スターダスト☆レビューが16日と17日、東京・中野サンプラザで全国ホールツアー『スターダスト☆レビュー ライブツアー「還暦少年」』の東京公演をおこなった。同ツアーは、昨年6月にリリースした4年ぶりのオリジナルアルバム『還暦少年』を引っ提げ同年10月27日の神奈川・ハーモニーホール座間を皮切りに現在今年9月20日の北海道・旭川市民文化会館 大ホール公演まで58公演が発表となっているが、今ツアーは12月にかけて約80公演予定されている。東京公演では、根本要(Vo、Gt)が「年取って表現できることがまだまだある」と語ったように、彼らの無限の可能性を感じるステージで観客を魅了した。16日の公演の模様を以下にレポートする。【取材=松尾模糊】

「思い出ご飯」

ステージの模様

 会場が暗転し、スクリーンを使用したスターダスト☆レビューらしいオープニング演出の後、この日ならではの選曲ということでデビュー曲の「シュガーはお年頃」他ポップなナンバーを立て続けに3曲披露し会場のボルテージを上げた。

 根本は「いつも年明けに中学の同級生と新年会をするんですよ。みんな還暦なので、今年3月に退職したり、転職したりするという話を聞いて、そうかもうそういう齢かと。『要はいいよな、いつも遊んでるみたいで』と言われて、そうかな? と思ったんですけど、僕らは演奏するプレイヤーでもありますよね。ゲームセンターでゲームする人もプレイヤーって言うじゃないですか。だから、もっと遊ぶ感じでいいのかなと思って『還暦少年』ができました」とアルバム制作のきっかけを振り返る。

 そして、ホーンセクションが印象的なアッパーソング「恋するTシャツ」を披露。根本は同曲について「交差点で大事そうに着古したジョン・レノンのTシャツを着ている人が目について。大事に着られるTシャツの物語も面白いんじゃないかなと思って」と語る。

 さらに、添田啓二(Key、Cho)のエレピがシックに響く「Blues In The Rain」、1993年にリリースした代表曲「木蘭の涙」などを披露。「木蘭の涙 ~accoustic~」では根本がステージの端から端までゆっくりと歩きながら、その特徴的なハスキーボイスを存分に響かせて観客も静かに聴き入っていた。

 前半には休憩を挟み、その間メンバーは「思い出ご飯」と題しトークを展開。根本は「2001年に100曲ライブをやった時に、崎陽軒さんのシュウマイ弁当を1万5000食出してもらって。あれは忘れられない」と2001年8月に101曲を演奏し「24時間でグループによる最も多く演奏された」としてギネス世界記録にも認定された、静岡県つま恋多目的アリーナでのデビュー20周年記念ライブ「つま恋100曲ライブ〜日本全国味めぐり〜お食事付」の思い出を挙げた。

 柿沼清史(Ba、Vo)は「幼稚園から小学1年生くらいの時にチキンラーメンが大好きで、でも突然、小学生の時に関東地方から無くなってしまって。ツアーで大阪に行った時にスーパーでチキンラーメンがあって、箱買いして渋谷のライブでお客さんに配りました」と話す。

 ツアーなどでカレーをメンバーやスタッフに振舞うという林“VOH”紀勝(Per、Vo)は「アルバム『Ladies & Gentlemen』のレコーディングの時に初めてチキンカレーを持って行って。でも焦がしちゃって…そこから焦がさないようにどんどん鍋が大きくなりました」とエピソードを明かす。

 添田は「ツアーの旅先で食事をすることがあって。福島の郡山で塩焼きの魚が出てきたんですよ。それを綺麗に食べたら、リーダー(根本)がずっと見ていて…『よし、綺麗に食べたな』と言ったんです。緊張しましたね」と根本のこだわりに言及。10代の頃、賞金の出る大食い選手権に出場していたという岡崎昌幸(Gt、Key&Cho)は「静岡でわんこそば大会に出たんですね。大食い大会に出ていたことは内緒にしていたのですが、スタッフが話していて。根本さんが優勝するぞとプレッシャーで140杯を超えてから記憶がないですね。優勝したんですけど」と思い出を語った。

 寺田正美(Dr、Vo)は「移動などでお弁当をもらうことがあるんですけど、大阪から東京に帰る電車でスタッフさんがうなぎ弁当を配っていて。僕の分だけなかったんですね。それで隣の車両に行ったから持って来るのかな? と思っていたらいつまでも来なくて…メンバーの食べるうなぎの匂いを嗅ぎながら、僕の来てないですと言ったら、やっと持って来てくれて(匂いと合わせて)二度楽しめました」とエピソードを明かした。

年取って表現できることがまだまだある

根本要

 休憩明けには、アコーステック編成でのステージも披露。柿沼がリードボーカルを取る「ジグソーパズル」では、岡崎が奏でるマンドリンが軽快に響いた。さらに、恋愛の初期に感じる喜びを歌ったという「Windy」を届け、観客も手拍子で盛り上がった。

 この日は『還暦少年』のプロデューサー&アレンジャーでギタリストの佐橋佳幸がスペシャルゲストとして登場し、「海月~UMIZUKI~」、「You're My Love」など4曲を披露。根本と佐橋が背中合わせになり、ギターソロを響かせ観客を沸かせた。

 さらに、シンセサウンドが印象的な「夢伝説」を披露。続く「還暦少年」ではロックンロールなサウンドで彼らのサウンドの幅の広さを見せる。観客も立ち上がり、拳を上げて盛り上がった。

 「東京ブギウギ」では、特別に中野に歌詞を変えてメンバーは楽器を弾きながら腿上げをおこない還暦とは思えない元気なステージングで会場のボルテージも最高潮に。アンコールでも本編の熱気そのままに熱いパフォーマンスを見せた。

 根本は「40年近く活動してきて、2200回を超えるライブをやって来ました。よく『大変だね』と言われるんですが、そんなことはなくて。楽しくやっています。それもスタッフと皆さんのお陰です。ありがとう」と感謝の気持ちを述べてこの日の公演を締めくくった。

 根本がライブ中「20代に出来たことが、50、60代になるとできなくなることもあります。でも、50、60になって初めて経験してきたことが活きることもあります。どうも日本では年を取ることがネガティブに捉われがちだけど、年取って表現できることがまだまだあると思います」と『還暦少年』のタイトルに分かるようにいつまでも少年の心を忘れない、彼らのアグレッシブで前向きな姿勢について語っていた言葉が印象的だった。まさに、その姿勢を体現していた彼らのステージに、これからの更なる活躍を確信できた一夜となった。

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