RYUCHELL、なぜ歌手活動を始めたのか 動機となった生い立ち
INTERVIEW

RYUCHELL、なぜ歌手活動を始めたのか 動機となった生い立ち


記者:木村武雄

撮影:RYUCHELL

掲載:18年04月15日

読了時間:約10分

 個性的なキャラクターで人気を集める、りゅうちぇる。読者モデルから芸能活動をはじめ、テレビで見ない日はないほどだ。そんな彼が2月、アーティスト「RYUCHELL」として楽曲「Hands up!! If you’re Awesome」でデビューした。なぜ、アーティスト活動を始めたのか。きっかけとなったのは討論番組で自身の生い立ちを包み隠さずに告白したことだった。笑ってもらうことで元気を与えることに加え、自身も影響を受けた音楽であれば、歌や詞、ファッション、映像等でメッセージを送れるのではないか。学生時代は孤独を感じていた彼。転機となったのは高校進学、原宿、そしてテレビの出演だった。

 MusicVoiceでは約1時間にわたりインタビューを実施。約1万字にもおよんだ。そのインタビューは記事前編はアーティスト活動の動機となった生い立ち。後編はデビューソング「Hands up!! If you’re Awesome」に懸けた思いを紹介する。彼が告白した過去や想いなどに触れることで、楽曲から希望や勇気が得られるのではないか。かつてのりゅうちぇる青年がそうだったように。音楽を通じて中学時代からぶれていない彼の軸がうかがえる。【取材=木村陽仁/撮影=片山 拓】

葛藤の日々だった学生時代、転機は原宿

RYUCHELL

インタビューに応じるRYUCHELL(撮影=片山 拓)

――アーティスト活動を始めるきっかけは?

 19歳の時からテレビに出させて頂くことになったんですけど、最初は読者モデルをしていて、それからテレビの方に見つけて頂いて、それでテレビに出ることになって、バラエティで皆に笑って頂く事が最初は一つの目標になったんです。それまでは、ぺこりんとデート感覚でテレビに出ていて、収録に行っても“芸能人がいっぱいいる”とか、スタジオのライトの数を2人で数えていたりとか、今もそうですが、バラエティのお仕事で緊張したことがないので、ただのお遊びみたいな感覚で挑んでいた部分がありました。でも、やっぱり結婚したことで意識も変わってきて。

 バラエティも笑って頂く番組だけでなく、討論番組など色んな番組に出させて頂く機会も増えました。それまでは笑ってもらって皆にハッピーを届けることが自分のなかでやり甲斐を持っていたんですけど…。討論番組で出るとなった時に“りゅうちぇるが討論番組に出て良いのかな?”って。正直、自分自身の問題だから。りゅうちぇるが討論番組に出て自分の意見を言うことが自分の中では想像が出来ていなくて、そのなかでもオファーを頂いて出演させて頂く以上は、という気持ちで出て、ふざけるわけでもなく自分の気持ちをしっかりと言ったら、結構SNSを通して“放送を見て勇気をもらえた”とかいろんなコメントを頂いて。そこで「こういうハッピーの届け方もあるんだ」、「笑って頂くだけでない自分のメッセージを伝える方法があるんだ」と思ったんです。

 中学生の時までは僕、自分を全然表現できない子で。今ではファッションでも言動でも自分らしくいられるんですけど、中学生までは本当に“おかま”って言われるのが嫌だったり、ちょっと個性的なファッションをしたら“普通の男の子はこんなじゃないよ”と親とかにも言われたり。学生なりに“普通の子とは違うんだ”と感じていて、学生時代は目の前に見ている社会が全てだから、ここでいじめられたら人生終わりなわけですよ、13、14歳ぐらいの当時の僕からしたらね。それで、学生時代は「カースト制度」の一番上にいないといけないとも思って、絶対に「高い声は出さない」、「好きなものも好きって言わない」、「好きな格好もしない」というふうに自分を偽っていたんです。

 でも、そうして自分を偽ってしまうと、“偽りのお友達”ができるんです。親友なんてできないんです。自分を表現しなかったから自分のせいでもあるんですけど、勇気もないし。自分に嘘をついているから人にも嘘をつくのが当たり前になるし、人から決めつけられても、結局自分を偽っているわけだから反抗もできずにという感じなんです。それで凄く嫌気がさして…。

RYUCHELL

RYUCHELL(撮影=片山 拓)

 それまでは本当に日本ってこういう国だしつまらないと思っていたから、周りの人が思う普通を信じてしまっていたし。ただただつまらなくて「変えてやりたい」と思ったんです。高校生からSNSを始めて、ようやく自分を表現するようになって。それで地元の子達からは「どうしたの、急に?」ってからかわれたりしたんです。また、同じ状況に戻ってしまって…。楽しくない遊びをして、偽りのお友達とつるんでというのが嫌で、一人になってもいいからとりあえず賭けてみようという感じになって。

 怖さもあったんですけど、つまらなさの方が上回っちゃって。それで高校生のときは派手にして。同級生の間では、入学式のときから噂になっていて、そういうのもあって「Twitterの子」という感じから「北高のりゅうちぇる」という感じになって、同じ高校の子は凄く慕わかってくれて仲間ができて。

 でも高校から出ちゃうと中学校の状況と全く変わっていなくて。一歩外に出たら「派手な変な子」って思われて、からかわれたりしちゃうわけなんです。そんななかでTwitterを通じて、原宿でアパレルをやって毎日個性を爆発させている子達のアカウントを見つけて「こんな格好で街を歩けるんだ」と思って。個性が許される街が日本にもあるんだと思って。超感動して「卒業したら原宿に行く」と決めました。

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