堂珍嘉邦(CHEMISTRY)が17日、下北沢Flowers Loftよりファンクラブイベント『堂珍嘉邦オフィシャルファンクラブ “Drunkboat” TALK&LIVE 2021(生配信)』を配信した。このイベントは、コロナ禍による活動制限の中、2020年5月から続くファンクラブ動画コンテンツ『DohchinTV』の番外版のスペシャルイベントとして、無観客で行うというもの。ライブはCHEMISTRYの過去のツアーでサポートを務めた後藤まさるや首藤晃志、TICAの武田カオリを招いてFISHMANSやSPANOVA、サニーデイ・サービスのカバーなど全6曲を届けた。このイベントの模様を以下にレポートする。【村上順一】

楽しくライブがやりたい

堂珍嘉邦&山田能龍(撮影=柴田恵理)

 開演時刻になり配信がスタート。堂珍と一緒に番組MCを務める脚本家・演出家の山田能龍の2人が画面に登場。トーク&ライブという事で、まずはトークコーナーからアットホームな雰囲気で進んでいく。ファンクラブイベント今年初の生配信。今回もファンクラブに加入していない、一般の人も視聴可能ということで多くの人が楽しめるものとなっていたのも特色だ。このトークコーナーでは、コロナ禍が落ち着いてからの展望としてファンクラブでの旅行の話題や、3月17日に配信リリースされた新曲「愛の待ちぼうけ」についてなど軽快にトークは弾み、あっという間に約15分が経過。

 堂珍は「楽しくライブがやりたい。シリアス、ストイックな作品もいいんだけど、今回はみんなと和気藹々とやった方が今のムードに合うのかなと思いまして、何日か遅れのホワイトデーのお返しみたいな――」と、このライブに臨む姿勢を語った。

 そして、今回のライブコーナーは2006年に行われたCHEMISTRYのツアー『CHEMISTRY 2006 TOUR "fo(u)r"』でサポートしていたメンバーが参加するとのことで、貴重なステージになりそうだ。トークを行っていた場所からゆっくりとステージに向かう堂珍。

 上田壮一(key)と後藤まさる(Per)をステージに招いて、FISHMANSの「いかれたBABY」でライブはスタート。レゲエスタイルのゆったりとしたアレンジで、甘くシルキーな堂珍の歌声のマリアージュでリスナーを魅了する。チャットコメント欄では「美しい歌声」「かっこ良すぎる」など、コメントが発信されていた。堂珍も「(リハーサルよりも)本番が一番良いですね!」と満足そうな表情を浮かべた。

 堂珍はアコースティックギターを抱え、「久しぶりの曲を――」と語り「なわけないし」を歌唱。アコギの乾いたサウンドにセクシーな堂珍の歌のコントラストが印象的なパフォーマンス。そこにソロパートより登場した首藤晃志(A.Sax)のサックスの響きが甘美な空間をより鮮明にしていく。

堂珍嘉邦(撮影=柴田恵理)

 続いてSPANOVAのカバー「朝のテーブルに足りないもの」へ。チルアウトしたラグジュアリーなステージ。リラックスした堂珍の歌声と首藤のサックスが対話するように展開。リスナーからもこの演奏に「涙が出ました」など感動を伝えるコメントも見られた。

 続いては首藤がリーダーを務めるバンド・TASTE OF TIMEの楽曲から「待ち合わせ」を披露。亡くなった人とあの世とこの世での待ち合わせ、という思いを込めて制作された1曲で、首藤の渋みのある歌声と堂珍の優しい包み込むような歌声のコラボレーションにチャット欄では「亡き母を思い出す」「心に沁みます」などリスナーの琴線に触れていた。この時代だからこそより胸に響く楽曲だった。

首藤晃志(撮影=柴田恵理)

 続いて『LIVE in the DARK』というプラネタリウムで企画ライブを行っている堂珍。そこで披露していた2009年にリリースされたアルバム『the CHEMISTRY joint album』に収録されている「アンドロメダ」をデュエットで披露することに。ステージに石井マサユキとのユニット・TICAの武田カオリ(Vo)を呼び込み、蒼く染まるステージの中、トランスペアレントな歌声でレイドバックした空間を構築していく。2人の歌が景色を作っていくようなデュエットだった。

ライブの模様(撮影=柴田恵理)

 続いてがコーヒーに纏わる曲ということでサポートメンバーとコーヒーの話題で盛り上がる場面も。和気藹々としたMCからラストはサニーデイ・サービスのカバーで「コーヒーと恋愛」を届けた。ドラムの後藤はウォッシューボードを使用しパーカッシブなビートを作り出し、首藤の世界観のあるサックス、武田のみずみずしい歌、堂珍も歌以外にカズー(膜鳴楽器の一種)を奏で、首藤との掛け合いで楽曲を彩った。レイドバックした大人の空間、音楽の楽しさが詰まった至福のひとときを与えてくれたライブだった。

 堂珍は音楽というものは「音の感情表現」と歌唱後のトークで話していたが、まさにその言葉を体現したかのような時間だった。「生で聴きたい」というメッセージも多く見られ、より生ライブへの希求が高まったステージでもあった。そして、エンディングは4月7日リリースのシングル「愛の待ちぼうけ / My Angel」生産限定盤(CD+DVD)から3月31日に配信されることが決定した新曲「My Angel(真夜中のプラネタリウム)」ライブ映像で『“Drunkboat” TALK & LIVE 2021(生配信)』を締めくくった。

セットリスト

『堂珍嘉邦オフィシャルファンクラブ “Drunkboat” TALK&LIVE 2021(生配信)』

3月17日@下北沢Flowers Loft

01.いかれたBABY(FISHMANS)
02.なわけないし(堂珍嘉邦)
03.朝のテーブルに足りないもの(SPANOVA)
04.待ち合わせ(TASTE OF TIME)
05.アンドロメダ(堂珍嘉邦×TICA)
06.コーヒーと恋愛(サニーデイ・サービス)

出演:堂珍嘉邦 / 山田能龍
上田壮一(Keyboards) / 首藤晃志(A.Sax) / 後藤まさる(Per) / 武田カオリ(Vo)

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