平井堅とのデュエットは耳が幸せ
――今作にはSpecial trackとして、平井堅さんとのデュエットで「Cheek to Cheek」を収録しているのも聴きどころです。
堅さんは高校生の頃から大好きで聴いていたのですが、実際にお会いしたのは、2017年に堅さんの「ほっ」という曲にゲストボーカルで誘っていただいた時が初めてでした。
――「ほっ」の時は、どんな感じでしたか?
他のアーティストさんのレコーディング現場に伺うことはほとんどないので、すごく緊張しました。堅さんからは「いつも通りの感じで歌ってください」と言っていただいたのですが、緊張しすぎて息の成分が多めになってしまって。でもハモリをとても丁寧に指示をしてくださって、レコーディングは楽しかったですし、とても素敵な楽曲に仕上がりました。
――今回のレコーディングはどのように?
残念なことにお時間がなかなか合わなくて…堅さんのパートを空けた状態で完成させたものをお送りして、入れていただきました。堅さんの声が入ったものを聴いた時は、とても丁寧に歌ってくださっているのが伝わって嬉しかったです。届いた時は、自宅で家族と一緒に「嬉しいね」って言いながら、聴かせていただきました。
――手嶌さんの空気成分が多めのウィスパーボイスと、平井さん特有のファルセットボイスは、声の空気感がすごく似ている感じがあって、ぴったりだなって思いました。
堅さんは、すごくふわっとした声を出されるのですが、芯がすごくしっかりしていて。でも自分の声は、もっと芯がしっかりしたらいいのにと思っていたので、ある意味で私が目指す歌声の理想形だと思いました。聴いて勉強になりますし、本当に耳が幸せでした。
――でもハモリが入り組んでいて、すごく難しそうですね。
すごく難しいです。原曲もハモってはいますけど、それとは違うパターンで、鈴木正人さんにその場でアレンジしていただいたんです。「じゃあ葵ちゃん、こういう感じでハモってみようか」って、ピアノでガイドしていただきながら録ったんですけど、あまりの難しさに、思わず鈴木さんを「キッ」って睨んでしまいました(笑)。
――それだけに、完成した時の喜びはひとしおですね。12月2日に開催された平井さんのコンサートツアー『Ken's Bar 20th Anniversary Special !! vol.3』の福岡公演で、生でデュエットを披露されたそうですね。
はい。私もコンサートツアー『手嶌葵 Concert Tour~Cheek to Cheek~』を開催中で、堅さんのライブの前日がツアーの初日だったので、ちょうど福岡にいたんです。それで急遽シークレットゲストとしてお邪魔させていただいたのですが、変に緊張することなく自分らしくできたので、二重丸はあげられるかなと思います。個人的にも地元の福岡で共演できたことが本当に嬉しかったです。
――今後またツアーのどこかで共演は?
奇跡的にスケジュールが合ったことでできたものなので…私の地元・福岡だけのスペシャルということでご了承ください!
――手嶌さんのツアーは、2019年1月11日にも神奈川・横浜関内ホールでありますね。
ツアーは、ピアノ、ギター、パーカッション、そして私の歌という編成でやっていて、このアルバムの収録曲をたくさん披露しています。新しい曲が多いので、いつもライブに足を運んでくださっている方も、新鮮に楽しんでいただけています。お時間のある方は、ぜひ足を運んでいただければ嬉しいです。
――では最後に、2019年の展望を教えてください。
まず2018年は、アルバムを出したいと思っていたので、年内に間に合って良かったです。コンサートの面では、くるりさんの『京都音楽博覧会2018 in 梅小路公園』に呼んでいただきました。京都で歌うチャンスが今まであまりなかったので、とても楽しかったです。あと4年連続で、中国でコンサートを開かせていただきました。とても充実した、楽しい1年を過ごさせていただきました。
2019年は、ツアーファイナルの神奈川公演から幕を開けるので、またたくさんコンサートができたら嬉しいです。個人的には、ちょっとサボっていたフランス語の勉強を再開したいですね。フランス語の歌であるとか、今回のアルバムとはまた違ったタイプで、カバー曲のレパートリーを増やしたいです。
(おわり)