TOKIO

 「#鉄腕DASH」「#TOKIOカケル」「ありがとうTOKIO」「長瀬くん」……この1週間、TOKIOに関するワードがいくつもトレンド入りした。

 【写真】東京五輪のフラッグを掲げ歩くTOKIO

 3月31日、長瀬智也がジャニーズ事務所を退所。城島茂・国分太一・松岡昌宏の3人は、株式会社TOKIOを設立し、それぞれの第二章を歩き始めた。3月31日放送の『TOKIOカケル』で、TOKIOのメンバーとして最後のテレビ出演となった長瀬は、「僕もこれからテレビの前でこの番組を見たいと思っていますので、みなさんも是非、引き続きTOKIOカケルと、TOKIOをよろしくお願いします」と挨拶。主演ドラマ『俺の家の話』(TBS系)の放送が3月26日に終了したばかりで、“俺の家の話ロス”が止まないなかでの退所に、寂しさを感じる人も多い。しかし、最後だからといってしんみりするわけではなく、いつも通りの温かい空気感の彼らに、安心した人も多いのではないだろうか。長瀬がグループを脱退することを、“卒業”と表したことからも円満さがうかがえる。

 1994年にデビューしたTOKIOは、「LOVE YOU ONLY」(1994年)「花唄」(2002年)「宙船」(2006年)など数々の話題曲をリリース。「AMBITIOUS JAPAN!」(2003年)は、JR東海のキャンペーンソングとして、新幹線の車内チャイムなどでも使用。また、ジャニーズとしては珍しいバンドスタイルを貫き、2013年リリースの「リリック」からは、メンバー自ら曲を制作するスタイルをとってきた。女性ファンが多いジャニーズアイドルのなかでも、TOKIOは男性からの支持を多く集めているグループだったように思う。歳を重ねるごとに色気を増し、美しくなっていく姿。筆者の周りでも、「TOKIOカッコイイ!」「こんな大人になりたい」との声が多く上がっていた。

 その支持には、『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)内のプロジェクト“村づくり”や“無人島開拓”なども大きく影響しているのではないだろうか。TOKIOは2000年、「日本地図に名前を載せたい」という想いから、『DASH村』という村づくりをスタートした。泥まみれになりながら、農業を学び、自分たちの手で野菜を育てる。それらに必要なモノ作りも行った。「アイドルがそんなことまでできるの!?」と、驚かされるほどのたくましさと器用さを見せた。

 村づくり、無人島開拓が、TOKIOの支持に繋がった理由は、“やらされている”という雰囲気が皆無だったからではないか。5人全員が農業に真摯に向き合い、楽しんでいる様子は画面越しからも伝わってくる。メンバーは撮影時以外にも、『DASH村』に足を運び、畑で育てている野菜や、建築物の様子を見に来ていたという。TOKIOにとっても、『DASH村』で過ごす時間は、アイドルではなく、ひとりの人間に戻れる大切な時間だったのかもしれない。

 しかし、2011年3月11日に起きた東日本大震災が、福島県にある『DASH村』にも大きな影響を及ぼした。震災当日には、村で作業をしていたメンバーもおり、地元の人々とともに不安な夜を明かしたという。その後、震災にともなう福島第一原発事故の影響で『DASH村』は計画的避難区域に指定され、原則立ち入り禁止となってしまう。

 だが、TOKIOは決してこの村のことを忘れなかった。風評被害が起こるなか、福島県産農林水産物の魅力や安全性を発信するCMに「(福島への)恩返しのために」と、無償で出演。そのほかの場所でも、幾度となく「福島県の野菜や果物は美味しい」とアピールし、“第二の故郷”への想いを馳せてきた。

 そして今月1日には、「株式会社TOKIO」と連携する「TOKIO課」が、福島県の企画調節課内に設置されることを発表。「今後、福島の皆さんと一緒に福島を楽しんで頂けるプロジェクトを考えております。福島県と株式会社TOKIOで、できること、やれることを考えていこう、今日という時を、未来という時を実現していこう。そんな思いで設置して頂きました」とコメントしており、今後も、福島県への復興支援を行っていくようだ。一度お世話になったら、その恩義は決して忘れない。そんな彼らの男気も、支持されてきた理由のひとつだったように思う。

 4月1日から、それぞれの道を歩き出したTOKIO。しかし、3月28日に放送された『ザ!鉄腕!DASH!!』では、長瀬が、「いいじゃん。どうせ5人なんだから」と言うシーンがあったり、考えすぎかもしれないが、「株式会社TOKIO」のロゴは、3本の木を5本の赤い紐で結んでいるように見えたり……彼らの絆は、バラバラの場所にいても、きっと続いていくのだろうと思わされる。“アイドルらしくないアイドル”と言われていた彼らだったが、沢山の人を笑顔にし、常に誰かのためにと奮闘する姿はアイドルそのものだった。そんなTOKIOの第二章が、素敵なものになることを願って。【菜本かな】

筆者紹介

かなぴす メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動行っていた。エンタメとファッションが大好き。ツイッターは@kanawink

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