【第69回NHK紅白歌合戦、30日、リハーサル2日目、NHKホール】椎名林檎と宮本浩次が「獣ゆく細道」を歌唱した。2人の持つそれぞれの唯一無二の存在感が交わる圧倒的な色気がNHKホールを包んでいた。

 パフォーマンス全開が通常運転の宮本は、リハーサルでも全力の振る舞いを見せていた。髪を掻きむしり、前傾で魂を吐き出すように熱唱する宮本、美しく斜に構え流し目で艶やかに唄う椎名。「動」の宮本に対する「静」の林檎という対比に匂い立つ色気のコントラスト。ここまで恐ろしくクッキリとしたコントラストながらも、華麗に美しく狂気混じりに交わるものが他にあるだろうか。

 バンド形態はドラムにウッドベース、ハープにホーン隊、ストリングスと、豪華なアンサンブルを和服姿のミュージシャンらが演奏する。バックには近代的なグラフィックが映し出され、「獣ゆく細道」の世界観・舞台を作り上げる。

 締めではやっぱりピースサインを見せた宮本が、息を切らしながら楽器隊に「もうちょっと、若干、音量をですね…」と、細かいディレクションを丁寧な口調で回していたのが印象に残る。紅白ステージにかける並々ならぬ想いは様々な角度から伝わってきた。

 近づいたら斬られそうなサムライ的物腰で暴れ回る宮本のかたわら、凛と妖艶に歌う椎名の姿。今年放送されたMステでの共演では「神回」など、彼らの共演を絶賛する声がネットユーザーから上がっていた。紅白本番では、それをも凌ぐ美しくも異質で芸術的なパフォーマンスに大いなる期待が湧く。あまりにも熱気を帯びたリハーサルだった。【平吉賢治】

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