夢は叶う、辞めなくて良かった 行平あい佳 異色のキャリアの女優
INTERVIEW

夢は叶う、辞めなくて良かった 行平あい佳 異色のキャリアの女優


記者:鴇田 崇

撮影:

掲載:18年10月03日

読了時間:約7分

出演作のサウンドトラックを棚に並べたい

――ところで音楽の話題ですが、たとえば撮影現場に行く前など、景気づけに聴いている曲やアルバムなどはありますか?

 わたしの日常生活で音楽と思った時に、一番聴いているものって、映画のサウンドトラックなんですよね。特定のアーティストを追いかけるということなどはしたことがなくて、母はずっと歌を歌っているので、そういう下地的なものはあるのですが、サントラを聴いていると自分が映画に出ている気分になります。特に最近は映画『アバウト・タイム 愛おしい時間について』のサントラを、ほぼ毎日聴いているかもしれないです。映画音楽は、邦画洋画問わず聴いているので、密かな夢として自分が出ている映画やドラマなどのサウンドトラックを棚に並べるということを、いつかはやってみたいです。

行平あい佳

――素敵な夢ですよね。

 劇中で使う曲ってドラマチックじゃないですか。今回の音楽担当のボンジュール鈴木さんと出会ってからというもの、ものすごく彼女の曲を聴いています。試写の時にお会いしましたが、エンドロールに流れている曲にあまりにも意表を突かれたので、どう作ったのか、どういうイメージで作ったかなど直接聞きたかったのでうかがったところ、わたしの外見をよく見て、わたしのイメージで作ったそうなんです。人で曲を作るって、カッコいいと思いました。しばらく引き止めてしゃべっちゃいましたね。

――映画の完成度も音楽で左右されるというほど重要ですよね。

 もともと撮影現場ではスタッフさんとコミュニケーションを取りたいタイプなので、音楽を聴いていることはないのですが、集合前、椎名林檎さんなどは聴いてました。音楽を聴くと映像が目に浮かぶので元気が出るというか。今回の撮影の時はエロスの方向に気分を上げないといけないと思ったので、平常運転はしているけれど、重心が下にあるというか、そういう感じにしておきたかったので、いま思うと音楽に頼ったところもあったとは思います。

 人気ドラマだった「カルテット」のドーナツホールの曲は、聴いていました。「大人は秘密を守る」という歌詞があり、本作も男女の秘密の話でぴったりなので、ちょっと気分を持って行くときの導入によく聴いていました。

――今回は主演ですが、いずれ脚本や監督などにも進出を?

 助監督時代に舞台や小さい作品に出させていただいた時には、撮りたいという気持ちがものすごく強かったので、PVなども撮らせていただいていましたが、今回を経て軽はずみに監督をしたいと言えないなと心から思いました。城定監督はかっこよすぎて、最初から頭の中で撮りたい映像ができあがっていたんですよね。だから、無駄なものはとらない。何をどうしようではなく頭の中にあるものを再現していくだけなので、特殊能力のようにカッコよく感じられました。

――それでは、女優としての次のステップは?

 こういう機会をいただけたことは本当にうれしいことだったので、この作品と一緒に行けるところまで、まずは行こうと思っています。コツコツやることは大前提で、その先はどうなりたいかと思うと、作品の中にちゃんといられる俳優になりたいなと思います。突飛なキャラクターをやるにも普通の人をやるにも、ちゃんといられる。与えてくれた物語や台本などで汲み取ったものを浮かずに必要なことを確実に表現できる人になりたい。

 この役ならこの人だねって言ってくれる存在になることも最高ですよね。世界感に必要なことを体現できる俳優になりたい、まずは一歩一歩です。

行平あい佳

(おわり)

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