歌手、俳優の岸洋佑が11月10日(日)、日本橋三井ホールで『YOSUKE KISHI LIVE TOUR “THE ONEMEN'S”』東京公演をおこなった。本ツアーは東名阪3箇所で開催され、この日がファイナル公演となった。9月25日に発売された2ndミニアルバム『THE ONEMEN’S』収録の曲たちが擬人化し、アイドルユニット「THE ONEMEN’S」を結成し、ユニットのプロデューサーを務める岸洋佑による6人組架空アイドルユニットのデビューライブ(という設定)であるこの東名阪ツアー。最終公演は大盛況のなか幕を閉じ、最後に2020年の全国ライブハウスツアーのアナウンスもされた。【取材=平吉賢治】

収録曲たちが擬人化したアイドルユニット「THE ONEMEN’S」

岸洋佑(撮影=藤森勇気)


 
 開演と共にオープニング映像が流され、ステージに姿を現したのは「岸P」というTHE ONEMEN’Sのプロデューサー。カーディガンを肩で結ぶという昭和プロデューサー的スタイルの岸Pは、「いつものライブとは違う」と説明する。本公演は、岸洋佑がプロデューサーや6人組グループTHE ONEMEN’Sメンバーに扮してライブを進行するという趣なのである。ライブはアイドルユニット「THE ONEMEN’S」の各メンバーの紹介画像を経てパフォーマンス、という流れで進んだ。

 まずは真面目なリーダーキャラの赤担当「ようすけ」が登場。ようすけは“Unofficial髭男dism”という(架空の)バンドの元ボーカル。THE ONEMEN’Sリーダーらしく「全員のメンバーを愛してくれたら」と、真面目な物腰でキリッと語り、「ごめんね」をハンドマイクで熱唱。そして岸Pに「君にはど真ん中を行ってほしい」と言われたという流れで「僕への挑戦状」のストレートな歌唱を披露。アップテンポの曲調にオーディエンスは総立ちで応えた。

 続くメンバーはオレンジ担当の「すけさん」。独特の間を生み出すキャラの彼は、某有名牛丼店中目黒店の元店員というプロフィールを持つ。5年間務めたという牛丼店勤務時代のルーティンが抜けきれないのか、すけさんはしきりに「いらっしゃいませ!」という挨拶を朗らかにはさむ。歌うのはもちろん「牛丼の歌」。牛丼愛特盛の歌唱を披露したのち、岸Pから「もう練習はいらない」というお褒めの言葉をもらったということを告げ、「見えない絆」を歌い上げる。すけさんは笑顔の接客スタイルでの挨拶でステージを去った。

 3人目はややシニカルなキャラの緑担当「岸くん」。どうやらいまでもグループに加入してパフォーマンスをすること自体が「ドッキリなんじゃないか」と疑心暗鬼な様子だが、岸くん推しのオーディエンスは多めだ。元々作曲家志望だったという岸くんは「クレセチア」で見事な弾き語りプレイを魅せた。

 そしてピンク担当の「お岸」は可愛らしい愛されキャラ。ふんわりとした雰囲気だが、元サラリーマンで営業をバリバリとこなしていたという彼はたまに“営業マンスイッチ”が入り、体育会系の気合溢れる挨拶を挟むというギャップを持つ。お岸は「拍手がズレがち」と懸念を示していたが、「Door」ではオーディエンス一体の拍手が鳴り響き会場を盛り上げる。そして岸Pから「一番カワイイ曲をあげる」と言われたという「ライム」へと続き、愛嬌をたっぷり振りまきつつ、次のメンバーへバトンタッチしようとするが、「次は一番苦手なメンバーが来る」という捨て台詞と共にお岸はステージを後にした。

 どんなメンバーが来るのかというドキドキの空気感のなか現れたのは、ハイテンションなパリピ的キャラの青担当「KISSY」。良い意味で“チャラい”というフレーズが似合うKISSYは「PON!!」「ヒェ」という謎のトースティング(掛け声)を曲中もトーク中もかなりの頻度で差し込む。そのテンションに触発されたのか、「夏のシンパシー」では会場大盛り上がり。KISSYは「みんなこんなにパリピだと思わなかった!」と、熱量十分のコール&レスポンスを巻き起こした。そして岸Pから「これが一番チャラいよ」と渡されたという楽曲「スナイパー」をフルテンションでパフォーマンスし、KISSYは「PON!!」と連呼しながら嵐のように去っていった――。

岸洋佑(撮影=藤森勇気)

 最後は陽気なアニソンヲタクキャラの「ようくん」が登場。彼は、とあるアーティスト(本人は途中まで伏せていたが、オーイシマサヨシのこと)のライブでコール&レスポンスで応えていたところを、たまたま生放送を見ていた岸Pがスカウトしたという経緯でグループに加入した。ステージではフリップボードを駆使したコール&レスポンスで「Sing'n Step」「シズク」と会場を大いに盛り上げた。

2020年の全国ライブハウスツアー開催発表

岸洋佑(撮影=藤森勇気)

 あまりにも個性的かつクールな6人組THE ONEMEN’Sが一人ずつ、紹介映像の後にステージでパフォーマンスという斬新な本編は、最後に再登場した岸Pの挨拶を経てメンバー全員集合の映像がスクリーンに映し出され幕閉じとなった。

 アンコールが沸き起こると再びスクリーンに映像が映し出され、2020年の全国ライブハウスツアー開催がアナウンスされ、オーディエンスからは歓喜の声が上がった。

 そしてここで、「岸洋佑」が初登場。説明が重複するが、本日の出演メンバーおよびプロデューサーは、全て岸が設定し、自身が扮するキャラクターだ。岸はここで「壮大なおふざけにお付き合い頂きまして…」と、控えめなコメントをしたが、会場からは大満足の拍手喝采。あまりにもハッピーな空気感に満たされていた。

 MCで岸は来年のライブハウスツアーについて、「最近は色んな活動をやって、こうやって奇想天外なこともやったんですけど、一回初心に戻って音楽で全国を、歌でみなさんに喜んでもらえるように、新曲いっぱい作って頑張ろうと思っています」と、音楽に対する意気込み、そしてオーディエンスに対する温かい想いを伝えた。

 そして、「ちゃんと『岸』として歌おうかなと思ってますけどいいですか?」という言葉に割れんばかりの歓声が上がり、「メッキのメダル」「Everybody!!!」と2曲のアンコールに応え、『YOSUKE KISHI LIVE TOUR “THE ONEMEN'S”』ファイナル公演を締めくくった。

 公演最後に「本当に、『THE ONEMEN’S』という企画を作って受け入れてもらえるのか不安すぎてスーパー不眠症だったんですけど、みなさんの顔を見るとよく眠れそうでございます。本当にありがとう!」と、企画、ツアーの手応えをオーディエンスへ伝えた。あまりにも楽しい時間、本公演が大成功であったことは、岸が述べたように、オーディエンスの笑顔が何よりも物語っていた――。

セットリスト

『YOSUKE KISHI LIVE TOUR “THE ONEMEN'S”』
2019年11月10日@東京・日本橋三井ホール

01.ごめんね
02.僕への挑戦状
03.牛丼の歌
04.見えない絆
05.いついつまでも
06.クレセチア
07.Door
08.ライム
09.夏のシンパシー
10.スナイパー
11.Sing'n Step
12.シズク

ENCORE

EN1.メッキのメダル
EN2.Everybody!!!

岸洋佑 ライブハウスツアー2020

『改めまして、岸洋佑と申します』

2020年2月1日(土) 福岡 DRUM SON
2月2日(日) 鹿児島 SR HALL
2月8日(土) 金沢 AZ
2月9日(日) 新潟 CLUB RIVERST
2月15日(土) 広島 BACK BEAT
2月16日(日) 岡山 image
2月22日(土) 柏 ThumbUp
2月23日(日) 横浜 BAYSIS
3月7日(土) 静岡 Sunash
3月8日(日) 京都 MUSE
3月14日(土) 水戸LIGHT HOUSE
3月15日(日) 仙台enn 2nd
3月28日(土) 札幌Space Art Studio

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