INTERVIEW

眞栄田郷敦

「周囲の予想を覆したい」役者としての志。
転機になる『キン肉マン THE LOST LEGEND』


記者:木村武雄

写真:冨田味我

掲載:21年10月07日

読了時間:約5分

 眞栄田郷敦(21)が、漫画『キン肉マン』(ゆでたまご作/集英社刊)実写映画化の謎に迫るWOWOWオリジナルドラマ『キン肉マン THE LOST LEGEND』(全10話、10月8日スタート)に本人役として主演する。実写映画『MUSCLEMAN』でウォーズマン役にキャスティングされる役どころ。役作りに励みつつ『キン肉マン』実写化に隠された謎に迫る。眞栄田は本作が「自分にとってのターニングポイントになる」と明かす。それはなぜなのか。【取材=木村武雄/撮影=冨田味我】

眞栄田郷敦/『キン肉マン THE LOST LEGEND』

作品に惹かれた

 2019年公開の映画『小さな恋のうた』でデビューすると、TBS系ドラマ『ノーサイド・ゲーム』や映画『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』、『東京リベンジャーズ』、フジテレビ系ドラマ『教場II』など話題作に立て続けに出演。先日最終回を迎えたTBS系ドラマ『プロミス・シンデレラ』での好演も記憶に新しい。そして本作でWOWOWドラマ初主演。デビュー3年目、猛スピードでスター街道を駆け抜けている。だが本人はいたって冷静だ。

 「あまり主演だからと言って力を入れ過ぎないように、かっこつけずありのままに、いつも通りに精一杯向かう、ただそれだけでした。こんなに面白い題材で、しかも綾野剛さんと芝居ができ、玉城ティナさんが相棒みたいな存在で共演できる、そんなコンセプト自体にワクワクしました。主演だからというよりも作品に惹かれました」

 眞栄田が惹かれた本作はどのようなものなのか。

 一般的なドラマとは異なりドキュメンタリードラマ。眞栄田は本人役で出演する。

 「最初はどうなるんだろうと想像もつかなくて、構成通りにいかないリアルな世界で自分を演じるというイメージでしたが、押さえないといけないポイントもある。どうやってやったらいいのか当初は分からなくて。不安もあったなかでいざクランクインしてみたら構成を意識しなくていいんだと思えました。パラレルワールドを生きる感覚に近く、すんなりできました」

 ほぼ素の「自分」がその世界で生きた、という感覚に近いという。

 「待ち時間などもほとんどなくて、現場に行ってメイクもほぼせず衣装もほぼ自前。カメラが回ってその場を生きて帰る、その作品のなかで生きたような、綾野さんと実際に『キン肉マン』を撮ろうと動いていた感覚でした。思ってもいなかった展開や感情も綾野さんとの間にはあり、感情としてはすべてリアル。もともと、設定はあっても感情だけはすべてリアルにしたいと思っていました。難しいと思うよりかは、どういう展開や何をしかけようか、そういう楽しみがありました」

 「何をしかけようか――」これが本作の醍醐味にもなっている。物語のカギを握る重要人物は綾野剛が演じる。実写版映画「MUSCLEMAN」のプロデューサー兼ロビンマスク役という役どころだ。その綾野との掛け合いで生まれたものがある。

 「構成はあって大まかな流れはありますが、そのなかで共演者やスタッフの予想を覆す展開や質問を投げかけました。構成を意識し過ぎるとそれに縛られてしまう気がしましたのであまり意識しないようにして。それよりもどう仕掛けようかと考えて現場に入っていました。そのなかで綾野さんがいろいろと仕掛けてくるので、妄想を膨らませながらやりとりしました。後半のあるシーンでは、僕の予想も超えるような、作品のなかで培った関係性があるからこそ出たお芝居が生まれて、その世界を生きていたんだなという感覚になりました」

眞栄田郷敦

原動力と志

 「周囲の予想を覆す――」それが眞栄田の志にもなっている。

 「最近、こういう役者は素敵だなと思うものがあって、それを大事にしています。現場のスタッフさんたちの予想を良い意味で覆して、スタッフさんも楽しませられる、乗らせられたらいいなと思っています。僕の芝居を見て『そうやってやるんだな、よしじゃあこうやって撮ろう、ああしよう』という風になって、結果、良いシーンが出来て、それが積み重なって良い作品が出来、最終的に世の中の人に喜んでもらえる。その循環ができたらいいと思いますし、それが役者の最初の段取りから始まると思うとすごいなと。共演者と一緒にみんなの予想を覆して生まれる良いシーンを作っていきたいです」

 それが本作でしっかりと体現できた。眞栄田にとっては特別な作品だ。

 「この作品でなければ気付けなかった事がたくさんあります。掛け合いのなかで生まれたものがすごく面白くて新鮮で、スタッフさんもそれを見て笑ってくれたり、感情的になっているのを見て、役としてその世界をしっかり生きて、スタッフさんに感情を与えられたら素敵だなと。役者としての考え方や向き合い方をガラッと変えてくれた作品です」

 そんな眞栄田の原動力は何か。

 「小さい成功体験が一番の原動力です。スタッフさんが乗ってくるというのも癖になりますし、良いシーンを撮っている時とか、良い芝居をみんながして、それを撮っている時って、すごくアドレナリンが出て、良い空気感なんです。それが癖になるというか、それを味わうために、自分が出来ることを精一杯やろうというスタンスです。ちょっとした成功体験みたいなものが原動力になっています」

 本作のエンドロールではサックス演奏も披露しているが、学生時代は吹奏楽部で部長を務めた経歴もある。まさに、「眞栄田郷敦」という役者を構成するのは、音楽と同じく人とのかけあい、いわゆる「セッション」にあるように思える。本作で見せる綾野剛、玉城ティナらとのセッションに注目だ。

眞栄田郷敦

(おわり)

ヘアメイク Misu(ADDICT_CASE)
スタイリスト MASAYA(ADDICT_CASE)

▽衣装
・ジャケット ¥66,000
・カットソー ¥7,500
・パンツ ¥31,000
以上3点ともに(RABD/レイヴ)
・シューズ ¥62,000 (both/both-tokyo)
※上記全て税込表記。

▽問い合わせ先
・レイヴ (03-6805-1506)
・both-tokyo (03-6712-6466)

WOWOWオリジナルドラマ『キン肉マン THE LOST LEGEND』はWOWOWプライムにて毎週金曜23時30分放送。WOWOWオンデマンドにて放送同時配信、アーカイブ配信あり。

公式HP(https://www.wowow.co.jp/drama/original/kinnikuman/)、WOWOW公式YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=560K75x_lZc)にて、第1話無料先行配信も実施中。

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