“勇気と優しさ”がテーマのディズニーのプリンセスの祭典「アルティメット・プリンセス・セレブレーション」の日本版テーマソング「Starting Now 〜新しい私へ」の歌唱アーティストに、同曲でプロアーティストとしての一歩を踏み出す21歳のシンガー清水美依紗(しみずみいしゃ)が抜擢された。6月22日に配信が開始された「Starting Now 〜新しい私へ」は“新しい自分を探して、後ろを振り向かず一歩踏み出す”ことの大切さを訴えるパワーソングとなっている。天性の歌唱力、そしてニューヨークの名門演劇学校NEW YORK FILM ACADEMY MUSICAL THEATREで身につけた表現力で同曲を歌い上げた。MusicVoiceではインタビュー行い、彼女のルーツや音楽への想い、背中を押してくれた母の存在など、清水美依紗の素顔に迫った。【取材=村上順一】
驚いて大声で叫んでしまった
――日本版テーマソングの歌手に抜擢されて、今はどんな心境ですか。
大好きなディズニーのテーマソングを歌わせていただくことになって本当にビックリしています。いつもディズニー作品を観て勇気や愛をもらっていたんですけど、今度は自分が与える側になったというのは自分の中ですごく大きいことでした。「Starting Now 〜新しい私へ」、まさに今作のタイトルのように、これから何か新しいことが始まるなと感じています。
――なんでも決まった時は街中で叫んでしまったみたいですね。
そうなんです。外にいたんですけど、決定したことのお知らせを電話で聞いて、周りに人がいることも忘れて大声で叫んでいたみたいで、電話先の人のスピーカーが「すごい割れていたよ」と話してくれました(笑)。
――それほど嬉しかったんですよね。ところで美依紗さんというお名前は珍しいと思うんですけど、どんな思いでつけられたお名前なんですか。
名前の由来を聞いたのは最近で、これまでずっと自分の名前の由来を知らなかったんです。歌手のMISIAさんから付けたの? とよく言われるんですけど、そうではなくて母がアジアを代表するような女性になって欲しい、ミス・エイジア=美依紗という願いを込めて、その響きが似ていることから付けられた名前みたいなんです。由来を知ってすごくモチベーションが上がりましたし、胸を張って清水美依紗です!と言えます。
――友達からは何て呼ばれていますか。
そのまま「美依紗」、他には「みーちゃん」とか、あと一文字で「み」と呼ばれることもあります(笑)。
――若い方達が了解を、“りょ”と略すような?
そんな感じなんだと思います(笑)。
――幼少期はどんなお子さんでした?
自分では覚えてないんですけど、音楽を流すと横揺れしてリズムに乗っている0歳児だったと聞いています。その時の動画も残っていて、それを観た時に0歳なのにこんなに動くんだと驚きました。
――どんな音楽に反応していたんですか。
音楽が流れるおもちゃがあって、何曲か選択出来るんですけど、その中のある1曲にだけ反応していたみたいです。母が音楽が好きでクラシックからジャズ、ディズニーの曲など、なんでも聴いていたので、私が音楽が好きなのも、その影響がすごくあると思います。
――ディズニー作品だと『リトル・マーメイド』が特にお好きな作品なんですよね。ディズニー作品、音楽の魅力はどこにありますか。
ディズニーの音楽は母が歌ってくれた影響もあって、すごく身近にありました。ディズニー音楽はその作品、シーン、キャラクター毎に寄り添った情景とマッチした表現を音楽でも体現していると感じています。ジャンルもすごく幅広くてクラシックもあれば、『アナと雪の女王』の「Let It Go」ようなクールな楽曲だったり、作品毎に色んなジャンルがあってすごく魅力的なんです。もし、映画作品を観ていなかったとしても、楽曲を聴いただけですごく勇気をもらえたり、心に響いてくる音楽なんです。
――自分から積極的に音楽を向き合い始めたきっかけは?
中学生の時に合唱部に入ったんですけど、そこで合唱曲など色んな曲に出会いました。その時にステージで歌いたい、と強く思いました。あと、ミュージカルに出会ったのも自分の中でも大きなことでした。
――歌で一番影響を受けた人は?
アリアナ・グランデさんです。もうずっと好きで、コピーしながら歌の技術など沢山学びました。
――コラボしてみたいシンガーでもある?
はい。一緒に歌うことが出来たら嬉しいです。アリアナ・グランデさんとジョン・レジェンドさんが映画『美女と野獣』で「BEAUTY AND THE BEAST」を歌唱していたんですけど、その曲を歌ってみたいんです。
ブロードウェイのステージに立つのが夢
――清水さんのターニングポイントの一つになると思うのですが、ニューヨークの名門演劇学校NEW YORK FILM ACADEMY MUSICAL THEATREに入られました。単身で渡米はまさに“Starting Now”すごく勇気のいることですよね。
昔から好きなことには飛び込むことが多かったです。何をしたいかまでは考えていなかったんですけど、留学したいと決めたのも小学6年生ぐらいの頃でした。それは、アメリカで色んな刺激を受けたかったのと、それによって考え方の視野も広がっていく、色んなカルチャーや人種がいてその中で日本人がどうなっていくのか、というのを小学生の頃からずっと考えていました。
――なぜNEW YORK FILM ACADEMY MUSICAL THEATREに?
高校は音楽科のある学校に通っていたんですけど、その時に自分が足りないものは表現力だと思って、留学するんだったら歌もダンスも出来て、ミュージカルも学べるスクール、それならニューヨークしかないと感じて、母と一緒に調べて決めました。やっぱり一人だったので怖かったです。入学式の日に母に「帰りたい」と嘆いてしまって。
――初日から何があったんですか。
私はハーフなんですけど、日本で育っているので英語も100%伝わらない状態で入学式を迎えてしまい、ガイダンスもよくわからなくて、怖くなってしまいました。
――お母さんはその清水さんの帰りたい、という言葉に対して何と?
それはダメって(笑)。その時、母は「始めたことを最後までやり遂げるのがあなたでしょ」と、背中を押してくれました。周りのレベルもすごく高くて、壁を感じながらも刺激になっていって。自信も無くなっていくこともあるんですけど、母が「これを乗り越えれば新しい世界が見えるよ」と励ましてくれて。
――今があるのも2年間やり遂げたことが大きいですよね。NEW YORK FILM ACADEMYで学んだ印象的なことはなんでしたか。
表現力は格段に上がったんですけど、その中で最も大切にしなければいけないのは個性だということです。自分のパーソナリティをいかに音楽や演技に組み込んで表現できるか、それを沢山学ばせていただきました。ありのままの自分を受け入れる、自分はこういう人間なんだと理解してパフォーマンスするのと、理解しないままするのでは違いが出るんです。
――そもそも清水さんが表現力がないと思ってしまったきっかけは?
友達や周りにいる方からありがたいことに「歌が上手いね」と言って頂けることはありました。それはすごく嬉しかったんですけど、自分ではそれ以上のものがない、と感じてしまって...。その先に行けるんじゃないか、というのもなんとなく高校生の私なりに考えていて。それでニューヨークに行くことを決めたました。
――さて、今作の歌詞の翻訳は清水さんが行ったと聞いていますが、そもそも歌詞は書かれていたんですか。
はい。オリジナルを作って、それに日本語で歌詞は乗せていました。
――イチから歌詞を書くのと翻訳ではまた違った難しさがあると思うのですが、どんなところが大変でしたか。
翻訳は全般的に大変だったんですけど、特に苦労したのはサビでした。それは、みんなの耳に残る言葉を、という想いが強かったので、どうしたら聴いてくださる方の心に響くのか、よりストレートでシンプルに出来るかというのを考えました。あと、2番でプリンセスたちが大集合する歌詞があるんですけど、そこは何回も直しました。
――レコーディングはいかがでした?
6〜7時間にも及ぶレコーディングだったんですけど、すごく楽しかったです。時間を感じさせないくらい充実した時間でした。
――どの辺りに時間を掛けてこだわったのでしょうか。
サビは割とすんなり終わったんですけど、AメロやBメロの音域が低い部分に時間を掛けました。そこでどう自分らしさを出すか、というところで、壁に当たりまして。その時にボーカルディレクションをして下さったのが、シンガーのSWEEPさんなんですけど、本当に助けていただきました。そして、まだまだ私には足りないものが沢山あるんだなと気付きもありました。
――最後にこれからどんなアーティストを目指していきたいですか。
歌ももちろんなんですけど、ブロードウェイのステージに立つのが夢なので、ミュージカルもやっていきたいと思っています。ニューヨークに留学して生まれた夢なんですけど、先生が「あなたは役者もやりなさい」と話してくださって、その中でこの役はあなたに絶対合うと推していただいたのが『ミス・サイゴン』のキムでした。この役をブロードウェイで演じたいんです。なので、海外でも活躍出来るアーティストを目指したいです。
(おわり)