夢は叶う、辞めなくて良かった 行平あい佳 異色のキャリアの女優
INTERVIEW

夢は叶う、辞めなくて良かった 行平あい佳 異色のキャリアの女優


記者:鴇田 崇

撮影:

掲載:18年10月03日

読了時間:約7分

 あの壇蜜を世に出した話題作『私の奴隷になりなさい』の、待望のシリーズ第2章・第3章が連続公開され、それぞれ二週間限定上映として注目を集めている。この2章連続の主演を『北の桜守』(18)『万引き家族』(18)など話題の日本映画への出演が続く毎熊克哉が務め、各章ダブル主演で行平あい佳と杉山未央を大抜擢。前作以上の過激でスリリングな濡れ場シーンが用意され、それぞれの女優が体当たりで惜しみない官能世界を演じきる。あの2012年の衝撃から早くも6年、新たなヒロイン誕生に映画界が沸く。

 その第2章、『私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてください』の主演が、行平あい佳だ。彼女は、ロマンポルノ界の聖子ちゃんとして人気を博した寺島まゆみの実娘という強烈な遺伝子の持ち主で、本作の情報解禁ニュースの時点で話題となったが、もともとは助監督という異色のキャリアを誇り、今回“出る側”に回って熱演を披露している。「なので当時の自分を知る人は、びっくりしているみたいです。何があったのかと(笑)」と笑顔で語る行平に、主演を務めたこと、本作のテーマや聴いている音楽のこと、そして将来のこと、さまざま聞いた。【取材=鴇田 崇】

助監督を経て主演女優、異色のキャリア

――もともと助監督をされていて今回映画では主演に、という異色のキャリアにも注目が集まっていますね。

 そうなんです。助監督の仕事は大学を卒業した後、2年間くらいやっていました。もともと俳優部へあこがれがあり、映画製作サークルに入ったことをきっかけに、映画製作の裏側の勉強を実践的にこなしていくうちに就職の時期が来まして。ここで映像業界に一度入っておかないとと思い、助監督の仕事を志願しました。まったく映画と関係ない世界に入ってしまうより何かのきっかけになるかもしれないと思い、始めることにしました。

――その経験が今回、役に立ったのではないでしょうか?

 そうですね。ただただ、楽しかったです。助監督時代は走り回っていたので、いろいろな機材などもまじまじとは見られなかったので(笑)。俳優部になると撮っている人を見つめる時間が長くなり、同じものを違う角度で見るので、すごく勉強になりました。

 なので当時の自分を知る人は、びっくりしているみたいです。何があったのかと(笑)。助監督時代に俳優部になりたいと言ってなかったので、いろいろ聞かれました。いいきっかけをいただけたことに感謝しています。

行平あい佳

――映画で主演という、夢が叶っていかがですか?

 夢は叶うんだなぁとまず思いましたし、助監督をしている時に映像業界を離れてしまうかもと思ったこともあったので、辞めなくてよかったとまず思いました。あと一番に感じたことは、映画を観ることももちろん好きなのですが、現場が好きなんですよね。映画を作っている人のそばにいられたことが、一番うれしかった。映画を観てエンドロールが流れ、スタッフさんの名前が流れてきた時、当時を思い出して涙が出てきちゃいましたね。感極まりました。夢が叶っての喜びと同じように感激しました。

――ところで本作のコピーにもありますが、“性愛の向こう側”には、作品に参加することを通じて行けたのでしょうか?

 結論から言うと行けたなあという感じはありますが、こういうことってあり得るの? と思うことが意外と近くに転がっていて、特段何かヘンなことをしているわけではなく、単純に人と人とが出会ってはじまることなのだとは思います。目を向けていないだけで意外と、そういう世界が広がっているものなんですよね。形式ばったものじゃなくても、身近に存在するもの。そういうことへの抵抗感がなかったにしても、世界は広がりました。

――ある意味では、主人公は幸せと言いますか、人はなかなか<その角>を曲がれないものですよね。その先に豊かな経験が待っているのですが。

 そうですね。知らないところが急にパッ! って広がっていくわけじゃないですか。でも、それは面白いことですし、最初に映画を観た方はなんだろうこの世界? となるかもしれないけれど、誰でも彼女のようになり得るとは思っていましたので、芝居で突飛なことはしないでおこうと思っていましたね。

――そして主人公は無色というか、誰もが感情移入しやすい存在でしたね。

 まさにわたしも思っていまして、ゼロであるべき、投影しやすいようにと意識していました。彼女は、そういう立ち位置の子ですよね。ちょっとでもよくわからないことをしちゃうと、せっかくの誰もがなるかもしれない危うさを消しちゃいそうだったので、普通の主婦であり、お仕事の関係性も保っている、日常世界によくいるような普通の子を意識していました。

――それだけに、好奇心に忠実に生きることは大切なことだと思いますが、同世代の女子には、どう本作を進めますか?

 いままで観たことがないタイプの映画という前置きをして、抵抗感があるというか、未知すぎて興味を持っていない人が多そうなので、これはエロスの話で18禁だけれど、ちゃんと人間の話だし、愛情の矛先がどう向くかという面白さがまずひとつポイントであることは説明しますね。それと基本的には文学的な映画なので、絶対に損はさせないと言っています(笑)。内容的には“性愛”だけじゃないので、純文学を読んでいるような気持ちになれるし、いろいろなリアクションをするとも思っていますので。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事