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へんてこポップ or クリエティブアーティストのあさぎーにょが今、若者の間で人気を集める。今ではその界隈で定番にもなっている「投げキッス運動」の生みの親でもある。肩書きにとらわれず楽曲や映像、イラストなど幅広く手掛ける姿は今を象徴する。自身が掲げる「へんてこポップ」を「確立したい」と語る彼女はどう形成されていったのか。【取材・撮影=村上順一】
歌えることよりも頑張れる場所が出来たことの方が大きかった
――この世界に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。
最初は歌が好きだったので、高校生ぐらいからボイストレーニングを受けていました。当時はワクワクするものをやりたいという中で歌が一番好きだったんです。歌=歌手だと思っていたので、19歳で上京してライブ活動もしてました。その中で沢山の人に見てもらえるプラットフォームとして「YouTubeは良いかも」と思って、そこから自分で撮影して、編集までやるようになりました。
――当時、YouTubeはよく見ていたんですか。
誰でも発信出来る場所が出来たんだと感じて、それがきっかけかも知れません。これはやらない手はないと思いました。音楽活動をしていると何を頑張れば良いのかわからなくなってきて…。自分の中では歌手ではなかったと今気づいたんですけど、毎日動画を更新するということが幸せだったんです。これで有名になるというよりかは、頑張れる場所が出来たことの方が大きかったんです。
――生きがいが見つかったんですね。現在、生きがいや夢が見つからないという人が結構いるみたいで、その中であさぎーにょさんは見つからなくても良いんじゃないかと、以前YouTubeで話していたのが印象的でした。
今、本当に若い子たちは夢が見つからない、ということにすごく悩んでいる人たちが多いです。みんな夢を持っているのに自分にはないと。でも、職業だけが夢じゃないし、新しい表現で新しいジャンルを作っていける時代だと思っています。
――すごく自由な発想を持っていますよね。動画を見させて頂いて、発信する、伝えるということがすごく上手いなと感じました。幼少期から得意でしたか。
上手いかどうかはわからないんですけど、人前に出るのはすごく好きでした(笑)。昔、沖縄に行って音楽に触れたのが三線だったんですけど、それに感化されて弾けるようになりたいと思って、そこからスクールに通い始めて、音楽会でソロでやったりとか。
――思い立ったらすぐに行動に移せるお子さんだったんですね。
はい。大学も辞めようと思ってすぐに辞めちゃいました。
――失敗とか怖れていないですよね?
そこが私の強みかも知れません。自分がワクワクするかどうかという事を第一に考えているので、もし他人にその作ったものを批判されたとしても、自分が満足していたら成功なのかなと思っています。ワクワクを一番にしておけば、失敗というのはないと思います。
失敗を恐れて挑戦が出来ないという方は、例えばInstagramでフォロワーを10万人にするとか、なぜそれをするのかという理由がないから、その数字に辿り着かなかった時に失敗という結果になってしまうと思います。でも、ワクワクを届けたいというところで挑戦していけば、それが10万人に届かなくても、そこで心が折れるということは少なくなるんじゃないかなと思います。
――他人と比べたりするとまた変わってくると思うのですが、あさぎーにょさんは誰かと自分を比較したりは?
しないです。もう自分の世界で楽しいと思ったことだけやっていますから。
――さて、あさぎーにょさんといえばTikTok(ショート音楽動画コミュニティ)でバズった「投げキッス運動」の印象もすごく強いのですが、この動画の誕生秘話をお聞きしたいです。
これはすごく困難でした。TikTok用に曲を作るということが初めてだったのと、みんながマネしたくなるような音や動きってどんなのだろうというところを考えました。その中で、人前でなかなか出来ない投げキッスとか、可愛いと思える動きは音楽があるからこそ出来ることもあるじゃないですか?
――普段から客観視出来ているあさぎーにょさんのような、ユーチューバーならではの動画撮影で身に付いたスキルでもありますね。
一方的に発信してアウトプットするのではなく、視聴者からフィードバックをもらってコミニュケーションを取りながらなので、自分だけの価値観だけじゃないというのも大きいと思います。
――それもあって、チョコレイト(エンターテイメントを越境して作り出していく“コンテンツスタジオ”)に参加したという経緯もありますか。
はい。半年ほど前からJOINさせて頂いてます。チョコレイトさんにはワクワクが凄いあるのと、皆さんが面白い楽しいと思えるものを作る事を一番の軸にしているので、何をやっても楽しいです。
今まで事務所とかに所属したことがなかったんです。どこかに属すということが、私にはあまりフィットしてなかったので。クリエイティブな部分でもっと面白くなるというものがあればいいなと思ったんですけど、それがチョコレイトさんにはあって、色んな分野で自分の力だけじゃなく色んな価値観を取り入れてもっと世界観が広がるんじゃないかなと思いました。とにかくメンバーの皆さんが素敵なんです。
――人というところが大きいんですね。
人柄も魅力的で、だから入りたいというのもありました。ワクワクは絶対伝染していくと思っているので、沢山の人をワクワクさせるものを作り出していけると思っています。
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