SNSの総フォロワー数が62万を超えるインフルエンサー・得丸あゆみが、自身初の写真集『得丸あゆみ1st写真集 得あゆ』を発売した。写真集が決まった時、「アイドルでもタレントでも何でもない私が写真集を発売させて頂ける事になりました。毎日どんな事があってもSNSを更新してきて、そのSNSがキッカケで一番の夢が叶いました」と語っていた。夢を実現させるきっかけとなったSNSは彼女にとってどういうものなのか。そして、写真集に何を込めたのか。
人生を変えたSNS
「SNSは私の人生を変えてくれました」
富山県から夢見て上京。一時、芸能活動も行っていた。模索していた時に出会ったのがインスタグラムだった。始めた頃は100人だったフォロワーは開設6年が経ち、26万超え。「もしインスタグラムをやっていなかったとしても楽しく過ごしていたと思うけど、それをやっていなければ出会わなかった人もいますし、夢だった写真集も叶うことはなかったと思います。だから私にとって大事なものです。こうして取材を受けているのも不思議な気分です」と笑う。
インフルエンサーとして影響力を持つ。しかし、芸能人のようで芸能人ではない立ち位置に「インスタグラマーのくせに」「芸能人じゃないくせに」と言われることもあった。でも「なんとも思わないです。それはその人の考えだから」
一夜にしてスターになることはしばしある。いつ“バズる”かは分からない。
「インスタグラムでも私よりすごい人はいて、SNSで人気を掴んだ人もたくさんいます。フォロワーが多いから少ないとかでその人の価値は判断できないと思います。少ない人でも明日にはバズって増えるかもしれないですし、一般の方が急に100万人のフォロワーを得て大スターになるかもしれない。誰のこともバカにしてはいけないと思います」
肩書や立場、カテゴライズ、そうしたものにとらわれず、一人の個性を見る。その言葉に得丸の“フラット”な目線がうかがえる。
そんな彼女が写真集に何を投影させたのか。
泳ぐ姿に特別な思い
インスタグラムではファッションやライフスタイルを見せてきた。写真集はもともと夢だったが「年齢的にもグラビアの露出は減るだろうし…」と諦めかけていた。そんな時に出版社から打診があった。「もう即答でした。嬉しくて!」
作るにあたって意識したのは、これまで見せたことがない姿。「SNSなら写真アプリを使っていくらでも補正はできますが、そうしたものを一切やらないでありのままを収めたかった。男女関係なく見て欲しいので、素に近いナチュラルさ。そしてセクシーな一面も出しました」。アプリを使わない。それはインフルエンサーにとっては「勇気がいる」行為だという。
「素」を意識して臨んだ結果、新たな発見があった。「これまでになかった表情があって、私自身もびっくりしました」
表紙を飾るのは、プールをバックにした白のビキニ姿。「肩幅が広いのは水泳のおかげなんですよ!」。水泳は小さい頃から得意だった。ロケーションに深さのあるプールを選んだのは、泳いでいる姿も撮って欲しかったから。
「お気に入りのカットです!」と言い、広げた誌面に、気持ちよさそうに泳ぐ彼女の姿が2ページにわたって写っている。揺れる水面に隠れる身体。その姿はマーメイドのような美しい。「え? そうですか!? そんなことがないですよ」と照れ笑いを浮かべる。
最後を飾る黒のランジェリー
もともと一つ一つのことに全力を注ぐタイプだ。「初めてのチャンスでラストチャンス」とも思った本作にも「全力」で挑んだ。ダイエットも行った。なかでも挑戦だったのは初めて見せるランジェリー姿。
「プライベートでも下着を見せる機会はないに等しいですし、もちろんSNSにも載せてきませんでした。下着も水着も一緒と言うけど、それは全く違う。やっぱり下着は特別なものです。写真集ではプライベートな私を知って欲しかったので挑戦しました」
なかでも黒のランジェリーはお気に入りだ。「ベッドの上で撮りました。どうやったら色気を出せるのかを考えて。撮影の最後に撮った写真で、大人っぽく写っていたら嬉しいですね」。SNSにも出してこなかった姿が写真集の最後を飾る。
エッセイでは、これまでの歩みなどを綴った。「思ったよりもスラスラ書けて。溜まっていたものがあったかもしれないです」とニコリ。「私のことを知らない人にも伝えたいです」
取材終わり、「色々考えながらしゃべりました…!」と胸を撫でおろした様子で微笑んだ。その表情はインタスグラムでは見られなかった素朴さがあった。写真集でも「インスタグラムには見ることがなかった」一面が切り撮られている。【取材・撮影=木村武雄】