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小林克也がMCを務めるBS朝日『ベストヒットUSA』。1月30日放送回では、米ロックバンド・TOTOの中心メンバー&ギタリストのスティーヴ・ルカサーが登場、名曲にまつわるエピソードを語った。また、来週に迫った40周年記念来日公演の見所も述べた。その放送回の模様の一部を紹介する。
「Beat It」?「Physical」?その曲名マジ?って思ってた
――スタジオ・ミュージシャンとして活躍した日々を振り返って何を想いますか?
高校生の時からずっとスタジオ・ミュージシャンになりたかったから、たくさんの曲を多くの音楽仲間と演奏できてとても光栄だったよ。人生の中でも最高の時期だったね。これは俺の自伝『福音書(ゴスペル)―TOTOと時代の「音」を作った男たち』にも書いた。まだ読んでいなかったら、必ず読んでくれよ。
――スタジオ・ミュージシャン時代、ギターをこう演奏しろ! と言われて反発したりしたことはなかったんですか?
あからさまには無いよ。ただ“これはダサいね”とか“これはカッコいいね”と目配せして伝え合うことはあった。雇われたからには、全力でベストを尽くすのが筋だろ。そりゃ、中には笑っちゃうようなこともあったよ。曲のタイトルなんかは、特にね。だけど、そんな「Beat It」(※)とか「Let’s Get Physical」(※※)とかが大ヒットしたんだ。その曲名ってマジ? って思っていたのにさ!! でもそれ以外はからかったことはないよ。心底満足して仕事していたよ。
※マイケル・ジャクソン83年のスマッシュヒット「今夜はビート•イット」。beat it は逃げろ、という意味。
※※オリヴィア・ニュートン・ジョン81年の大ヒット曲。正しいタイトルは「Physical」。インタビュー中の“Let’s Get Physical”は“肉体的になりましょう”という意味。(曲は“身体で愛し合いましょうという内容)
――シカゴの82年のヒット、「Hard To Say I`m Sorry」はシカゴのメンバーがいるのにもかかわらず、TOTOのメンバーであるスティーヴ・ルカサー(g)、デヴィッド・ペイチ(key)、スティーヴ・ポーカロ(key)が演奏をしました。これはどんな経緯だったのでしょう?
小さな時からシカゴが大好きだったから、呼んでもらって光栄だった。あれは80年代初頭で、デイヴィッド・フォスターはシカゴのサウンドを新たに作り変えようとしていたんだ。当時シカゴには正式なギタリストがいなかったのさ。よく使うギタリストはいたんだけどね。
そんな訳で僕はデイヴィッドに雇われて演奏した。曲作りにも参加したよ。とても楽しかった。ただ、少し変な感じがしたのも確かだ。
というのも、(シカゴの)初代ギタリストのテリー・キャスは僕のヒーローだったからね。すごく尊敬していたんだ。だから、シカゴの曲を自分が演奏するんだと思うと緊張したけど、とにかくいつも通りやろうと心掛けた。テリーのことは結局、頭から消えなかったけどね。
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