「ONE MAN TOUR 2017 in “fantasia”」最終公演をおこなったLAMP IN TERREN(撮影=(C)浜野カズシ)

 4人組ロックバンドのLAMP IN TERRENが6月30日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで全国ツアー『ONE MAN TOUR 2017 in “fantasia”』の最終公演をおこなった。4月12日に発売した3rdアルバム『fantasia』をひっさげ、5月7日札幌COLONY公演から全国9公演を回るワンマンツアー。最終日は松本大(Vo、Gt)が「ツアーでも一番のライブをしようと思います」と意気込んだように、序盤から大いに盛り上がった。新作からの曲を中心に全19曲を披露。これまでに見られなかったバンドの世界観をライブでも示した。普段は応えないという、ダブルアンコールにも応え、最高の形でツアーを締めくくった。

バンドの世界観の変化

歌い上げる松本大(撮影=(C)浜野カズシ)

 この日はあいにくの曇り空で、時に雨もパラつく蒸し暑い1日だった。その暑さにも負けず、会場には開演のおよそ1時間前から多くの観客が詰めかけ、自身の持つチケットの番号が呼び出されるのを今か今かと待ちわびて、とぐろを巻くように整列していた。スタッフに番号を呼ばれると、駆けるようにステージのある、フロアへと階段を下っていく。その中では若い男女が多く見受けられ、若年層に対する彼らの絶大な人気を物語っているようだった。

 じめじめとした空気を晴らすような、ネオフォーク系の音楽が心地よくフロアに響いていた。フロアが暗転し、アンビエントな電子音のSEとともにメンバーが登場。ステージ上でスポットライトに照らされた松本が「ようこそ! “fantasia”へ」と呼びかけ、「涙星群の夜」からステージは始まった。彼らを待ち望んでいた観客はリズムに合わせ、手拍子で応えた。

 川口大喜(Dr)のドラミングに、中原健仁(Ba)のベースラインと、大屋真太郎(Gt)のギターリフが乗り「ランデヴー」へ。松本の伸びのある歌声に合わせ、ヒートアップした観客も<今 の向こうへ>とシンガロングをフロアに響かせた。

 今回のライブが生中継されていることに触れ、松本は「数年ぶりにとんでもなく緊張しています。こういうのは緊張する質なので」と正直な気持ちを吐露。その上で「今日はツアーでも一番のライブをしようと思います。それにはみんなの力が無いと成立しないので、みんな着いて来てくれますか?」と投げかけ、観客も歓声と拍手で応えた。

LAMP IN TERREN(撮影=(C)浜野カズシ)

 ステージが暗転すると、ステージに設置された大小様々なランプシェードを被ったランプが点灯し、彼ら独特の世界観を彩る。「innocence」では松本の胸をかきむしるような切々とした歌声に、熱い曲調ながらも観客は静かに聴き入っていた。

 松本がエレキギターをアコースティックギターに持ち替え、「とある木洩れ陽より」を披露。これまでバンドが持っていた内省的な世界観とは一味違う、陽だまりの暖かさを感じさせる前向きなポップソングに観客も笑顔で手拍子を送る。

 中原のロックなベースラインに、大屋のキャッチ―なギターリフが絡み合う「不死身と七不思議」では松本はハンドマイクでステージを右へ左へ、自由に動き回りながら歌い上げた。

新たな決意

フロアに飛び込んだ松本大(撮影=(C)浜野カズシ)

 ここでMC。ツアー中はいつも松本が話していたということで、最終日は話し合って他の3人で話すセクションを設けたことを大屋が説明。この日初めて口を開いた川口は「自分が喋るのは、LAMP IN TERRENでは“クララが立った!”並みの軌跡やから…喋るわ! 人間なんやから」と一人ツッコミで、会場の雰囲気を和ます。中原も「人間だったか…」とおどけて、観客からも笑いがこぼれる。

 そして松本がメジャーデビューしてからのことを振り返り、「こんな僕が音楽をやっていてはいけないのではないか、とネガティブに考えることもありました。でも、聴いてくれるみなさんのおかげで今でも歌えています。僕が至らなかったとしても、みなさんと向き合って、色んな言葉をもらって、それを頼りにこれからも歌っていきたいと思います」と決意を新たにした。

 「ワンダーランド」では観客がサビで飛び跳ねる中、メンバーもステージ上で飛び跳ねて演奏。会場の一体感もより高まった。続く「地球儀」では、松本がステージからフロアに降り、観客とともにシンガロングする場面も見られ、ボルテージは最高潮に。

 9月から全国13カ所を回る2マンツアーの開催を告知し、松本は「またお会いしましょう! どうもありがとう」と感謝を述べ本編を終了した。

 観客の盛大な拍手は、そのままアンコールを求める手拍子に変わった。暗転した会場に再び照明が灯り、メンバーが登場。松本が「この曲はみんなで歌おうと作った曲です」と語った「multiverse」で〈ウォーウォー ウォーウォウオー ウォウォー♪〉と観客と大合唱。

 アンコール終了後もフロアを去らない観客は手拍子を続ける。その熱意に応え、再び松本がステージに現れた。「いつもはダブルアンコールには応えてないのですが、今日は応えようと思います」と言い、弾き語りでバンドが結成されるキッカケとなった曲「L-R」を披露。観客も手を挙げ、松本が情感込めて歌い上げる歌詞をともに歌い、大団円の中、この日の公演を終了した。

(取材=松尾模糊)

セットリスト

01.涙星群の夜
02.ランデヴー
03.Sleep Heroism
04.at(liberty)
05.innocence
06.雨中のきらめき
07.とある木洩れ陽より
08.オフコース
09.不死身と七不思議
10.pellucid
11.heartbeat
12.緑閃光
13.キャラバン
14.林檎の理
15.ワンダーランド
16.地球儀

Encore

17.multiverse
18.eve

W encore

19.L-R

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