかでお客さんを入れてできるのはありがたいです。だからこそお客さんには楽しんで帰ってもらいたいですし、すごく頑張りたいです。今回の作品にはコメディ要素もあり細かく練習しています。例えばセリフにある「2文字にこういう感情を入れて」とか、「この間を半間空けて」など、そうした演出を受けて表現する細かい作業をしています。それを舞台でやってどういう反応をお客さんがして下さるか、すごく楽しみです。
(おわり)
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