桜田ひより(16)と上村海成(22)が、28日公開の映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』に出演する。『溺れるナイフ』『21世紀の女の子』で知られる山戸結希監督の最新作。相原実貴氏の同名コミックを原作に、初恋愛をきっかけに悩み苦しみながらも自分自身をみつけていく女子高生のリアルな成長を描く。本作には、思春期に体験する様々な感情を映し出すなかで、様々な問いかけをしている。そのなかに「知ることで得るもの、失うもの」があるように思える。大人へと成長してく過程で誰もが経験するであろうこのテーマに、若き俳優の桜田と上村はどう向き合ったのか。【取材・撮影=木村陽仁】
二人の共通点、「言えない…」
映画は、一人の純朴な高校2年・少女のリアルを描いた。3人の魅力的な男性に好意を抱かれる夢物語のなかで行き交う喜びや悲しみ、脆(もろ)く激しい感情を映し出した。その主人公・成田初(はつみ)役を演じたのは映画初出演に初主演に抜擢された堀未央奈(乃木坂46)。初(はつみ)に恋する男性役を、清水尋也(橘亮輝役)、板垣瑞生(小田切梓役)、間宮祥太朗(成田凌役)が務めた。
桜田ひよりは初(はつみ)の妹・茜役を、上村海成は初(はつみ)の同級生・八木すばる役を演じた。2人の共演は今作が初めて。衣装合わせが初対面の場だったといい、その時の互いの印象は「良い方」「優しそうな方」。しかし、監督の一言でその印象はがらりと変わったという。
桜田ひより「監督に『若い方々で一番尖(とが)っている2人を選ばせていただきました』と言われて…。その瞬間、『尖っている…?』となって(笑)」
上村海成「挨拶の時点で可愛らしい雰囲気だなと思ったのに、その一言で『え!? 桜田さんって尖ってるの!?』って(笑)」
桜田ひより「同じシーンも結構多かったので、『この先どうしよう…』とお互いに不安が残ってしまって…(笑)」
監督が言っていた「尖っている」というのは無論、役者としての才を誉めてのことだ。実際の撮影現場では他愛もない話などで笑い声が飛び交うなど、和やかな雰囲気だったという。
そんな桜田が演じた茜は、引っ込み思案な初に対して快活で、真逆な性格ともいえる。しかし、その明るさは本音が言えない裏返しでもある桜田は語る。
桜田ひより「茜は、自分のことよりもお姉ちゃんのことを考えている女の子。ただ、お姉ちゃんを中心に周りが動いていて、茜は(男性から)愛をもらえない女の子でもあって、独りぼっちという感覚がすごく大きい。ただ、自分のなかで大きな存在はお姉ちゃんだし、大好きな存在とも思っていて。自分の意見はしっかり持っている茜だけど、言えそうで言えない、本音をずっと隠していて、もろに出さない。お姉ちゃんの前でも出せない。でも唯一出せるのがすばる君。すばる君の前だと自分の本音が言える、そんな女の子です」
一方の上村が演じたすばるは、おとなしい性格でクラスではオタク扱いされている。クラスメイトで幼馴染の初(はつみ)に好意を寄せるも、茜に好かれている。
上村海成「すばるは、初(はつみ)の事がずっと好きだったけど、言えないままでその男の子たちの輪に入れない。シーンのなかで(小田切)梓とのカースト(階級)の違いを自覚させられるセリフがあって。そういうところもリアルだなと思いました。すばるほどではなかったけど、自分の高校時代にもそういった共感できることがあって。例えば、サッカー部やバスケ部が頂点みたいなところがあって、そういう所には入れない。そういう時代をすごく思い出しながら演じていました。格の違いを感じながらも、だからと言って自分はそっちに行こうという勇気もなくて。すばるはリアルな男の子だなと」
その輪に入れないことへの葛藤はあったのだろうか。
上村海成「そこへの葛藤はそんなになかったと思うんです。そういうことは中学ですでに思い知っていると思います。そこはあきらめのような感じだったのかもしれない。ただ、茜との関係は、自分が演じながらも『お前、どうするんだ! はっきりしてやれよ!』と思っていました(笑)。すばる自身は、なあなあにしたいわけではないけど、女性に好かれるという当事者になったことがなかったから、0か100かでは考えられなかったのかなと」