新田恵海、映画も音楽も特別な存在「まだまだたくさん出会いたい」
INTERVIEW

新田恵海、映画も音楽も特別な存在「まだまだたくさん出会いたい」


記者:鴇田 崇

撮影:

掲載:20年04月06日

読了時間:約6分

 人気アニメ『ラブライブ!』の高坂穂乃果役などで知られる人気声優・新田恵海が、注目の児童文学を映画化した『恐竜が教えてくれたこと』を鑑賞した。本作は2015年に青少年読書感想文全国コンクールの課題図書にも選定されたアンナ・ウォルツの児童文学『ぼくとテスの秘密の七日間』(フレーベル館刊)の映画化で、思春期の入り口に差しかかった少年サムと、ちょっぴり大人びた美少女テスの淡い初恋や、人生の機微に触れたサムの心の揺らめきなどを、等身大の子どもの視点で映し出した感動作だ。本作と新田をつないだキーワードは、恐竜。大の恐竜マニアである新田は、『恐竜が教えてくれたこと』から何を教わったのか。そして映画同様に音楽も愛するという新田は「映画には特別な2時間があると言いましたが、音楽も特別だと思っていて」と語った。音楽が教えてくれたものとは。【取材・撮影=鴇田崇】

動物そのものが好き

――今回のお仕事ですが、オファーをお受けになった決め手は何でしたか?

 お話をいただいたきっかけはもちろん<恐竜>というキーワードだったと思うのですが、もともとわたし自身、映画がすごく大好きなんですね。映画館にもよく行きますし、映画には映画にしか流れない特別な時間があると思っています。そういうことでお声がけいただけることは、すごくうれしいです。こういうきっかけで素敵な作品と出会えたことも、すごくうれしいなと思いました。すごく光栄でした。

――タイトルに<恐竜>が入っていますので、今回のような仕事での出会いでなくても、自ずと気づいていたかも知れませんね。

 そうですね(笑)。仮に劇場公開のタイミングを逃してしまったとしても、出会うべくして出会っていたのかなと思いました。

――映画は、恐竜モノ以外も観たりするのですか?

 そうですね。反対に恐竜モノの映画の場合、観るかどうかで悩ましいことがあります。恐竜が悪者になっている映画があるじゃないですか。そういう映画は観ないんです。恐竜が大好きだから悪者として描いている映画は観たくないんです。『ジュラシック・パーク』シリーズは大好きなのですが、そこには恐竜への愛が感じられるからなんです。そこが大きいと思います。ゲームなども恐竜を倒すゲームは絶対にできないですね。

――立ち位置が恐竜側なんですね(笑)。

 (笑)。でももともと恐竜だけではなく、動物そのものが好きなんです。だから動物モノはよく観ています。生きものが好きから始まって、強くてカッコいいという恐竜に行って、『ジュラシック・パーク』シリーズでとうとう出会ってしまったっていう感じなんです。それが決め手となって、20年以上、恐竜が好きという感じです。

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――今回の作品は、恐竜マニア視点ではいかがでしたか?

 素直に成長やセリフを受け入れるような気がしました。子どもって、自分もそうでしたが、子どもだけれど、子どもだからわからないってことでもないですよね。子どもだからこそ思っていることがあり、大人が思っている以上にいろいろなことを考えていて、わたし自身も改めて考える機会になり、とてもよい出会いだったなと思っています。

――すべての登場人物が豊かに描かれていたので、全世代で楽しめるタイプの素敵な作品でしたよね。

 本当にそう思います。主人公のサム少年に共感する方もいれば、テスに共感する人もいますよね。それがヒューゴなのかおじいさんなのか、お父さんお母さんという方もいるはず。それでいいわけですよね。今出会った映画だから今だけという、そういう映画ではないなって思いました。

――ところで恐竜の最大の魅力とは?

 人間の歴史は恐竜に比べたらすごく短いもので、恐竜はあれだけ大きいのに地球上に本当に存在していたわけですよね。そして長い間、地球で生息していた、それだけですごく魅力的だなと思います。最初は想像で恐ろしい竜という名前が付いた頃は、野蛮で獰猛な印象だった思うのですが、想像上の怖いものから本当に地球上に存在している、そして今でもその進化がつながっている。生きもののロマンですよね。恐竜ファンにもいろいろなタイプのファンがいると思っています。

 かつては爬虫類という印象が強かったと思うのですが、羽毛が発見されたり、今では小型の獣脚類から鳥の仲間に進化していったと言われていて、だから初期の鳥には牙があったり。鳥との共通点が化石に見られたり、生きもの好きにはたまらないロマンがつまっていると思うんですよね。化石があり、学説もどんどん新しくなっていきますが、実際に誰も観たことがないからこそ、知らないことが解明されていく楽しみはあるなと思います。

――現在も地続きなんですね。大昔のことだけではない。

 そうなんです。隕石の衝突を境に、そこから哺乳類の進化が始まっていくのですが、それも同じ星の上で起こっていることが、わたしにはグッと来るポイントと言いますか(笑)。もしかしたら映画みたいに恐竜を復活させることも実現するかもしれないけれど、実は会いたいなあとはそれほど思っていないんですよね。恐竜が滅びたことには理由があったと思いますし、だからこそ、会えないからこそ恋焦がれるというか、「どうだったのだろう?」と想像をいくらでも膨らませられるという、そこがまた楽しいところだと思います。

――ファン心理に近いですね!

 そうですね! 対象の私生活までは知らなくていいタイプみたいです。ちょっと近いかも知れません(笑)。

――恐竜は、そのフォルムや造形も美しいですよね。

 多様ですよね。一口に恐竜と言っても本当に多様な進化をしていますし、これだけ見た目もユニークに変化することも魅力です。我々人間からすると、わからない世界というか、なりたくてなったわけではなさそうですよね。長い時間があったからこそ、進化したという背景はあると思うんですよね。肉食恐竜、草食恐竜と大きくわければ二種類ですが、その中でもカモノハシリュウやツノリュウなどに分かれ、それぞれに特徴があったり。ファン心理に近いかもしれないですが、いろいろな恐竜がいる中で、この恐竜のここが好きみたいなものがあると思うんですよ。いくらでも想像ができるし、新しいこと、確かなことを突き詰めていくこともできるし、研究して一生かかってもわからないことだらけだと思いますね。

――生涯のテーマのようですね。

 恐竜の研究って、自分が恐竜を初めて知った頃に比べて、本当にすごく進化していて、当時の図鑑って想像で描かれることも多かったんですよね(笑)。非現実的なことがある中で、解明されていくことがうれしくもあり、知りたくもないなと思うこともあり、だからこそ目が離せないというか、毎年毎年新しいことが解明されていく。永遠ですよね。

1曲に一生勇気、音楽は素敵

新田恵海

――そして映画のタイトルにちなみ、音楽が教えてくれたことは何かありますか?

 その時によってももちろん違いますが、自分がすごく影響を受けたアーティストの方で「Sound Schedule」というバンドがあるのですが、そのバンドの「コンパス」という曲がすごく好きです。その曲を初めて聞いた時に、こういう曲を作れるような人になりたいと思ったんです。自分が作曲するわけではないのですが、映画には特別な2時間があると言いましたが、音楽も特別だと思っていて、そういうことを提供できる人になりたいと。そういう意味です。

――人の人生に影響を与えるって、すごいことですよね。

 いわゆるポップスであれば5分くらい? その1曲に5分に、一生勇気をもらい続ける人がいるわけですよね。その誰かにとっても特別な5分を作れる人間になりたいなっていうのは、その曲を聞いて思いました。何回聞いても背中を押されるような感じになるし、毎日聞くわけでもないけれど、つねにそばにあるなと感じることもありますし、素敵ですよね。

――冒頭で出会いと言われていましたが、映画も音楽も素敵な出会いを重ねたいものですね。

 いまはサブスクなど、たくさんの音楽と出会える機会が広がっていると思うんですよ。サブスクで紐づけでおすすめのアーティストさんも出てきますし、つい最近ではタイのポップスが素敵だなあと思いました。知らない映画もですけれど、オランダ語の映画も観たことがなかったです。英語であれば知っている単語があるので耳に入ってきますけど、知らない言葉だけだと受け取り方も変わってくると思いました。タイの音楽もですけど、タイトルは分かる、でも何を歌っている曲かもわからないけれど、とにかく楽しいみたいな。映画も音楽も、まだまだたくさん出会いたいと思いますね。

(おわり)

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