スピラ・スピカ「楽しいをより追求」リアルな想い詰め込んだ1stアルバム
INTERVIEW

スピラ・スピカ「楽しいをより追求」リアルな想い詰め込んだ1stアルバム


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:20年03月18日

読了時間:約12分

 スピラ・スピカが3月18日、1stフルアルバム『ポップ・ステップ・ジャンプ!』をリリース。2018年8月にシングル「スタートダッシュ」でメジャーデビューした幹葉(Vo)、寺西裕二(Gt)、ますだ(Ba)による3ピースポップロックバンド。本作には「楽しむことが一番大事」というスピラ・スピカの一貫したバンドのスタイルに、新たなテイストも加わった新曲7曲を含む全13曲が収録されている。デビュー曲や常田真太郎(スキマスイッチ)プロデュース楽曲、インディーズ時代から大切にしてきた楽曲のリアレンジ曲などが収録された。インタビューでは『ポップ・ステップ・ジャンプ!』の制作背景や“楽しい”を追求する3人の魅力に迫った。【取材=平吉賢治/撮影=村上順一】

全てが詰め込まれた『ポップ・ステップ・ジャンプ!』

幹葉

――全公演ソールドアウトとなったOne-Man Tour 2019-2020 『スピスピに出会ってくれてサンキューツアー』の感触はいかがでしたか。

幹葉 とにかく楽しいとありがとうがあふれる毎日でした! ソールドアウトというのは私達の目標でもあったので、実際に叶って嬉しい気持ちがあるのと同時に、「ソールドアウトということは観られない人がいるんだ」ということに気づいて。今回観たくても観られなかった人達も来られるような、もっともっと大きな会場でこれからやっていきたいと凄く思いました。

ますだ これだけ多くまわったのは初めてでした。自分達のライブを観るのにこんなに多くの人達が集まってくれるんだというのを考えると、こみ上げてくるものがあるというかメチャクチャ嬉しかったです。

――東京公演を拝見しましたが、凄く楽しそうにプレイしていましたね。ライブで心がけていることは?

ますだ 楽しむことが一番! お客さんよりも自分達のほうが楽しいというくらいの気持ちで臨むことを毎回心がけています。

――お客さんも凄く楽しそうなのが印象的でした。

寺西裕二 回数を重ねるごとにエネルギーが凄くなっているのを感じましたね。全体的にどんどん楽しむ姿勢がちょっと前のめりな感じです。

――それは客席側からとても感じられた点でした。

寺西裕二 僕達が演奏しているのを観てお客さん達に楽しんでもらえて、それを観てさらに僕達が楽しんじゃうという。そういう相乗効果がありました。良い無限ループという。

幹葉 楽しいが止まらんな!

寺西裕二 それがツアーの一回一回にしっかりあったので、「まだまだ続きがあったらどうなっていたんだろう?」と思いました。

――好感触のツアーだったのですね。さて、今作についてですがコンセプトは?

幹葉 “ポップ・ステップ・ジャンプ!”です!

寺西裕二 これは本当にタイトル通りだよね。

幹葉 全てを詰め込んでいて! このタイトルはますだが考えてくれたんです。最初みんなで意見を持ち寄って、スタッフさんと会議室でホワイトボードに全員で案をたくさん書いたんですけど…。

――他にどんなタイトル案があったのでしょう?

幹葉 「はじめての スピラ・スピカ」(笑)。

――ストリーミングサービスの画面でよく見る感じのような(笑)。

ますだ プレイリストですね(笑)。

幹葉 私達のはじめてのアルバムやけん「バンド名を入れたほうがいいんじゃないか?」と思って考えていたんですけど、「これを初めて見て何が伝わかるのか?」ってみんなで話し合っている時に気づいて。改めて「スピラ・スピカの良さって何だろう」というのを出し合ったんです。ポップな曲調とか、ライブで元気になれるとか、親しみやすいところとか。そういうところがタイトルでわかるようにしようというので、タイトル案は一回お持ち帰りしたんです。その後メンバーだけのLINEでますだが「思いついたんやけど」って送ってくれて、それに2人とも「めっちゃいいやん!」ってなって。

寺西裕二 「それ、もらい」ってね。

――『ポップ・ステップ・ジャンプ!』はどのように思いついたのでしょう。

ますだ もともとの“ホップ・ステップ・ジャンプ”という言葉というのがあって、それでもスピラ・スピカ感を表していると思うんですけど、それをより自分達っぽいものにしたいと考えた時に、「ポップ」という言葉が自分達を表すのにピッタリだと思ったんです。それで「ホップ」をもじって『ポップ・ステップ・ジャンプ!』を考えました。

幹葉 「ジャンプ」には今年、より一層飛躍したいという我々の願いと決意も込めています。このタイトルは初めて見た人も色々想像しやすいし、「楽しい感じなのかな!」というのが伝わりやすいと思うんです!

その時に感じたリアルな想いがギュギュッと

寺西裕二

――収録曲について、表題曲の「ポップ・ステップ・ジャンプ!」の歌詞にはどんな想いを込めましたか。

幹葉 この曲はアルバムタイトルが決まってから制作に入ったんですけど、この曲を作曲編曲をしてくれた重永亮介さんは、ツアーも一緒に参加してもらったりと私達のことを近い距離で見てくれている人で、今のスピラ・スピカらしさをギュッと詰め込んでくれました。私達が人生のご褒美だと思っているのがライブなんです。楽しかった思い出や楽しみな予定って凄く生きる力になると思うんです!そういう“楽しい”を、来てくれる人と一緒に作り出したいと思って、この曲は「君がいるから楽しい」というテーマで書きました。歌詞をかいてる時はツアー中だったので、その時に感じたリアルな想いがギュギュッと詰め込まれています! <レッツ ジャンプ!>だったり<もっと クラップ!!!!!>という歌詞だったり、サビに入る前は「フゥッ!」ってな?

ますだ みんなで「フゥッ!」って録ったね(笑)。

――表題曲にピッタリですね。今作で作曲を手がけた曲で寺西さんがこだわった点は?

寺西裕二 今回の新曲で言うと「カラマワリング」です。

幹葉 これは私の推し曲でもあります。

寺西裕二 「カラマワリング」は色々挑戦してみようと。僕らバンドはちょっとドタバタしているイメージがあると思うんです…。

幹葉 楽屋とかでもはしゃいでます(笑)。私だけじゃなくて、彼らもめっちゃ喋るんです!

寺西裕二 そういう部分を曲にしたいなと思いました。ドラムもひたすら同じビートが明暗関係なくいっているところもスピラ・スピカらしいというか。メロディも音符が詰まっていて、歌詞が入れにくいかなというのをわかりながら文句覚悟で作りました。それを上手い具合に受け取ってくれて。

幹葉 歌詞もそれに合わせて、よりドタバタ感のある歌詞をつけてみました。大好きが溢れて溢れて空回りしちゃうという。ドタバタな恋愛ソングに仕上げているんです。早口言葉みたいな歌詞になっとるけん、そこを楽しんでもらえたらなと思います。

――サウンド面についてもお伺いしますが、ますださんがベースプレイでこだわった点は?

ますだ プレイ的に手数を多くしたいというか、そういうところもあるんですけど、レコーディングで印象的なのは「good for nothing」です。

幹葉 この曲はこの間のツアーライブで初披露したんです。

――バンドにとって大切な曲、とライブでおっしゃっていましたね。

ますだ そうです。これはインディーズ時代からある曲で。

寺西裕二 この曲が出来たのはこのバンドを始めてすぐくらいの頃なんです。当時は「最高傑作だ!」くらいの勢いでした。メジャーデビューする前もオーディションとかで一緒に戦ってきた曲なんです。もともとのサウンドは疾走感のあるテンポでエモな感じの曲で、メジャーデビューしてから今のスピラ・スピカとしては、ちょっとギターロック過ぎるというのがありまして。

――本作ではリアレンジされている?

寺西裕二 はい。今のスピラ・スピカだからこそできるアレンジにしました。当時の色んな感情が詰まった曲なので、僕達が戦ってきたところとか結成した時とかを想像してもらいながら聴いて頂きたいなという想いも個人的にあります。そういった感想なども寄せて頂けると凄く嬉しいんです。

――色んな想いがある曲、ということもあって「good for nothing」はアルバムのラストの曲順にしたというのもあるのでしょうか。

ますだ 一番思い入れのある曲です。

寺西裕二 始まりの曲でもあります。

幹葉 でも、良い思い出ばかりじゃなかったんです…色んなことがあって。

――あまり良くない思い出もあった?

幹葉 当時は私が歌詞を書くことがあまりなくて、寺くんが歌詞も書くことが多かったんです。それを私がうまく自分の中に落とし込めないこともあって昔は歌うことが大好きというだけで「伝える」というところまでいけていなくて。ライブハウスの方に「ちょっと気持ちがこもってないかな…」とか言われる時代もあったりして…そういう悔しい思いがあったから今こうやって活動できているんだなって思います。

寺西裕二 その時に自分達がしたいというエゴのようなところが若い形で表れている部分もあったんです。

幹葉 レコーディングではその気持ちを思い出したり、全部包み込むような感じで歌いました。またこの曲との新たな思い出ができました。メジャーデビューしてからこの曲はあまり歌っていなかったんですが、今回リリースしたことによってまたライブでも歌っていけるので、みんなに伝えていきたいです。

――バンドにとって大切な曲なのですね。「一番星、みつけたっ」についてですが、スキマスイッチの常田真太郎さんプロデュース楽曲ですね。

寺西裕二 そうなんです。小学生の時から、スキマスイッチさんの大ファンで!

幹葉 あと、常田さんがガンダム好きというところで話が進んでいったんです。

――今作ではTVアニメ『ガンダムビルドダイバーズ』、アニメーション『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』のテーマ曲がありますね。

寺西裕二 たまたまディレクターさんが常田さんと繋がりがあって、「ガンダムの時、やりたかったよ!」って言ってくださっていたというのを聞いて、驚いたし嬉しかったんです。そういうことがあって、お願いをしてみました!

幹葉 それもあったし、以前スキマスイッチさんと同じフェスに出た時にご挨拶させて頂きいろいろお話もさせてもらったという繋がりもあって、今回楽曲提供して頂けることになりました。常田さんが凄く私達のことを考えて曲を作ってくださいました。

 特に歌詞の面では、スピラ・スピカの「スピカ」はおとめ座で一番明るい星なんですけど、そこから星をピックアップしてくれて、星と家族をテーマに心温まる歌詞を書いてくださって。レコーディングの前にプリプロで常田さんのスタジオに全員でおじゃまさせて頂いたんです。そこで実際にディレクションして頂いたり、その場で私たちの話を聞きながら歌詞を変えてくださったりして。あとは音楽的知識も教えてもらいました。

寺西裕二 いろいろ教えてもらいました。ストリングスのレコーディングの時も、譜面を一緒に見ながら“スキマスイッチ味”のあるテクニックを伝授して頂いて。

幹葉 凄かったよね。ただ楽曲提供してくれるだけでなく寄り添ってくれるというか、私達が成長もできるように、というところまで考えて接してくださったのが凄く嬉しかったです。

ますだ 優しかったよね。

幹葉 優しいしお話が面白いよね(笑)。趣味が明確にあるというか。ガンダム好き、サッカー好き、とか。今作ではジュビロ磐田 2020シーズンソングも入っているんですけど。

――「僕らのPRIDE」ですね。

幹葉 そうです!私がもともと女子サッカー部だったのでサッカーのプレイの話をしていて、「トラップがうまくいかない」という相談にまで常田さんは乗ってくれました(笑)。

――その優しさが楽曲「一番星、みつけたっ」に出ているようなところも?

幹葉 楽曲に滲み出とるね! 特に2番以降の歌詞はスピラ・スピカに寄ってくださっているというか。私達はバンド名に「どんなに暗い道でも希望の光で導く」という意味を込めていて、そういう楽曲を歌っていきたいという想いがあってそれを歌詞に入れてくださったりとか。私達も徳島と奈良から地元を離れて東京で夢を追いかけて頑張っているというのを書いてくださっているので、同じような方に響くといいなと思っております。

――「一番星、みつけたっ」というタイトルがピッタリの楽曲ですね。

幹葉 そうなんです。もともとは「一番星、みつけた」という曲だったんですけど、常田さんが最後のギリギリで「幹葉ちゃんだったら『一番星、みつけたっ』って感じがするよね」って、そういう細かいところもこだわり抜いてくれたのが凄く嬉しかったです。

――さきほどのジュビロ磐田 2020シーズンソング「僕らのPRIDE」についてですが、こちらのテーマは?

幹葉 ジュビロ磐田の「Jubilo PRIDE 覚悟」というスローガンの気持ちも込めて作らせて頂きました。こういう風に音楽でサッカーと関われるとは思っていなかったので凄く嬉しいです。(※Jubiloのuはアキュート・アクセント付きが正式)

――コーラスが印象的な楽曲と感じました。

幹葉 スタジアムでサポーターの皆さんと一緒に歌うのをイメージして作りました。レコーディングもメンバーみんなでレコーディングブースに入って録ったんです。寺くん一番褒められとったよな。

寺西裕二 「オー」って歌うのが上手って(笑)。

楽しいことに対する姿勢がより強まった

ますだ

――スピラ・スピカはSNSやYouTubeでも精力的に活動をしているそうですね。

寺西裕二 よりスピラ・スピカを知ってもらうために、スピラ・スピカのYouTubeチャンネルではMVだけではなく、僕とますだの2人で「テラマス」という企画で動画も上げているんです。

ますだ ユーチューバーではなくYouTube活動というのを(笑)。

――どんなことをやっているのでしょうか。

幹葉 音楽に関係ないことばかり(笑)。

ますだ 料理を作ったり餅をついたり…。

寺西裕二 僕はサバイバルゲームが好きなので「サバイバルゲームの装備を紹介します」という動画も(笑)。意外と反響も頂けまして。

幹葉 あれは知らない世界だったけど私も楽しかったです。

寺西裕二 これからも色々とやっていこうと思っています。

幹葉 メジャーデビューしてからより一層、去年1年間で私達の楽しいことに対する姿勢がより強まったというか。最初はどうかなと思うことでも1回やってみたら楽しいんじゃないかと全員が思うようになったんです。YouTubeも音楽以外の面での動画がきっかけで私達に興味を持ってくださる方もいらっしゃって、この時代だからこそより私達も色々挑戦して、楽しみながらそれを全部音楽に繋げていけたらいいなと思っています。個人的には「テラマス」で音楽に触れた動画も観てみたいなと(笑)。機材を紹介するとかもいいかなって期待しています。

寺西裕二 善処します!

――音楽はもちろん、それ以外の分野での活動も楽しみながら音楽に繋げていくと。軸には“楽しい”というのがあるのですね。

幹葉 結局、楽しいんです。『ポップ・ステップ・ジャンプ!』のMVではサビでダンスに挑戦しているんですけど、ボーカルの私が楽しくダンスしているのはわかると思うんですけど、2人も楽器を置いて踊っているんです。最初は不安だったんですけど、今となっては私よりもダンスを楽しんでいます(笑)。

ますだ ダンス、上達しました(笑)。

幹葉 そういう“楽しい”をこれからもより追求していけたらいいし、それが聴いてくれる人にとってもこの1枚がそのきっかけになってくれたら嬉しいなと思います。

――それでは最後に、6月のアルバム発売記念スピラ・スピカ One-Man Live 『スピスピとポップ・ステップ・ジャンプ!』への意気込みをお願いします。

スピラ・スピカ

幹葉 アルバムリリース記念ワンマンなので、アルバムの曲たちをたっぷりやるのではないかと思います! 常田さんに提供して頂いた曲があったり、「あなたを置いて私は」という渾身のバラードがあったりと、明るくて楽しいだけではない部分も今作で楽しんで頂けると思います。音源を超えていくワクワク感をライブで伝えていきたいです。ワンマンのタイトル通り『スピスピとポップ・ステップ・ジャンプ!』で、前回のワンマンライブを超える楽しいワクワクを、来てくれるみんなと一緒につくりたいなと思ってます! 是非、遊びに来てね!

(おわり)

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事