グローバルボーイズグループのJO1が28日、3rdシングル『CHALLENGER』をリリースした。JO1は、デビューシングルから“世界標準のサウンド”とも表現できよう楽曲を発信し続け、快進撃を見せている。そんな彼らのこれまでの楽曲を振り返りつつ、最新作について音楽的視点から迫りたい。

走り続けるJO1の攻めの姿勢

 「ほかのボーイズグループの楽曲とは一線を画している」という印象を持ったのは、2020年にJO1のデビューシングル『PROTOSTAR』の「無限大(INFINITY)」を聴いた時だった。それは、あらゆる音楽の要素を最新の形で、世界に向けて出力していると感じたからだ。

 同楽曲を考察すると、「サウンドのクオリティが高い」、「シンプルで無駄のないアンサンブル」という点が挙げられ、そこから「リスナーを限定しない」というポイントが浮き彫りになり、「グローバルボーイズグループの世界標準のサウンド」と捉えることができた。

 続く2ndシングル『STARGAZER』収録楽曲の「So What」の魅力についても考察した。そこからは、「緻密な楽曲構成と、異なるセクションの融合」、「楽曲の定型進行から完全に解き放たれた展開」という魅力が感じられた。

 そして同シングル収録「OH-EH-OH」は、<Oh-Eh-Oh>という始まりのコーラスのバース、序盤からの“攻め”のビートのインパクトが非常に大きかった。デビュー曲から3曲の考察を振り返ると、「サウンドのクオリティが高い」「シンプルながらも力強く緻密なサウンドでボーカルを際立たせる」という共通点があった。

 あらゆるエッセンスのサウンドが含まれつつも洗練されているJO1の楽曲。フレッシュかつグローバルな世界観。未来への期待を大いに感じさせるグループの勢い――これまでの作品について振り返った上で、『CHALLENGER』収録の楽曲「Born To Be Wild」を聴くと、「走り続けるJO1の攻めの姿勢」という清々しい印象を受けた。

広範囲から感じられる魅力のポイントとは

 「完成度の高い楽曲」と感じたJO1の新曲「Born To Be Wild」は、様々な音楽的要素、ジャンルの垣根を超えたアプローチをみせ、前作までにみられたJO1の特色が進化した最新のスタイルで表されていた。

 シンプルかつ、ポップでクール。無駄がなくクオリティは高く、あらゆるリスナーに届く楽曲。それは、J-POPでもK-POPでもアイドルソングでもない、“JO1の音楽”だ。

 彼らの新作を聴くと、様々な注目ポイントが挙げられる。楽曲を多種多様な角度から楽しめるという点は、前作でも感じられた「間口の広い楽曲」という、多くの人に受け入れられる正に“グローバル”な部分。具体的にどう間口が広いのかというと、次のような点が挙げられる。

 やはり真っ先に注目したいのはJO1のボーカルだ。楽曲開始の2秒間でカラフルに瞬くコーラスは一聴してドキッとさせられる。そして、曲中で聴ける透明感のあるフレッシュかつリズミックなメインボーカル、美麗なファルセットのコーラスの広がりは彼らの清爽なビジュアルとベストマッチだ。メイン、ラップ、コーラスと、どのボーカルセクションも端的で無駄がなく、ストレートに耳に入ってくる。そこからは、抽象的だが「JO1らしい」という感覚をおぼえた。

 そして、サウンド面に注目すると、ビートはシンプルながらもどっしりと、グルーヴィーなベースラインが絡みつくように混じり合い、心地よく体を揺らす。

 導入で刻まれる瑞々しいピアノの音色は最初のAメロ(にあたるであろうセクション)では潔く引っ込み、ビートとベースとボーカルのみというスッキリしたアンサンブルで絶妙な緩急を醸している。

 そして徐々に、包み込むようなシンセサイザーの音色が重なり、ピアノのパートが再度加わり、じわじわとダイナミズムが広がる楽曲のストーリー性に没入できる。

 さらに、楽曲の時間数で表すところの「01:08」あたりからは、1970年代ディスコ、ソウル、ファンクを彷彿とさせながらも現代でも刻まれ続ける、温故知新と言えようダンスミュージックのギターカッティングが高揚感を高める。同時に、舞うようなストリングスも交差し、楽曲の景色を華やかに膨らませている。

 歌をじっくり聴いて楽しむだけにとどまらず、エレクトロミュージックを好むリスナーがビート面やベースのグルーヴに注目できたり、一辺倒ではないピアノやシンセのアレンジのメロディアスな魅力を感じられたり、切れ味鋭いギターのプレイを楽しめたり、はたまた、細かい点は気にせずに聴きながら踊れたりと、広範囲から「Born To Be Wild」の魅力ポイントが感じられる。

 このように、いくつか挙げたポイント全てから、これまでのJO1の楽曲の特色を踏襲しつつも、新たなアプローチが加わったことが感じられた。もちろん、リスナーそれぞれの視点からは、さらにたくさんの魅力的なポイントが挙げられるだろう。

JO1の“挑戦と進化”

 “JO1、未知の世界へ踏み出す”がコンセプトの『CHALLENGER』表題曲「Born To Be Wild」は、恐れと期待を胸に、力強くドアを開け一歩を踏み出し力強く乗り越えていく“挑戦”がテーマの楽曲。ポジティブに未来を見据える歌詞、ボーカル、サウンドからは、本作の“挑戦”というテーマがストレートに感じられた。

 2020年にデビューシングル、2ndシングルの収録各曲を考察してきた視点をふまえて、最新作の3rdシングル『CHALLENGER』の「Born To Be Wild」に迫ると、JO1というグループのさらなる強固な存在感を感じられた。それは、彼らが“進化”を遂げていると言えるのではないだろうか。

 デビュー作を聴いた時に感じられた、“グローバルボーイズグループの世界標準のサウンド”という点は、全くもってブレていない。そこにさらなる“挑戦と進化”が加わった本作を聴くと、JO1に対する期待の念をさらに膨らむ。無限大の可能性を持ち、<まだ見ぬ場所へ>走り続けるJO1の攻めの姿勢からは、今後も目が離せない。【平吉賢治】

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)