リーガルリリー「没頭することが一番大事」客観視しないことで生まれる音
INTERVIEW

リーガルリリー「没頭することが一番大事」客観視しないことで生まれる音


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:20年02月04日

読了時間:約9分

無意識だからこそ、自然体であるからこそ

――「ハナヒカリ」はシングル曲で映画『惡の華』の主題歌ですが、作品に寄せた部分もあるのでしょうか。

 全く映像を観ずに作りました。「こういう曲を作ってください」という提示はなかったんです。高校生の時に原作の漫画が好きだったので、その記憶を頼りにして作った曲です。これは久しぶりに作った曲だったんです。

――ちなみに“ハナヒカリ”とはどういう意味なのでしょうか。

 これは造語なんです。花火とか、怖い対象でもある人もいるけど爆弾でもあるし。でも凄く綺麗なのでちょっと『惡の華』に似ているなって。

――ふと思いついた言葉なのですね。

 そうです。これをサビにしました。

――この曲に限らず、リーガルリリーの曲は綺麗な部分と怖いと捉えられる部分のコントラストがありつつも、調和がとれているのが魅力だと感じるんです。そこは意識してそうしているのでしょうか。

 無意識にやっているからこそ調和がとれるのかもしれないです。自然体であるからこそ。

――「猫のギター」のタイトルの言葉の対比もいいですね。

 女の子がギターを持っている好きな絵があるんです。その絵を描く人の作品で、人がギターを持っていると絶対に涙が猫になっていて。それで「猫のギター」って思いついたんです。<ねぇ、このギター>っていうダジャレを思いついて作りました(笑)。

――本当ですね(笑)。こういうのもナチュラルにやるから良い感じになるのでしょうね。

 なんとなく歌詞を書くのっていいなと。

――「ハンシー」という楽曲についてですが、これもなんとなくの言葉でしょうか?

 これは友達の個展を観に行って、そこで凄く良い絵があったんです。女の子が立っている絵なんですけど、それが「ハンシー」という名前だったんです。それで「ハンシー」の意味をずっと考えていて…でもよくわからないから曲にして、後で友達に聞いたら「あれって本当は『パンジー』なんだけど、濁点とかが無くなっちゃって」って言われたんです。その友達は凄く喜んでいました(笑)。

――実は11曲目は「パンジー」でもあるのですね(笑)。

 見間違えでもいいなと思って。それで、パンジーの花言葉を後で調べたらこの「ハンシー」のことを言ってるような感じだったんです。

――パンジーの花言葉は“つつましい幸せ”などがあるそうですが、確かに歌詞とリンクしていますね。

 奇跡です!

――けっこう凄い奇跡ですね…絵からその本質を感じ取ったのではないでしょうか?

 何も考えないと引き寄せ合うというか、そういうのがあるのかもしれません。

――感覚で作ったり表現したりしていることが、全てにおいて良い面に作用している気がします。この作品を聴いても、以前ライブを拝見した時も、今お話して考えるとそう思います。

 無意識なのかもしれません。

――ひょっとしてジャケットもその方が描いた絵?

『bedtime story』ジャケ写

 これは違うんです(笑)。工藤千紘さんという画家の方がメンバー3人の顔を合成して一人の女性の顔にして、「これをモデルに」というアイディアがあったんです。

――斬新な手法で描かれたジャケットだったのですね。さて、アルバム最後の曲「bedtime story」はどのように制作したのでしょうか。

 これはスタジオでインストだけ即興で作ったんです。それで歌詞とメロディも即興で乗せたんです。そうやったらすごく良くなったので、同じ演奏と歌をまたレコーディングしました。同じようにできるように頑張って練習するのが大変でした。即興だったので何を弾いているのかも忘れたし(笑)。

――もとはアドリブだったのですね。ところで、リーガルリリーが音楽活動をする上で最も大切にしていることは何でしょうか。

 没頭することが一番大事だと思って。客観視しないというか…客観視すると作り物みたいになってしまうというか、作り物を作るからこそ、客観視しないで没頭して自分の目で見てしっかり直接、音と歌詞にしたいなと思っています。それを大切にしている気がします。

――没頭している時、人間は幸せを感じるものですよね。

 私もそう思います。

――逆に俯瞰して見ることが大切だと言うプロの人がわりと多いと思うんです。だから新鮮なスタンスだと感じます。

 プロじゃないのかもしれません(笑)。

――絶対そんなことはないと思います(笑)。「芸術を創る」という力が強いのではないかと思います。

 それは嬉しいです!

――自分の作品を客観視することは非常に難しいと聞いたことがあります。

 客観視するとたぶん自分がにせものになっちゃうからかもしれません。“客観視している風”みたいな。だから、どうせ客観視できないんだったらって。

――それでは最後に、3月から始まる1stフルアルバムリリース記念、初の全国10カ所ワンマンツアー“リーガルリリーpresents「bedtime story」”への意気込みをお願いします。

 キャパシティも増えたし初のワンマンツアーだし、良い意味で自分達で冒険をするような、旅をするような、しっかりとしたパーティーを3人で組んで、大きく言うと成長が見えたらいいなと思います。大切なものを守って、その上で成長していきたいです。

(おわり)

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