吉岡里帆

 吉岡里帆と大竹しのぶが7日、都内で行われた、アニメ映画『漁港の肉子ちゃん』(渡辺歩監督、公開中)の舞台挨拶に登壇した。サプライズで渡辺監督が登場し花束を手渡した。明石家さんまの企画・プロデュースとしても話題の本作。吉岡は、さんまからの依頼が事務所の社長のメールを通して知ったといい「ぜったい嘘と思ったんですけど、断れないなと」出演のきっかけを明かした。

 『漁港の肉子ちゃん』は、直木賞作家・西加奈子氏原作の同タイトル小説(幻冬舎文庫)をさんまが惚れこみ、企画・プロデュースしたことでも話題。漁港の船に住む訳あり母娘・肉子ちゃんとキクコの秘密がむすぶハートフルコメディ。大竹が肉子ちゃんを、若かりし肉子ちゃんの親友・みうを吉岡が演じている。

 2017年に放送されたTBS系ドラマ『ごめん、愛してる』での共演以来、親交の深い二人。吉岡は「この前は、しのぶさんの楽屋にお邪魔して結構しゃべって楽しかったです」と言い、大竹も「お互いに舞台観たり、LINEしたりして映画とは違って、けっこう年の差がありますけど(笑)」とプライベートでも仲の良い様子を明かした。

 映画への出演を振り返り、大竹は「出られて本当に良かった。原作にも良さがあるんですけど、それとは違った渡辺監督ならではの肉子ちゃんの世界が広がって、笑うってこんなに優しい気持ちになれるんだとなれて」と満足気。

 吉岡は「事務所の社長さんから『さんまさんが出てほしいと言っている』というメールが来て、ぜったい嘘と思ってたんですけど(笑)。ぜったいに断れないなと思って。母が原作が好きで、私も読んでこれは素敵な作品だと思って参加できるのは光栄だなと思いました」ときっかけを明かした。

 アフレコは二人別録りだったものの、さんまは二人に付き添っていたという。吉田は「マイク通ってなくてもしゃべっているという印象でした」と振り返る。

 大竹は「とにかくどこにもアドリブを要求してくることが多くて、どっかに笑いを入れたいという欲求が凄くて、監督が困っているような印象がありました」と語る。

 大竹のアフレコ後に参加した吉岡。「安心感がありました。会話している感じでありがたかった。肉子ちゃんとしして側にいてくれている感覚がありました」とその存在の大きさを改めて感じた様子。

 映画では肉子が鼻歌を歌うシーンが印象的。大竹は「(さんまに)愛の賛歌かクレイマー・クレイマーの歌でと言われた」とその裏側を明かす。

 吉岡は「しのぶさんが歌うエディット・ピアフが大好きです。以前しのぶさんのCDを頂いたときにお手紙を頂いて泣いちゃうくらい素敵な言葉で。今回はありがたいと思いました。まさかしのぶさんと愛の賛歌の鼻歌を歌えて。こんな経験一生できないなと思って」と語る。

 女性の成長を描く本作。吉岡は「肉子ちゃんとキクコちゃんの絆の話だなと。親が子を育てる、母親の深い愛情をまざまざと映画から感じて。繊細な時期だし、キクコちゃんの成長の過程を切なくも懐かしく、生々しく感じました。あと、絵がとても綺麗でした。うっとりして観ていました」と感想を述べる。

 また、好きなシーンについて大竹は「フレンチトーストをつくるところとか、何でもないシーンが好き」と言い、吉岡は「肉子ちゃんとキクコちゃんがみすじを美味しそうに食べるシーンがうらやましくて。焼き肉が食べてくなりました。あと水族館に行って、ペンギンと出くわすシーンがとても面白かった」と言及。

 また、この日は渡辺監督が登壇し、二人に花束を贈呈。二人について「アニメ辞めて舞台にしたらいいんじゃないか、と思うくらいだった」と絶賛。

吉岡里帆と大竹しのぶ

 最後に、大竹は「他人同士でも優しさを持っていれば幸せになれると信じさせてくれる映画なので、よければ友達とかにも勧めてみてください」と言い、吉岡は「久しぶりのイベントでお客さんと対峙していることに勝手に感動しています。今作は、母親のことを思い出して観ていました。一人で育つのは不可能なので、育ててくれた人に感謝したいなと思いながら。ぜひ皆さんの感想もいろんなところで伺いたいと思います。ありがとうございました」と呼びかけた。

 渡辺監督も「皆さんと一緒に育ってくれればと思う。きっと(さんま)師匠も人の心が動く映画にしたかったんんじゃないか、と思います。末永く見守ってくれると嬉しいです」と締めくくった。(取材・撮影=松尾模糊)

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