印象的だったシーン
――皆さんそれぞれ印象的だったシーンは?
三原健司 今回、撮影よりも編集の方が時間が掛かっているんです。なので、撮った時の画がそのまま使われるとは思っていなかったので、作品全体が印象的でした。敢えて上げるとするならば、1サビ前の女性のキャストさんがこっちを向いて、その目から自分たちの演奏シーンに入っていくというのが特に印象的でした。
三原康司 僕は全体のストーリーが印象的でした。男性と女性のキャストさんが、すごく良い流れを作ってくれていて「VISION」という曲に対してマッチしているなと思いました。映像効果として撮影したものを切り取っているんですけど、それが新しいなと。いろんな“VISION”があるなという捉え方も出来ると思いました。様々な進み方がある中で、最後のサビに入る前、切り取られたものがある中で、キャストさんが手を繋ぐシーンというのはグッと来ました。山口さんは「VISION」のメッセージをしっかり受け取ってくれて、MVを作ってくれたんだなと思いました。
――1度は手を繋いで引き寄せるんですけど、また離れていくというのが印象的でした。
三原康司 手を繋ぐシーンは僕の中で目標を達成した感覚なんです。でも、その達成した後にまた新たな目標を探しに行くのは、すごくフレデリックらしいなと思いました。何かやる度に視野が広くなって、次はこうしたら良いんじゃないかとか、流れになっていくので。それをすごく感じられるMVです。
高橋武 僕も手を繋ぐシーンはすごく印象的でした。この曲の印象として未来にどう向っていくかというところにフォーカスしていると思いました。その手を繋ぐシーンというのは、一度辿り着いた、何かを達成したイメージがあります。それは「VISION」の楽曲の持つ未来にどう向かっていくかという力と、辿り着いた後の光景も想像させてくれるんです。それがこのMVがあることで更に広がる「VISION」の見え方なのかなと思っていて。楽曲の持つ力や魅力、伝えたいことを広げてくれている感じが、手を繋ぐシーンにすごく感じました。
――隆児さんの印象的なシーンは?
赤頭隆児 同じカットがまた後で来たり、同じものが増えたりしていくんですけど、それは音楽でも僕らがやっていることなんです。それが映像となって目に見えるのは面白いなと思いました。
山口健人 男性が追いかけているんですけど、また同じところに戻ってきてしまうというのは、タイムリープ的なものを表現していて、何度も繰り返して“未来を掴む”という流れになっているんです。
赤頭隆児 でも、まったく同じではなくて、同じものでも違ったように見えるんです。例えば僕らの音楽でも同じフレーズがでてきた時に、他のパートの変化によってフレーズが違って聞こえるようにしています。その楽しみ方を映像でもやっているのが面白いなと思いました。
三原康司 僕らはイントロで使ったフレーズを、そのままAメロのバックに使ったりして、同じなんだけど、また変わって聞こえるんです。そういうのは音としても色んな所に散りばめられています。
――切り取った映像というお話も出てきましたが、年々映像も進化していると思うのですが、山口さんは映像業界の進化というものはどう感じていますか。
山口健人 昔はフィルムで撮っていて、画面の比率が16:9など、フィルムのサイズに合わせるしかなかったんです。でも、今はデジタルで撮るので好きに形を変えられます。映画のフォーマットで撮る必要もないですし、スマホに合わせた縦型でもいいわけで。画面を好きな形に切って比率やルールに縛られないものを作っていきたい、ということは意識した部分でもあります。
――今回、フレデリックと一緒にやってみて、ルールを取っ払って、こんなことをやってみたら面白いなとかありますか。曲にもよると思うんですけど…。
山口健人 パッと思いついたのは、みなさんが無重力で演奏してみたら面白いんじゃないかなと思いました。あっ、ここはカットで大丈夫です(笑)。
一同 (笑)。
――でも、きっと無重力での撮影も今は可能なんですよね。さて、山口さんが一番観てもらいたいシーンを敢えて上げるとしたらどこですか。
山口健人 ラストのサビ前、映像表現としても観てもらいたいのは、先程もお話に出てきた手を繋ぐシーンです。あと、いろんな画面が浮いているというのは、いろんな可能性が浮いている、可能性が広がっている“VISION”というものをそこで表現しているので、そこにも注目してもらえたら嬉しいです。
――あと、個人的に気になったのが女性のキャストさんは外国の方で、男性は日本人というところに、日本人であるフレデリックが、世界というものを惹き寄せていくという意味もあったりしますか?
三原康司 外国人のキャストさんが出演されていたのは“広さ”だと感じました。山口さんが先程お話されていた、枠にとらわれない映像という、自由にやれる時代だからこそ、そういう表現をしたというのは、僕ら自身も音楽としてももっと広く考えたいですし、メッセージも含めて出していきたいところなので、そこを感じ取って下さったのかなと思いました。
山口健人 同世代の“VISION”というのも大きいかもしれないです。僕が今50歳だったらまた違うVISIONですし、20代前半でもまた違ったものになっていたと思うんです。30代に突入するというところで、ある程度やってきたことに対して一度手を繋ぐという感覚もあります。でも、ここで「俺ら現状維持だぜ」ということではなく、更に可能性を広げていくという意味で、新しい一歩を踏み出すというVISIONが、僕とフレデリックが同世代というところで共有できていたのかなと思いました。









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