4人組バンドのOfficial髭男dismが2月11日、神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールで『Official髭男dism Tour 19/20 - Hall Travelers -』の神奈川公演をおこなった。昨年から29公演開催の本ツアーは諸事情により振替2公演があるツアーとなったが、ヒゲダンはこの日がファイナルという意気込みで臨み、新曲を含む全19曲を披露。色鮮やかな演奏と演出のライブを輝かしい熱量で披露。会場となったパシフィコ横浜はどこまでも熱くポジティブなパワーに包まれていた。【取材=平吉賢治】

俺は今日ツアーファイナルだと思ってやる

藤原聡(撮影=橋本歩)

 ピアノの音色と共に会場は暗転。琥珀色のライトが照らす客席からオーディエンスはオールスタンディングでヒゲダンのメンバーを迎えた。SEが止んだ瞬間「イエスタデイ」が始まり、藤原聡(Vo/Pf)の歌う優しいメロディがホールを包み込む。サビで4人のアンサンブルが一気に弾け、小笹大輔(Gt)は音圧たっぷりのギターソロを豪快に決め、楢崎誠(Ba/Sax)は8ビートを走らせながらのコーラスで楽曲のメロディを豊かに彩った。(※楢崎誠の「崎」は正式にはたつさき)

 小笹の強烈なギターフレーズから始まった「Amazing」では、ホーンセクション3人にパーカッション、鍵盤奏者が加わっての豪華アンサンブルとなった。「行くぞパシフィコ横浜!」という藤原のシャウトはツアー横浜最終公演の起爆剤となり、スタンドマイクで激しくも爽やかにパフォーマンス。松浦匡希(Dr)の情熱的なダンスビートでうねるグルーヴにオーディエンスは一斉に右手を掲げて熱くレスポンス。曲間は絶妙な間で繋がれ、ゆったりとした4つ打ちビートに変化し、藤原のリズミックな歌唱、楢崎のオクターブプレイがグルーヴを生み、オーディエンスはクラップでアンサンブルに参加。小笹と楢崎はお立ち台に上がってのユニゾンプレイを魅せ、前半ラストはゴージャスなアンサンブルの“キメ”で締めくくった。

 MCで藤原はグランドピアノに座りテンポ良くトーク。「29本あったツアーも今日このパシフィコ横浜でツアーファイナル!」と、高らかに言葉にし、「…の、はずだった」と、諸事情により2公演のボーナスステージがあるツアーとなったことを紹介。そして「誰一人置いていくことなく、しっかりとみんなにグッドミュージックを届けられるように一生懸命やっていきます!」と、力強く宣言した。

 ライブ中盤「バッドフォーミー」では煌々と輝くプレイとライティングを受け、オーディエンス一体となる景色が広がった。ローズピアノサウンドと16ビートのハーフシャッフルがムーディーな空気感を醸す「Rowan」、そして壮大に開けていく楽曲展開のなかで艶やかに鳴り渡るスライドギターが印象的な「ビンテージ」と、ヒゲダンはあらゆるテイストの演奏を惜しみなく披露した。

小笹大輔(撮影=橋本歩)

 MCでの「みんなどこから来たの?」という問いかけに、客席からは様々な地名が飛び交った。横浜、東京、関東近郊から東北に名古屋、そして北は小樽、南は石垣島と、全国各地からオーディエンス集まったことを受け藤原は驚きのリアクション。メンバーからの「石垣島でライブできるかな?」という言葉に、オーディエンスから「市民会館!」という返答があり、ヒゲダンは「いつか“市民会館ツアー”をしたい」という意欲があることを示した。

 そして藤原は「色んな人がここに集まっていて、その感じが僕は凄く大好きです。ちょっとずつ音楽仲間が増えていって今にいたるわけです。気づけばパシフィコでライブができて、次は横浜アリーナまで決まって――改めてみんなが応援してくれたおかげです。本当にどうもありがとうございます!」と、ホール中に感謝の気持ちを伝えた。そして“麺カタこってりなセットリスト”と藤原が表現したライブ後半戦突入を前に、「ちゃんまつ(松浦)のアクシデントによってあと2公演あるかもしれないけど、俺は今日ツアーファイナルだと思ってやるぞ!」と藤原はライブ熱をさらに上昇させた。

今日の横浜はめちゃくちゃヤバかったです!

楢崎誠(撮影=橋本歩)

 藤原が「この曲歌える人!」と投げかけ、オーディエンスのコーラスがサラウンドに広がった「犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!」、そして次曲では楢崎がベースからサックスに持ち替えてのプレイを魅せる。「踊れる?」という楢崎の問いかけに反応したオーディエンスは、藤原の煽りにも応えて盛大にコール&レスポンス。松浦以外のメンバーが全員ステージ前方に等間隔に並んでのフォーメーションも見せ、どこまでも高まるテンションを目一杯魅せてくれた。

 真っ赤な照明がホールを覆い、つんざくようなギターのリードプレイが鋭く鳴り渡る「FIRE GROUND」では藤原の激しいスタンドマイクパフォーマンスが炸裂。そしてステージセンターでの小笹のギターソロも爆ぜるように轟き、ライブは灼熱のボルテージに到達した。

 4拍子から8拍子のオーディエンスクラップが一体となった「Stand By You」がホールを輝かしく満たし、「パシフィコでみんなと歌えたことが一番誇らしい」という藤原の言葉が染み渡るなか「Pretender」へと続く。光沢感のあるギターフレーズ、ボーカルメロディライン、演奏に聴き入るオーディエンス。ライブ序盤からアップナンバーにミドルテンポ、踊れるダンスチューンにじっくり聴かせるナンバーと、ヒゲダンはありとあらゆる角度から多彩なアプローチでこの日のセットリストを駆け抜け、オーディエンスと共に輝きをみせた。

 そして本編最終曲では<LA LA LA>という合唱のなか、ゆっくりと幕が下ろされる。最後には幕に“Travelers” とツアータイトルの文字が映し出され、ドラマチックにステージが閉じられた。

松浦匡希(撮影=橋本歩)

 本編終了後、数分間の熱烈なアンコールに沸くホール。ヒゲダンは最新曲の「I LOVE...」を含む3曲のアンコール公演で応えた。「I LOVE...」を演奏すると藤原は、「29公演まわって、どんどん音楽仲間が増えてきてくれたということをこのツアーで確認できて本当に嬉しかったです。そして、このファイナルが一番それを肌で感じることができました。マジでお世辞でも忖度でもなく今日の横浜はめちゃくちゃヤバかったです!」と、この日の公演の印象を熱く伝えると共に感謝の気持ちを示した。

 そして「最高のアンコールで締めくくりたいと思います!」と、ラスト2曲を披露し盛大なシンガロングでパシフィコ横浜公演は締めくくられた。残る2公演の“ボーナスステージ”、そしてヒゲダンのこれからの未来に対しての期待感に溢れるばかりの公演だった。

セットリスト

『Official髭男dism Tour 19/20 - Hall Travelers -』
2020年2月11日@神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール

01.イエスタデイ
02.Amazing
03.Tell Me Baby
04.115万キロのフィルム
05.バッドフォーミー
06.Rowan
07.ビンテージ
08.最後の恋煩い
09.犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!
10.旅は道連れ
11.ブラザーズ
12.FIRE GROUND
13.ノーダウト
14.Stand By You
15.Pretender
16.ラストソング

ENCORE

EN1.I LOVE...
EN2.異端なスター
EN3.宿命

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