シンガーソングライターのTiAが6月6日、東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでワンマンライブ『TiA 15th Anniversry Concert~MIRACLE 奇跡の軌跡~』をおこなった。ライブは6月5日にリリースされたデビュー15周年を記念したおよそ7年半ぶりとなるフルアルバム『MIRACLE』の楽曲を中心にデビュー曲「Every time」などアンコール含め全14曲を披露。ソウルフルな歌声は集まった多くの人を感情を揺さぶった。愛と感謝に満ちた15周年ライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

魂を届けている

TiA(撮影=Ryosuke Kanesaka)

 2014年に単身渡米し、ゴスペルと出会い歌に対するアティチュードが大きく変わったTiA。デビュー15周年を記念したライブには多くの人が、TiAの“深化”した歌声を聴こうと会場に集っていた。開演時刻になり、TiAが2016年に優勝したアメリカ最大級のゴスペル大会『マクドナルド・ゴスペル・フェスト』、その時の模様をSEとし、サポートバンドメンバーとコーラス隊がステージにスタンバイ。

 そして、TiAが「15周年コンサート、盛り上がる準備は出来ていますか?」と、影アナウンスでオーディエンスを煽り、タオルを掲げながらステージに登場しニューアルバムの中でも一際ファンキーな1曲「Funk it up!! 」でライブの幕は開けた。活気に満ちたサウンドとグルーヴ、そして、全身を使ったパワフルなTiAの歌声で扇情する。

 ここでスペシャルゲストとして、10年以上の付き合いとなる土井あかね(Key)をステージに呼び込み、デビュー曲「Every time」、「流星」、「ねがい」と15年前にリリースされた楽曲をメドレーで披露。これまでの軌跡を辿るように、伸びやかで表現力豊かな歌声で15周年を彩った。さらに「be fulfilled」の一節をアカペラで届ける。静寂の中に響き渡るその歌声は、空気が激しく振動していることがわかるほどのエナジー。そして、土井のピアノの音色をBGMに「何歳になっても夢を持つことや、挑戦することは大事だと感じています」と想いを語った。

 続いて「be fulfilled」のアンサーソングの「I'm On My Way」を土井と西村貴行(Sax)の3人で届けた。アメリカで新しい夢を見つけ、まだ夢の途中だと話すTiA。夢の途中だからこそ希望に満ちた未来、光を感じさせるような歌で、我々の背中を押してくれるような瞬間だった。

 衣装をチェンジしたTiAが次に届けたのは「CENTER OF MY JOY」。「ゴスペルは日本では売れないと言われました…。でも私はこのゴスペルに救われました。本当に信じたものを届けることが皆さんの心に伝わると信じています」と、ずっと歌い続けてきた1曲で、TiAの人生を変えた「CENTER OF MY JOY」。その歌声は生命力に満ちており心を揺さぶりかけ、多くの人の涙腺を刺激する。「私が今まで辿ってきた道に感謝しています」と感情をさらけ出しながら歌い上げるTiAが印象的だった。

 TiAの第2章が始まることへの感謝を込めた「It Could Have Been Another Way」は、歌う意味、存在理由を感じさせた。この曲の前のMCで話した「誰かに見せるために歌っているというよりは魂を届けている――」、まさにこの言葉を体現するような歌声だった。

例え聴いてくれる人が一人であっても私は全力で歌を届けたい

TiA(撮影=Ryosuke Kanesaka)

 スペシャルゲストにタップダンサーの村川雅史を招き、ガラッとシーンを変え、テンションアゲアゲなナンバー「Praise Break」を歌唱。TiAも客席に降りパフォーマンスする姿が印象的だった。一旦ステージを後にしたTiAが戻ってくるまでの間、村川と髭白健(Dr)のタップダンスとドラムという珍しいリズムバトルで会場を沸かせ、バンドメンバーによるインストへと繋がっていく。

 白いドレスにチェンジしたTiAが再びステージに登場し届けられたジル・スコットのカバー「It’s Love」は、グルーヴィーなループの中、コーラス隊のAndrew Tinashe Soda、Beni K Bates、Imani Jessica Dawsonの3人をフィーチャーしたセクションもあり、3者3様の歌声を堪能。そして、コール&レスポンスで会場全体で一つの空間を作り上げた。「ニューヨークではこうして1つのループでみんなで歌って遊んでいました」と楽しそうに話すTiA。ニューヨークでのひと時を垣間見たかのようだった。

 「UNTIL YOU COME BACK」を歌い終え、TiAは渡米したことについて「私は日本に必要とされていないんじゃないかと思いニューヨークに行ったんですけど、気づいたらいつも応援してくれているみんながいたんです。必要とされていないわけではなかった。例え聴いてくれる人が一人であっても私は全力で歌を届けたいということを思うことが出きました」と『マクドナルド・ゴスペル・フェスト』に出演し優勝したことなど、これまでに沢山の奇跡が起きたことを告げ、「私の大切な答えを見つけました」とアルバムの表題曲でこれまでのTiAを見てきていたかのような楽曲だと話す「Miracle」を届けた。
 
 本編ラストはゲストも交えた全11人によるフルラインナップで「Joyful」を披露。タイトルに偽りなしの歓喜に満ちた楽しい1曲。<Joy Joy Joy♪>とシンガロングなどポジティブなエナジーでクライマックスに相応しい空間を作り上げ、ステージを後にした。

 “TiAコール”に再びステージに登場。ゴスペルに出会って愛されていることを実感したと、アルバムでも最後を飾るナンバー「君は愛されるため生まれた」を披露。以前訪れた神戸の養護学校で、この楽曲が歌われているのを聴いて感銘を受けた1曲で、誰もが愛されていることを感じたという。すべてを肯定してくれるかのような、TiAのソウルフルで愛に満ちた歌声、そして「皆さんと一緒にひとつになりたいです」と呼びかけ、オーディエンスの歌声がホールを包み込む至高の空間。素晴らしい音の響きを体全体で浴び、『TiA 15th Anniversry Concert~MIRACLE 奇跡の軌跡~』の幕は閉じた。

 改めて音楽の素晴らしさを実感させてくれたコンサートだった。歌うことの意味をさらに見出したTiAは、これからも最高の“歌=魂”を届けてくれることを確信させてくれた。16年目に向け歩き出した彼女の未来に期待したい。

セットリスト

TiA 15th Anniversary Concert 〜MIRACLE 奇跡の軌跡〜
6月6日@東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

01.Funk it up!!
02.Every time
03.流星
04.ねがい
be fulfilled (アカペラ)
05.I'm On My Way
06.CENTER OF MY JOY
07.It Could Have Been Another Way
08.Praise Break
09.Band Inst
10.It’s Love(Cover)
11.UNTIL YOU COME BACK
12.Miracle
13.Joyful

ENCORE

EN1.君は愛されるため生まれた

【バンドメンバー】
Sx 西村貴行
Gt 田中"TAK"拓也
Key 山本裕太
Bs 堀井慶一
Dr 髭白健

【Chorus】
Andrew Tinashe Soda
Beni K Bates
Imani Jessica Dawson

【ゲスト】
Keybord 土井 あかね (Akane Doi)
Tap Dance 村川雅史

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