大和田美帆と宮本亞門

 宮本亞門・総合演出、大和田美帆・主演で、リーディング演劇「『スマコ』~それでも彼女は舞台に立つ~」が27日からYouTubeで無料公開されることが決まった。コロナ禍で「演劇の灯を消すわけにはいかない」と企画。日本の女優第1号ともいわれた松井須磨子さんをモデルに、当時流行したスペイン風邪にも屈せず舞台に立ち続けた姿を描く。

 松井須磨子さんは、明治から大正にかけて活躍し、日本の女優第一号ともいわれた。愛する人を当時世界的に大流行していたスペイン風邪で失うこととなっても、なお舞台に立ち続けようとした。

 『そこまで彼女を突き動かす原動力は何だったのか』『彼女は何を思い、舞台へ上がったのか―?』

 そんな女優・松井須磨子さんの、強く、儚い生き様を描いたリーディング演劇を紡ぎ出すことを通じて、演劇が持つエネルギーや、作品に込めた想い、エンターテインメントの無限の可能性を見つめ直すきっかけを作る。

 このプロジェクトの中心となるのは世界的演出家・宮本亞門、そして主演は舞台やドラマをはじめ、活動の幅をさらに広げる実力派女優・大和田美帆が務める。

 そして、『我々の気持ちを直接お伝えしたい』、さらには『皆さんと一緒にこのプロジェクトを完成させたい』という想いからクラウドファンディングに挑戦する。更に、劇場から足が遠のいている人や外出に不安を抱えている人、さらには演劇に馴染みのなかった人まで、一人でも多くの人に観て頂きたいという考えから、キャストが演じたリーディング演劇を撮影した映像作品を、YouTubeっで無料公開する。

 出演者には、演劇のみならず、映画、ドラマと幅広く活動する実力派俳優、福士誠治をはじめ、宮本亞門と親交のある波岡一喜、堀井新太、まりゑ、水谷あつしなど、今回のプロジェクトに賛同したメンバーが名前を連ねる。また、松井須磨子さんの恩師である坪内逍遥役を演じるのは名優・西岡徳馬、そしてナレーター・ト書き朗読として、今最も忙しいバイプレーヤーともいわれる俳優・津田寛治が出演する。

総合演出・宮本亞門:コメント

大和田美帆さん主演のリーディング演劇を配信します。
コロナ禍で劇場に行きづらい方や、劇場に行ったことがない方に、本気で生きた演劇人たちの姿をお見せしたいからです。
主役の松井須磨子は、およそ100年前、世界で5億人が感染、1億人の死者を出したスペイン風邪によるパンデミックの初期、現代演劇に革命をもたらした最も有名な、世間を騒がした女優です。彼女は、演劇が不要不急ではないことを証明し、男社会の差別の中、壮絶に人生を生き抜きました。
今回の「スマコ」は、クラウドファンディングで、皆さんのご協力でオンラインによる無料配信です。願わくはコロナが終息した時は、いつか舞台化をと考えております。
そのためにも、今、熱い想いを持った素晴らしい俳優たち、スタッフが一丸となってリーディング演劇に参加してくれました。
どうか、皆さん、演劇の灯をともし続けるためにも、ご協力お願い申し上げます。

主演・大和田美帆:コメント

彼女は強かった。彼女は真っ直ぐだった。彼女は負けなかった。貫いた。
立ち上がり、新しいことにどんどん挑戦し、失敗しながらも非難されながらもそれでも前に進み続けた。何故そこまで猛進できたのか。確かなのは彼女から沸き出る力はすべて「演劇」に注がれていたということ。明治、大正時代を「演劇」と共に生き抜いた女優・松井須磨子。
彼女の生き様はきっと、時代を超えて令和の混乱の中にいる私たちに、一歩前へ踏み出す力を与えてくれると確信している。・・・全力で挑みます。

福士誠治:コメント

今回このリーディング作品には今自分が出来ることを最大限に行動するという想いで参加させていただきました。
どんな時代、どんなご時世においても心の栄養が必要だと僕は思います。
モノづくりによって助けられる心がひとつでもあれば僕にとっても作品にとっても幸せなこと。
宮本亞門さんをピラミッドの頂点に素敵な作品作りを目指していきたいです。
是非ご覧に、そしてお聴きください。

波岡一喜:コメント

アイスショー『氷艶』からの“御縁”で、今回お声がけをいただきました。
まず、宮本亞門さん、ありがとうございます。
不要不急の外出を控えるこのご時世、地方の方が都心に出向いて、演劇に触れるということが難しくなっています。
そんな中、オンラインリーディングという、家にいながら、演劇に触れることができるという素晴らしい企画に参加させていただけることは嬉しい限りです。
僕自身も、コロナが流行り出してすぐ、『TOUCH』という、オンラインにての演劇的な触れ合いを実践しています。少しでも、皆様に楽しんでいただけるよう、精一杯励みたいと思います。

堀井新太:コメント

コロナ禍の中、様々な取り組みを行う演劇界で、皆さまのお力をお借りして、今だからこそ世界にエンターテインメントを伝えていくというプロジェクトに是非参加させていただきたいと思い、出演致します。
ありふれた日常の中にも、この作品を観たことによって、何か感じて貰えたら嬉しい限りです。宮本亞門さん、大和田美帆さんをはじめとした有志の皆様とご一緒できることを楽しみにしております。

まりゑ:コメント

今回、亞門さんから直接お話を聞いた瞬間に“是非”と伝えていました。
共演する大和田美帆ちゃんは、私にとって大切な友人でもあり、大学の先輩でもあります。
そんな長いお付き合いの中、共演したのは一度きり。今このチャンスで美帆ちゃんとお芝居で向き合ってみたい、これが即決の一番の理由です。
この一年、様々な困難に立ち向かいながら歩んできた私たち。その中でいつだって私は“エンタメ”に救われてきました。限りある人生の中で、こうして亞門さんを筆頭に素晴らしい皆様と共に『創造』できることが今から楽しみです。

水谷あつし:コメント

現在亞門さん演出、池谷さん脚本の『画狂人北斎』の旅公演中です。この1年私達役者という仕事は何なのか?と
考える大切な時間でした。私達の仕事は毎回、役になりその人生を見せ、お客様の心を揺さぶる。
コロナ禍の今でも客席に座ってくださり、笑ったり泣いたり温かい空気をお客様から感じた時に、やはり演劇は無くてはならないと痛感しました。
今回素晴らしいキャスト、スタッフの中の1ピースとして参加出来る事の幸せと責任を感じています。

西岡徳馬:コメント

昨年の舞台は全滅、今年に入ってコロナ対策を厳重の上にも厳重に、芝居の稽古中にもマスクでと、内容が二の次になる様な厳しい対策の中、やらないよりは何としても行動と、言ってしまえばかなり乱暴な作り方でやりました。
今回は、その中でどれだけ内容の濃いものが出来るかと?然しこのスタッフ、キャストなら良いものが
出来るぞと、大きな期待を持って臨む所です!

津田寛治:コメント

新しい世界が生まれるきっかけになるのは、とてつもない災難の火中であることは珍しくありません。
いま演劇界には、全てを壊滅させるような前代未聞の嵐が吹き荒れています。
それはまるで、新しい演劇が生まれる予兆のようにも思えます。
この物語も、スペイン風邪をはじめ様々な嵐が吹き荒れていた大正の演劇界が舞台となっています。
その嵐の中、数々の試練を乗り越え、演劇界を大きく変えた女優、松井須磨子が主人公です。まさに救世主ですね。
2021年というこの激動の時代を生き抜き、きっと救世主になるであろう新世代の人たちにも、是非観ていただきたい作品です。

■プロデューサー・橘阿鴻:コメント

演劇の灯を消さない―
そんな志を持ったキャスト、スタッフが集まった本プロジェクトですが、参加を決められた信念というのは皆さんがそれぞれ心の中にお持ちだと思います。
ただし、このプロジェクトに何か共感したものがあり、多くの方にその想いを届けたい、というのは全員同じです。伝えたいメッセージがそこにあり、同じ方向を向いた仲間が集まれば、皆さんからの応援の声とほんの少しのアイデアで、演劇は完成させることが出来ます。皆さんもこのプロジェクトの一員となり、一人でも多くの方へ作品を届けられるよう応援して頂けますと幸いです。

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