INTERVIEW

太鼓芸能集団 鼓童

船橋裕一郎と新山萌が語る太鼓の魅力とは


記者:編集部

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掲載:21年11月19日

読了時間:約2分

 太鼓芸能集団 鼓童が、創立40周年記念公演を11月25日から28日、東京・Bunkamura オーチャード ホールで開催する。40周年ツアー2連作「鼓」「童」に鼓童創立メンバーが参加。さらに昨年公演予定だった幻の公演「巴」の3作品が上演される。今回、鼓童代表で本公演の演出を担当する船橋裕一郎と、「鼓」「童」「巴」の3作品全てに出演する新山萌に動画インタビューを実施。太鼓の魅力や演奏時に気を付けていること、本公演の見どころなどを聞いた。【取材=村上順一/撮影・文=木村武雄】

まさに生もの、太鼓の魅力

 学生時代に太鼓演奏を見た時に「電流が走った」という船橋。「その時に一緒にやってみたいと思いました。あの時の瞬間は今も覚えています」

 幼少期から太鼓演奏を行っている新山は仲間の存在が大きいという。「鼓童の研修所で仲間と苦楽を共にするなか心が通じ合った時に今までとは違う音が出て、そういうのに気付いた瞬間、改めて面白いなと思いました」

 自身のパートだけ集中して叩けばいいというものではなく、周りの音にも耳を傾け、すべてが合わさって生まれる音に特別な感動があるという。船橋がこう語る。

 「叩き始めた当初は音を出すのに必死でしたが、徐々に周りの音も聞けるようになって、それに合わせていく。点ではなくそこから生まれてくる響きを重ね合わせていく感覚になっていきます。音だけでなく、視覚でも肌の感覚でもそれを感じ、さらにお客様の拍手によっても変わっていきます。その重なり合っていく感覚に気持ち良さと、特別な感動を覚えます」

 音が重なるアンサンブルとしてのこだわりだけでなく、理想の音を求めて、バチ先を自身で研磨するなどその意識は繊細なところまでにもおよぶ。いわば太鼓と一心同体ともいえるが、その日の感情や体調が音の響きにも表れていくという。「自分では良いと思っても、音は正直で今日はこんな感じなんだと気づくことがあります」(船橋)

 すべてがベストパフォーマンスでありながらも、叩く人、空気感、観客の拍手によって音像は変わる、いわば公演は、彼らが奏でる音との一期一会の場とも言えそうだ。

明日の活力に

 そんな彼らが迎える創立40周年記念公演。「鼓」は太鼓に、「童」は人に焦点を当てた作品で、髄所に古典的演目やそのオマージュが組み込まれており、セットや最初の入り、流れも2作品は同じようなつくりでありながら、楽曲を変えることで、全く印象の違う作品に仕上りになっている。一方の世界初お披露目となる「巴」は昨年鼓童在籍30周年を迎え、太鼓打ちの憧れでもある見留知弘も参加し、その存在感が作品に溢れ、刺激を受け成長した若手メンバーのエネルギーも見どころの一つとなっている。

新山「佐渡の風景を思い浮かべながら作られた唄を歌ったり、その土地に触れたことで生まれたものを表現することができると思うと楽しみです」

船橋「鼓童のこれまでの歴史を見ることができますし、それを踏まえて未来を感じてもらえたら嬉しいです。また多くの方に協賛いただいた300張以上の提灯がどの公演にも出てきます。その迫力も楽しみにして頂きたいです。大小合わせて30台以上の太鼓が出てきたり、笛や三味線、唄を歌ったり、佐渡の芸能もあり、様々なものが凝縮されています。明日も頑張ろうと思える公演になっていますので、ぜひお越し頂きたいです」

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