INTERVIEW

三吉彩花

必要とされる嬉しさ。私の原動力。
弘徽殿女御に挑戦


記者:鴇田 崇

写真:

掲載:20年11月13日

読了時間:約8分

 無数の名作を放っている脚本家・小説家の内館牧子の「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」(幻冬舎文庫)を、2012年の初版時より原作をこよなく愛する女優の黒木瞳が、『嫌な女』(16)以来4年ブり、長編2作目として実写映画化した『十二単衣を着た悪魔』が公開中だ。その公開に先立って、「源氏物語」に登場する弘徽殿女御役、三吉彩花に取材した。

 三吉が演じる弘徽殿女御は、妥協や忖度を一切しないタフな女性だ。突然「源氏物語」の世界へタイムスリップして来たコンプレックスの塊の主人公(伊藤健太郎)を成長させるキャラクターで、演じた彼女自身、「しっかりと自分の家族のために、自分のために、芯があって間違っていないことを貫いていく人」と高く評価する。その出演作の話をはじめ、愛聴しているというサントラの話。そして仕事へのモチベーションなど、さまざまな話題でインタビューを行った。【取材=鴇田崇】

(C)2019「十二単衣を着た悪魔」フィルムパートナー

弘徽殿女御役、務まるか不安も

――本作は「源氏物語」の世界が舞台でもありましたが、初めて脚本を手にした時の印象はいかがでしたか?

 「わたし、ちゃんとセリフ言えるかな?」と、本当に心配になりました(笑)。とても力強い女性でもあるので、自分に務まるかすごく不安でした。それに弘徽殿女御はもともと授業で習う人というイメージでしかなくて、しかもメジャーなキャラクターではないですよね。なので気に留めていなかったので、今回の作品ですごく勉強にもなりました。

――監督が黒木瞳さんでしたが、演出で印象に残っていることはありますか?

 すべてが印象に残っています(笑)。女優を熟知されているので、ついて行くことが大変でした。撮影に入る前から黒木さんとマンツーマンでセリフの練習をして、台本に入る前にも活舌の練習などをして、真っすぐに音を出す方法を教えていただくなど、以前ご自分でやられていた手法などを教えていただきました。同じセリフを50回も100回もずっと言い続けて、それを監督と一緒に練習していました。

――やはり女優としても活躍されているので、その点は違いますか?

 映画監督はみなさん個性的なのでみなさん違い、監督だけの方と女優も兼ねている方という意味での大きな違いみたいなものは感じなかったのですが、今回の作品に関しては黒木さんの弘徽殿女御に対する愛がとても強いので、それをわたしにも丁寧にアップデートしてくださったことが印象的でしたね。その情熱みたいなものを現場でもそばでずっと感じながら撮影していたので、それはまた新しい体験でした。

 弘徽殿女御は負けない人、妥協しない人なので、しつこいくらいに何度も同じセリフを言い、時に厳しく指導していただきました。本当に妥協しないので、凄まじい情熱でした。それは現場に入ってからも同じで、「今の音が違うね」や、「スコーンと抜ける感じ、前に練習したほうがよかったよ」など。そういう丁寧な演出をほかの役者の方がいらっしゃっても教えていただいたりと、非常に熱量を感じ嬉しかったです。

――そのキャラクターを託されて、改めて魅力に感じましたか?

 そうですね。弘徽殿女御は本当に魅力的な女性で、特に今の時代のタイミングで彼女を演じることにご縁を感じましたね。女性に限らず、いろいろな人が言いたいことを言っていくことよりも我慢していくことが増えていくなか、しっかりと自分の家族のために、自分のために、芯があって間違っていないことを貫いていく人なんですよね。かつ自分の言いたいことをしっかりと言える人なので、その重みみたいなものは感じました。

十二単衣、体幹があってよかった

三吉彩花

――ところで劇中の十二単衣は、実際に着ているのですか?

 あれは本当に着ています。着ているのですが、縫い付けてあるので1回で着られます(笑)。なので最初のフィッティングが一番大変でした。1枚ずつ重ねて、とても重いのですが、現場で着ると、ピシッ!と背筋が伸びますね。ただ、葉織物も年代を重ねるごとにだんだんと色が濃くなっていったり、刺繍の柄が変わったり、そういうところにも日本らしさが見えると思いますし、自分でも楽しみながら毎回着ていました。

――トレーニングをされているので、日頃のエクササイズが役に立ちそうですよね。

 普段から運動をしてジムや食事に気をつけていますが、トレーングをしっかりしていたので、体幹があってよかったなと思いました。座ってから立つまでが大変で、ひざの使い方など細かいところがたくさんあり、軸がしっかりあったほうがスムーズにできていたと思うんです。トレーニングしていてよかったなと思いましたね。現代時代劇をやったことがあるのですが、その時とは所作も違ったので面白かったです。

品のある人とは

三吉彩花

――黒木さんは三吉さんの女御を<品のある人>と言われていましたが。品のある人とはどういう人だと思いますか?

 いつでも冷静な人(笑)。それは今回弘徽殿女御を演じていても、言動だけじゃなくて、冷静さは所作にも行動にも出るなと思いました。何かあった時にすごく焦ったりとか、「わっ!」てなってしまうと、すごく余裕がない感じに見えるので、いったん冷静になって考えて、落ち着いて事態を把握したり、コントロールできる人が品がある人なんだなって思います。

――でも冷静な印象です。

 気を付けています(笑)。でも家の中では実は慌てたりしていますけど。

――どういうシチュエーションで、ですか?

一度、浴室のお掃除をした後に自動のボタンを押して、さあ入ろうと思ったら浴槽にお湯が入っていなくて、「ええ!」って(笑)。

――普通に慌てた(笑)

 栓も確認したつもりが、浴槽の中の底のほうがハマり切れていなくて、そこから全部お湯が抜けてしまい、その時はひとりで大声を出しましたね。その流れで、その日の後の物事が全部上手くいかず。そういうことはなるべく人と会う時はないようにしたり、気をつけています。あんまりイライラしたりしないように気をつけてはいるものの、月に1回くらいは爆発する時があります(笑)。

好みの音楽、ベストは「グレイテスト・ショーマン」

三吉彩花

――そういう気分を上げたい時に音楽で元気を出したりはしますか?

 洋楽をよく聴いています。洋楽を聴く時は英文の歌詞を訳したり、毎回意味を理解しようとするのですが、曲の影響は受けないんですよね。曲に感情が左右されない。落ち込んだ時にこの曲を聴いて元気づけられたとか、そういうことはなくて。ただ、サントラを聴くと気分は上がりますね。

――どの映画音楽が好みですか?

 それこそ『グレイテスト・ショーマン』は、いまだにすごく聴きますし、最近の『チャーリーズ・エンジェル』もよく聴いています。もともとクリスティン・スチュワートが大好きなので、映画も5回くらいは観に行ったと思います。そのサントラをよく聴いています。映画を観てすごくいいなと思った映画のサントラを、元気を出したい時に聴くことが多いですね。

――ベストは?

 一番は『ラ・ラ・ランド』より『グレイテスト・ショーマン』ですね。あの映画の曲は全部聴いていますね。『ラ・ラ・ランド』はアルバムのポイントで曲を聴いていて、全部は聴かないのですが、『グレイテスト・ショーマン』は全部聴きたくなります。

原動力

三吉彩花

――最後におうかがいしますが、今のお仕事を続けている最大の理由は何でしょうか?

 改めて夢があるお仕事だなと思いますし、これから先まだまだどんどんお芝居の勉強をして、もっともっといろいろなところで活躍していく俳優になりたいことには変わりはないのですが、わたしくらいのレベルでも作品に出てほしいと思ってくださる方がいたり、それで実際に映画館に足を運んでくださる方がいるということが、自分のやる気につながっています。今回の黒木監督の妥協のない演出もそうなのですが、それがとても必要としてもらえているといううれしさや、その期待に答えたいというものがまず前提としてあるんです。自分が頑張る力の元になっているので、それが仕事の原動力ではないかなと思っています。

タイトル:『十二単衣を着た悪魔』
公開表記:11月6日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開
(C) 2019「十二単衣を着た悪魔」フィルムパートナー
制作・配給:キノフィルムズ

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