saji「バトンを繋いで頂いた意味」TVアニメ『SHAMAN KING』EDテーマに臨む姿勢とは
INTERVIEW

saji

「バトンを繋いで頂いた意味」TVアニメ『SHAMAN KING』EDテーマに臨む姿勢とは


記者:村上順一

撮影:

掲載:21年10月27日

読了時間:約6分

 3人組バンドのsaji(サジ)が10月27日、ニューシングル「ハヅキ」をリリース。表題曲はTVアニメ『SHAMAN KING』の第3弾エンディングテーマとしてOAされている。失って初めて気付く大切な人への想いを歌った壮大なバラードナンバーに仕上がった。カップリングには2ビートの軽快なポップナンバー「Pumpkin Wars!!」、切ない歌詞のロックナンバー「SHE is.」のカラーの違う3曲を収録した。MusicVoiceではメールインタビューを実施。ボーカルで作詞/作曲も行う、ヨシダタクミに回答してもらった。【取材=村上順一】

ようやくスタートラインに立てた

――8月に行われた『saji Live 2021〜夜の兎は眠らない〜』を振り返って、このライブからどんな手応えを感じていますか。

ヨシダ 「僕らは実在したんだな」というのを双方に実感した瞬間でした。バンドの性質上、どうしてもライブと言うものはお客さんにとっても非常に重要で、「生で聴ける」「会いに行ける」ことが醍醐味だと思うのですが、2年越しにそれをようやく果たせて良かったなというのが正直な感想です。加えて、「僕らは此処に居る」と云う姿勢を今後はより多く見せていきたいと再確認できた日になりました。sajiとしてようやくスタートラインに立てた気がします。

――『saji Live 2021〜夜の兎は眠らない〜』でご自身のハイライトを上げるとしたらはどの場面でしたか。

ヨシダ 本編最後の「STAR LIGHT」ですね。この楽曲はライブの最後に演奏するのを想定して書いた楽曲でしたし、主題が「約束」なので、また次も逢えるように、さよならを伝える曲はこれしかないと思っていました。音源だけでは伝えきれない想いをライブでは体現できたのかなと思います。

――TVアニメ「SHAMAN KING」第3弾エンディングテーマに起用されることが決まった時の気持ちを教えて下さい。

ヨシダ 子どもの頃から知っている作品だったので素直に嬉しかったです。それと同時に僕らに務まるのだろうかというプレッシャーを感じました(笑)。いつも通り作品への愛情やリスペクトは勿論のこと、林原さんから堀江さん、そして僕たちsajiへと、エンディングテーマのバトンを繋いで頂いた意味や役目をしっかり果たそうと全力で臨みました。作品にリンクした非常にエモーショナルな曲になったんじゃないかなと思います。

――「ハヅキ」はストリングスが際立つアレンジになっていますが、どんな構想から楽曲制作を開始されましたか。

ヨシダ これはピアノバラードにしようと。最初からイントロ〜サビまでの構想はあって、あとはそこからどう物語のロジックを組み立てていくかといった感じでしたね。その上でドラマチック要素として、ギターであったりストリングスが入ってきて、「ハヅキ」という一つの作品になりました。

――楽曲を制作するにあたって、特にこだわったところはどこでしょうか。

ヨシダ 歌詞の中に登場人物たちの名前を散りばめてみました。これは林原さんが歌われている楽曲からインスピレーションを受けて、如何に日本語的な美しさを損なわずに遊べるか、そういった意味で非常に意欲的な作品になったかなと思います。どこに書いてあるのかは言及しませんので、ぜひ歌詞を眺めながら聴いて探してみて下さい(笑)。

――歌詞を書くにあたって「シャーマンキング」のどの部分をフォーカスしようと思いましたか。

ヨシダ 「SHAMAN KING」という作品は登場人物達の心景描写や邂逅(かいこう)が非常に多い作品だなと思うんですよね。因縁であったり、運命の相手であったり。そういう人と人との結びつきを感じる作品だったので、出会いや別れというものを描く楽曲にしたかったんです。なのでsajiの作品の中でもとりわけ歌詞に注力した作品かもしれません。

――歌詞でご自身と重なる部分もありますか。歌詞とリンクするご自身のエピソードが有れば教えて下さい。

ヨシダ 人間生きていくうちに何度か身を切るような思いの別れが訪れると思います。恐らくこれから先、僕にも皆さんにもそれは訪れるのです。そんな時にこの歌が少しでも心の支えになれば良いなと思います。僕にとって歌とは心の昇華なので、曲を通じて感じて貰えたら嬉しいです。

――ヨシダさんはレコーディングの時は、前作を超えるつもりで歌うと過去のインタビューで仰っていましたが、今回、歌唱するに当たって苦労したところ、聴いて欲しいポイントを教えて下さい。

ヨシダ 「ハヅキ」で新しいマイクを使用しました。そのマイクは、ニュアンスが非常に繊細に出る反面、コントロールが難しいんですよね。息遣いやタッチを伝えながら、アンサンブルとの調和も考えなければいけない。普段とは違うスキルが要求されるレコーディングになったので非常にタイトでした。収録時間自体は短かったのですが、僕にとってはまた一つ勉強になった瞬間でした。静かな曲なのに汗だくになったりして(笑)。特にサビと歌い終わりは苦心して歌い上げた甲斐あって非常に緊迫した歌声が出せたと思うので是非お楽しみください。

――「ハヅキ」というタイトルに込めた想いと、この曲を聴いた人がどんなことを感じてもらえたら嬉しいですか。

ヨシダ 「葉月」は夏の終わりを表す言葉ですが、秋の季語でもあります。秋というのは生物にとっての終わりと始まりで、知らず僕らは色んな死を看過して生きています。それと同時に新しい命との出会いもあって、人間もたくさんの出会いや別れを繰り返しながら生きているのだなと。別れがあるからこそ出会いは非常に尊いもので、巡り逢う誰かとの縁を大切に生きていけるようなそんな想いをハヅキを通じて持って貰えたらとても幸せです。

ボーカルREC最短時間を目指す

「ハヅキ」ジャケ写

――「Pumpkin Wars!!」は軽快なポップソングに仕上がっていますが、ハロウィンにちなんで制作されたと思うのですが、どんな楽曲にしたいと構想を練られていましたか。

ヨシダ 子どもの頃に思い描いていたパレードというか、お祭りの雰囲気を現した楽曲が作りたくて書きました。当時は無条件でクリスマスや祭りのお囃子を聴くとワクワクしていたと思うんですよね。大人になるとその感覚って少しずつ忘れていってしまう。だからこそあの頃の自分に戻れるような、そんな歌です。

――ヨシダさんはイベントとしてのハロウィンに思い出はありますか。

ヨシダ 東京に住み始めてから初めていわゆるハロウィンというものを体験しましたが、これはもう僕の求めるハロウィンじゃないなと思いました(笑)。僕は起源に因んで、あくまで子どもたちの為のイベントにしてあげたいですね。

――「SHE is.」は失恋を描いたラブソングですが、ヨシダさんの中でどんな情景を浮かべて描かれたのでしょうか。

ヨシダ これは知り合いの恋愛、というか失恋を基に書きました。なので非常に生々しい歌詞になったと思います。その分曲は爽やかにしようと(笑)。

――歌詞にある<思い出のガラクタ>というのが印象的でした。ヨシダさんが思い出のガラクタと呼べるようなものはありますか。

ヨシダ 沢山ありますよ。ここでは言えませんが、なんとなく捨てられない物は沢山あります。僕は本職がシンガーソングライターなのでそのうち曲にするかもしれません(笑)。

――収録曲3曲で、印象に残っているレコーディングのエピソードがあれば教えてください。

ヨシダ 「SHE is.」と「Pumpkin Wars!!」は、「ボーカルREC最短時間を目指す!!」とギターのユタニに宣言してからレコーディングし始めて、たぶん2曲合わせて1時間くらいで終わりました。結果的に1日でドラムなど全楽器含めて2曲のレコーディングが完了したので、同業者だったら分かってもらえると思うのですが、これはめちゃくちゃ凄いことだと思います。スタッフ思いなバンド(笑)。

――最後にファンの方へメッセージをお願いします!

ヨシダ ようやくsajiとして本格的に動き出しました。今後はライブなどで皆さんにお会いできる機会が増えていくと思います。僕らの本分は生の音を皆さんに届けることなので、是非一緒に遊んでいきましょう。お待ちしております!

(おわり)

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