ロックバンドのRAMMELLSが7日、初の全国ツアーとなる『Mirrors release tour』の東京公演を代官山UNITにておこなった。本ツアーは2ndアルバム『Mirrors』を引っ下げた初の全国ツアーで、5月2日の仙台・LIVE HOUSE enn 2ndを皮切りに、東京、名古屋、大阪、福岡の全5公演をおこなうというもの。シティポップ・シーンの新鋭として注目を集めるRAMMELLSだが、そのジャンルの枠にとらわれない多様な音楽性で次々と新たなアプローチを見せ、ライブ・サウンドを光らせる。ツアー2日目の東京・代官山公演は歓喜飛び交う大盛況となった。【取材=平吉賢治】

新たな挑戦を交えて進化したライブ・スタイル

黒田秋子(撮影=Yuri Ito)

 RAMMELLSの音楽性の進化とともに、徐々に変化していくステージセットにまず目を奪われる。真田徹(Gt)はおなじみのメインギター・ジャズマスター。村山努(Ba)は昨年からライブでプレイし始めたシンセベースの鍵盤を設置。彦坂玄(Dr)はダブル・スネアというスタイルは変わらずだが、イヤーモニターを装着している。黒田秋子(Vo)は鍵盤演奏含みではなく、ハンドマイクでのパフォーマンスだった。

 2ndアルバムから「Over the purple」「Gone with the wind」と立て続けに披露し、「Holiday」まで4つ打ちハウスビートの3連発。ハンドマイクで踊りながら笑顔で歌う黒田の姿は新たなRAMMELLSのスタートアップの鋭気を感じさせるものだった。「シンセベースでライブ演奏するために曲をつくったりもする」と語る村山の打鍵プレイには磨きがかかっていた。

色彩豊かなプレイに映し出された“Mirrors”

真田徹(撮影=Yuri Ito)

 超大型連休となった今年のGW空け一日目のこの日、「忙しいっていうのにライブに来るというマインドが最高!」と、黒田はオーディエンスを盛り立てた。ダンスビートのアップテンポで温め、ファンキーなロックナンバーにミディアム・テンポと緩急を加え、グルーヴの渦を生み出した。

 黒田のボーカルは序盤のダンスチューンにファンクナンバー、中盤のアシッド・フレイバーの「Dizzy Dizzy Dizzy」と、様々な楽曲の色の中でも芯のあるボーカルを吐息混じりの色気で歌いこなす。鍵盤を弾きながらというスタイルとはまた違った彼女のポテンシャルが新たに引き出されていることが音として伝わってくる。

 村山の強かながらも均衡の保たれたスラッピング・ベース、そして同期演奏込みのなかでグルーヴをキープする彦坂のドラムプレイ、いぶし銀の音階でギターソロを奏でる「Echo」のプレイは本公演でキラリと光るアンサンブルを魅せた。

村山努(撮影=Yuri Ito)

 「愛をテーマとした曲がたくさん」と言う『Mirrors』から、黒田はメロディアスにバラードも歌い上げた。ここで新たなアプローチを見せたのは真田の演奏。ボトル・ネックを用いたスライドプレイが放つ独特のギターの倍音に耳を奪われた。昨年観たRAMMELLSのアプローチでは見せなかったプレイで果敢に攻める彼らの姿勢は、新譜アルバム作品にも、ライブにも如実に表れていたのである。
 

攻めの姿勢で進化するRAMMELLS

彦坂玄(撮影=Yuri Ito)

 ライブ後半は「Dead men & woman walking」から「Night out」と怒濤の勢いで弾けるプレイで代官山UNITを揺らし、ラストは『Mirrors』の表題曲的存在の「真っ赤な太陽」で締めくくった。本編での各曲のブレイク部で飛び交うオーディエンスの歓声、多幸感滲む好反応は、この日のライブの内容がいかなるものであるかを物語っていた。

 「みなさんまだ踊れますか!」と笑顔で可憐に荒ぶる黒田の煽りと共に、アンコールを2曲演奏。東京公演の締めくくりは「結成当初から大切にしている曲」という「Blue」。シンプルなコード進行で展開されるなか、全パートが輝くエモーションで音を飛散させた。エンディングはシューゲーザーばりの轟音が噴射されるリーダー真田の40小節のギター・ソロで幕を閉じた。激流のアンサンブル、そしてフィード・バック——。

 作品面でも演奏面でも、そしてライブパフォーマンス面でも新たなアプローチを展開するRAMMELLSの進撃を見せた一夜。これまでのRAMMELLSの多様な音楽性は更に飛躍し、さまざまな挑戦を続けるロックなスタンスと深いサウンド・バックボーン、攻めの姿勢で魅せた新境地。 RAMMELLSの進化はまだまだ続く。

セットリスト

『Mirrors release tour』
5月7日@東京・代官山UNIT

01. Over the purple
02. Gone with the wind
03. Holiday
04. FINE
05. Surrealism
06. HERO
07. Sensor
08. Dizzy Dizzy Dizzy
09. Echo
10. CLOUDY
11. chiki-chiki odoru
12. swim
13. Dead men & woman walking
14. 2way traffic
15. Night out
16. 真っ赤な太陽

ENCORE

17.愛のパラリア
18.Blue

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