美しさ伝えたい、倉木麻衣が京都を愛する理由 曲に息づく京文化
INTERVIEW

美しさ伝えたい、倉木麻衣が京都を愛する理由 曲に息づく京文化


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年09月07日

読了時間:約10分

 歌手の倉木麻衣が、京都市の「市政PR動画」に出演、その動画が9月7日に公開された。京都市が企画・制作したもので、市の取り組みや魅力を市内外に発信することが目的。倉木は一般公募の出演者120人以上と共に京都の魅力を伝えている。京都との縁が深い倉木に京都の魅力、そして京文化が自身の音楽活動にどう影響を与えているか、話を聞いた。【取材=木村陽仁】

見直される日本文化

 2020年の東京五輪・パラ五輪の開催に向けて、日本文化が国内外で見直されている。倉木は学生時代を京都で過ごし、現在は京都観光おもてなし大使に就任、京都の魅力を発信している。本業の歌手活動でも京都の世界文化遺産などでライブを開催。更に昨年はNHK紅白歌合戦やテレビ朝日系『ミュージックステーション』で十二単を纏い「渡月橋 ~君 想ふ~」を歌唱するなど、つながりがある。

 アジアなど海外での活躍も目覚ましい彼女だが、世界に触れて改めて日本文化の良さを感じ、それを国内外に伝えようとしているのではないだろうか。四季折々の風情と伝統で色づく京文化は彼女に、そして彼女の音楽にどのような影響を与えているのか、気になるところだ。「京都×音楽×倉木麻衣」の接点を探った。

まさかの全員合格

 「市政PR動画」には倉木のほか、一般から募ったボランティアエキストラが参加している。7月16日には、1次選考(書類審査)を通過した40人によるオーディションが、京都市国際交流会館で開かれた。この場に飛び入り出席した倉木は「頑張って!」と声援。更には「京都で一番好きなスポットはどこですか?」「京都ならではの魅力や伝えたいことはありますか?」と質問まで投げかけた。参加者の熱意に押され、まさかの全員合格。倉木の心根が見えた瞬間でもあった。日を改めて撮影にも挑んだ。このオーディション、そして撮影でのことを振り返ってもらった。

倉木麻衣とオーディション参加者

――エキストラオーディションを振り返っていかがでしたか。

 「京都はもちろん全国各地から皆さんご応募され、どの方も“京都愛”溢れる熱い思いでオーディションに参加されていて、ご一緒できることを心から嬉しく思いました。京都の美しさ、新しさ、素晴らしさを発信していきたいという皆様方と一緒に全力で取り組ませて頂こうと改めて思いました!」

――動画を撮り終えた感想をお願いします。

 「連日の暑さの中ではありましたが、お天気にも恵まれ、早朝から、京都の心癒される様々な素敵な場所で、たくさんのスタッフの皆さん、エキストラの皆さんと一丸となり、美しい映像の数々を撮影できました! 仕上がりが今からとっても楽しみです!」

京都市政PR動画:公開メディア

「きょうを、素晴らしく」特設サイト(URL: http://kyosuba.jp)
「きょうと動画情報館」(URL: https://www.youtube.com/user/CityOfKyoto)

貴重な経験となった京都でのライブ

 音楽活動でも京都への縁が深い。2003年開催の『第1回京都学生祭典』では平安神宮でライブを実施。この時のMCで「京都の四季が素晴らしい」と語っていた。その年のNHK紅白歌合戦では東寺の五重塔を後ろに歌唱。更に、2010年には上賀茂神社でもライブを実施している。そして、昨年、紅白の舞台で十二単を纏い、京都を舞台にした「渡月橋 ~君 想ふ~」を歌ったのは記憶に新しい。

――学生時代は京都で過ごされています。京都の思い出を教えてください。

 「実は、学生時代は本当に忙しくて、学校とスタジオの往復のような日々でした。もっと京都の良さを感じられるような時間も持ちたかったのですが、なかなか実現できずにいました。大学を卒業し、ライブやプライベートで京都の色んな場所に訪れる度に、素晴らしい環境の中で学んでいたんだなぁ、訪れたことがない場所にも是非ゆっくり行ってみたいなぁと思います。また訪れる度に、昔から大切にされている京都と、どんどん進化している魅力的な京都を『もっと知りたい』といった気持ちが溢れます」

 ちなみに、1999年10月にシングル「Baby I Like」で全米デビューしてから、その年の12月に同「Love, Day After Tomorrow」で日本デビューした。倉木は当時17歳。同シングルでミリオンセールスを達成した彼女は以降、音楽シーンの最前線に立つことになった。

――2003年に『第1回京都学生祭典』で平安神宮ライブをおこなわれました。この時、「京都の四季が素晴らしい」と語っていましたね。

 「京都の四季は昔から様々な形で描かれているほど、大切にされている自然の景色が沢山あります。日本が誇る美しさがありますよね。春の桜、夏の新緑、秋の紅葉に、冬の雪景色、どこをとっても絵になる風景はため息が出るほど美しくて、いつ見ても心癒され感動しますし、この先も世界中の方々が訪れ、心癒される京都の四季、景色を守っていきたいですね」

――そして、その年の紅白では東寺の五重塔をバックに歌いました。

 「祖父が趣味で木作りの東寺の五重塔の模型を作って家に飾っていて、幼い頃からそれを目にしていて、いつか訪れてみたいなぁと思っていました。まさか、初めて訪れた五重塔をバックに歌うなんて! なんと贅沢な時間だったのかと改めて思いますが、この時はデビュー間もなく、紅白歌合戦への出場もTV出演自体も初だったので、それはもうガチガチに緊張したのを覚えています(笑)。合わせて東寺からの中継は想像を絶する寒さで、その中での歌唱は本当にチャレンジでしたが、今だったら少しは楽しみながら歌えたのかな? と(笑)。振り返ってみると、大変、貴重な経験をさせて頂きました!」

――2010年には上賀茂神社でライブをおこなっています。

 「この時も、真冬の野外ステージだったので、来て下さった皆さんも、ものすごく防寒されて、演奏する皆さんも楽器や手が凍えて思うように音がでなくなりそうで、楽器にホッカイロを貼ったり色々な策を講じてライブをおこないました。以前から訪れてみたいなと思っていた上賀茂神社は、とっても空気が新鮮で、あたり一帯とっても神聖な雰囲気でした。体が軽くなるような空気感でライブをさせて頂きました」

 「素晴らしい場所でライブをさせて頂きとても光栄でしたし、上賀茂神社の皆さんもとっても温かく迎えてくださりました。上賀茂神社の幻想的な美しさと相まって、神聖な雰囲気の中、素敵な時間となることができ、皆さんに感謝しています。また、いつかパワーを頂きに訪れたい場所でもあります」

――昨年は紅白歌合戦やミュージックステーションで、十二単を纏い「渡月橋 ~君 想ふ~」を歌唱されていました。

 「昨年はご縁を頂き、お陰様で、『渡月橋 ~君 想ふ~』という曲のリリースによって、今まで以上に京都と繋がる活動が増えた一年となりました。また、紅白歌合戦やミュージックステーションでの出演も、常にステージは大好きな京都の美しさが表現されていて、その中で、十二単で歌唱することは大変ながらもとても貴重な経験でした。感慨深い思いと同時に、京都おもてなし観光大使として、しっかりとお役目をつとめなくて! と身が引き締まる思いです」

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