鳥山真翔「このメソッドが一般化してくれたら」IQ151が生み出した美顔ボイトレに密着
INTERVIEW

鳥山真翔「このメソッドが一般化してくれたら」IQ151が生み出した美顔ボイトレに密着


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年07月30日

読了時間:約6分

 美顔効果のあるボイスレッスンが人気を博している。それはシンガーとして活動し、現在はボイストレーナーの鳥山真翔(とりやままなと)がおこなっている「スイッチオブボイス」というスクールで、日本テレビ系『マツコ会議』でも取り上げられ、今では2カ月後のレッスンまでキャンセル待ちという状態だ。今回MusicVoiceでは、そのレッスンを体験し、その効果はどのようなものだったのか検証レポートする。

声の高さや明るさを取り戻す

レッスン風景

 鳥山氏は幼少期より、子役として数々のドラマや映画等に出演。その後、ゴスペルシンガー、ディレクターとしてプロ活動をおこなう。人の声がどこで響いているのかが、色で見えるという共感覚を生かし、現在はボイストレーナーとして、数々のテレビ番組、著名人、レコード会社、専門学校等での発声指導をおこない、これまでに1万5千人以上の指導をおこなっている。

 「美顔ボイトレ」と題したトレーニングで、顔の表情筋を動かし、ボイストレーニングとしての効果を導き出し美顔効果もあるという、他ではあまり聞いたことがないトレーニングだ。その“美顔”という言葉からも9割が女性の受講者で、参加する人の職業も航空会社で働いている人から、声を使う職業の人など幅は広い。参加者の多くは自身の声や表情にコンプレックスを抱えており、その改善を目的としてきている人が大多数。

 人間は40歳を過ぎたあたりから、特に女性は声が低くなってくるという。それは更年期障害や頬の筋肉が下がってきていることに起因するもので、これを戻してあげれば声の高さにも変化があらわれるという。鳥山氏は独学でこの方法を編み出したとのことで、過去に整体師や脳科学者としてのキャリアもあり、解剖学や心理学、脳科学を学んできたその解説にも説得力があった。IQ151ということで、全人口の約2%ほどしかいない知能指数から導き出されたメソッドだ。

 筆者もライターという職業でインタビューをすることも多々あるため、滑舌を良くしたい、文字起こしの際に聞くことになる自身の声に違和感があるため、それが改善できればと期待して参加。鳥山氏の話では、録音した声の違和感をなくすことも、このレッスンでは可能とのことなので期待が高まった。

 レッスンに入る前に、まずは表情も大きく変わるということで、真顔と笑顔の2種類の写真を撮影。これはレッスン後にもう一度同じ条件で撮影し、表情にどれだけ変化があったか確認するためのもの。

 そして、「上を向いて歩こう」を全員で歌唱し、鳥山氏が表情や声をチェック。そのあと、自己紹介とそれぞれの悩みを丁寧に聞いていき、それはちょっとしたカウンセリングをおこなうかのよう。そして、自己紹介とカウンセリングからこの日のテーマが決まる。今回はグループレッスンだが個別にも近い、寄り添ったレッスンといった感覚があった。そのため、受講者の人数は20人までとしているとのこと。

このメソッドが一般化してくれたら

レッスン風景

 レッスンは声を出す実践の前に、声の仕組みを約1時間ほど掛けて丁寧にじっくりと教える。これは目的をしっかりと持ってもらうためのもので、受講者とコミュニケーションを取りながら和気あいあいと、時折ジョークなど織り交ぜながら軽快にレッスンは進んでいく。このあたりはシンガーとしてステージ経験のある、鳥山氏のパフォーマーとしての一面も垣間見れた。

 その中でも通常のボイトレと一線を画していたのは、鼻腔共鳴という鼻の骨で響かせる方法を使った発声法だというところだ。よく、「腹から声を出せ」という話を聞くが、それは間違っていて、実際は胸のあたりから声は響いているという。しかしそれは声帯を筋肉で圧迫してしまう、その筋肉は精神的にも左右されるためあまり良くないと話す。鼻腔共鳴を使えるようになれば、骨で声を響かせているため、録音された自分の声にも違和感はなくなるという。賛否両論があるレッスン方法だと話す鳥山氏だが、効果が出ればそれが正解だと、自信をのぞかせていた。

 どのように鼻腔共鳴させるかを実践していくわけだが、これがまた結構難しい。頬の筋肉を上げる運動と、顎を動かさないという顔面の神経をフル稼働させていくレッスン。鼻と頬の間を手で補助して上げるわけだが、これがなかなか手ごわい。しかし、徐々に表情に変化が訪れ、受講者の声も明るくなっていくから不思議だ。

 なかなか自分自身では変化に気づきにくいが、受講者の変化は著しい。最初は低かった声が、頬の筋肉が押し上げられどんどん明瞭になっていく。鳥山氏は他人の変化と自分の変化は同じだと思って良いとのことなので安心感もあった。

 熱の入ったレッスンが終わってみれば、予定時間の120分を超えていたが、それを感じさせない充実した時間と、普段使っていない顔の筋肉を動かしていたこともあり、筆者は翌日顔が筋肉痛になっていた。声もおこなう前と比べると明るくなり、このトレーニングを継続していけば、この声をキープしていけるはずだ。終了後の受講者に話を聞くと「効果を実感できた」「また機会があれば参加したい」と、満足度も高かった。

 最後にシンガーとしての活動を無期限休止にしてまで、このボイトレに臨む鳥山氏は、このレッスンの理想像として、「自分が発信しなくてもこのメソッドが一般化してくれたら嬉しい」と話す。それは、このレッスンをおこなうための体力や精神力の消耗も激しく、「あと2年ぐらいが限界かな(笑)。将来は山奥で文筆家をしたい」と笑顔で話してくれたが、確かに全力で20人の受講者と接する姿を見ていると、まんざら冗談でもなさそうだ。

 声の明るさや本来の高さを取り戻し、表情筋によって美顔効果もあるこのレッスンの人気はまだまだ続きそうだ。【取材=村上順一】

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