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姉のMonaと妹のHinaによるピアノ連弾ボーカルユニットのKitri(キトリ)が11月17日、初のシングルCD「ヒカレイノチ」をリリース。今作は、10月6日よりテレビ東京ほかで放送開始されたTVアニメ『古見さんは、コミュ症です。』の主人公の気持ちに共感したKitriが書き下ろした。シングルには同アニメのエンディング主題歌に起用された「ヒカレイノチ」と第1話のエンディングのために特別に制作した「シンパシー」の2曲を収録。インタビューでは、6月に行われた「Kitri & The Bremenz Live」のこと、「ヒカレイノチ」と「シンパシー」の制作背景、2021年で変化した意識など、多岐に亘り2人に話を聞いた。【取材=村上順一】
少し自立できた
――6月に行われたバンド編成でのライブ「Kitri & The Bremenz Live」で、収穫はありました?
Mona 初めてのバンド編成でのライブで、以前の私たちだったら想像ができないことでした。2人でやる以上のアイデアが返ってくるなと思い、すごく楽しくて勉強になりました。バンドの皆さんも新人の私たちに何でも言ってねと声をかけていただいて、私たちもすごく肩の力を抜くことができたので楽しめました。リハーサルから刺激的で新鮮でした。
Hina 今回、初めてエレキギターに挑戦しました。エフェクターとかわからない状態だったので、バンドの皆さんからアイデアをいただいたりしました。その中でバイオリンの弓を使ってギターを弾いたんですけど、それはドラムの神谷洵平さんが「人間プログラム」でやったらもっと歪な感じになって良いんじゃないかと、アイデアを出していただいたものでした。私は見た目も面白いなと思いました。
――難しかったですか。
Hina はい。けっこうコツがいるんですけど、今回ベースを弾いてくださった千葉広樹さんがバイオリンも弾ける方だったので教えて頂きました。すごく新鮮で楽しかったです。
――バイオリンを弾くHinaさんもそう遠くない未来に見れそうですね!
Hina 興味はありますが、バイオリンは難しいので(笑)。でも、色んな楽器にこれからも挑戦したいです。
――そういえば、このライブは黒い衣装で新鮮でした。いつもバーガンディの衣装なので。
Mona そうなんです。バンド編成なのでいつもとは違う見せ方をしたくて。表と裏じゃないですけど、それがやってみて出来たなと感じていて。
――今年も残りわずがですけど、Kitriにとって2021年はどんな年でした?
Mona 少し自立出来た年だったんじゃないかなと感じています。最初は色んな人に助けていただいて、レコーディングやライブのやり方を学んでいきました。もちろん今もそれはありますが、自分たちでこうしたい、こういう事をやってみたい、と自発的にアイデアを出せるようになってきました。実際に2人で意見を出し合って作るものが多かった1年だったんじゃないかなと感じています。
Hina 自分自身も成長出来た1年でした。6月のライブもそうなのですが、自分が今まで持っていなかったアイデアを吸収できて、それらを自分のものに出来たような気がしています。次のライブでもそれを見せることができたらと思っています。
――Kitriはすごく毎年進化が著しいユニットだと感じています。原点である連弾の精度も高まっていると思うのですが、連弾で新たな発見はありましたか。
Mona 最初は自分たちが歌いながら演奏できるものを念頭に作っていました。最近はそれを考えなくてもついていけるような気がしています。なので、妥協せずに自分たちが作りたいものをやれるような気がしていて、「これは無理かも...」と排除することが少なくなってきたと感じています。
――カップリングの「シンパシー」は連弾への挑戦も感じました。
Mona 今私たちが連弾で出来る最大限を追求して作りました。なので、ライブでどうなるかという不安もあるのですが(笑)。あと、歌詞のテーマに新しい挑戦がありました。それは、自分の願望を描いているんですけど、誰かと仲良くなるには頭で考えるより、とにかく行動してみようという内容なんです。私が1番を書いてHinaが2番を書くスタイルで制作したのですが、楽しかったです。
――ラブソングにも捉えることができますよね?
Mona はい。ラブソングとも捉えることができますが、私たちは“人”というところを意識して書きました。
Hina アニメの第一話のエンディング曲として流れることが決まっていたので、学校をイメージして書きたいなと思いました。これまで自分が書いていた歌詞よりもすごく具体的な言葉で書いていけたと思います。
Mona 第一話で流れるので、人と人との出会い、初対面で距離がある時期の曲にしたいなと思いました。
――原作も読まれて書かれたんですか。
Mona はい。全部読ませていただいて、心温まるストーリーだなと思いました。この作品に関われることが嬉しく思います。
――共感ポイントはありました?
Mona 人とコミュニケーションを取りたいけど上手く取れないところや、自分の短所だと思っていたところが人からは魅力に見えていたり。みんな違うからこそ良いんだということに改めて気づかせてくれました。
Hina 色んなキャラクターがいて、現実の世界でも苦手とするものとか、難しいこともあるけど、それがあってこその自分なんだなと思いました。本当に心が温まるシーンが沢山ありましたし、共感できるところも沢山ありました。
――お二人はコミュ症をどう捉えていますか。
Mona 私はその傾向がいまだにあります。人と会うと「これを言ったら嫌な気持ちにならないかな」とか、「傷つかないかな」とか考えすぎてしまって何も喋れなくなってしまうこともあって。しゃべった方が意思疎通ができるかもしれないのに、先に頭で考えてしまうんです。
Hina 仲良くなってしまえば大丈夫なんですけど、私は初対面で話しかける前だと止まってしまうこともあります。
――でも、デビューして色んな人と会ったり、ライブでMCをしたりすることで、変化された部分もあるのでは?
Mona はい。その中で学んだことは挨拶がすごく大事だなと思って、そこからどんどん広がって仲良くなれたりするんだなと思いました。なので、すごく基本的なことではあるんですけど大きな声で挨拶をすることを心掛けています。
――挨拶は重要ですよね。ところで「シンパシー」という言葉をタイトルに付けたきっかけは?
Mona すごく印象的な言葉で「使いたい!」と思いました。サビに登場する「勘違いでもいい」という、思い込みでもいいから自分が話しかけたい、素敵だなと思ったら行動に移してみようという、そんな気持ちを込めてシンパシーという言葉を選びました。
二人がいま興味があることは?
――そして、今作の表題曲「ヒカレイノチ」はどんなことを考えて作られたのでしょうか。
Mona 漫画やアニメの中だけではなく現実でも皆さん色んなことを抱えているんじゃないかなと思いました。でも、みんな大人になると平然と暮らしている感じがあったんです。でも、嫌なことがあっても何が起きても時は止まってはくれない、そんな普遍的なものをテーマにしたいと思いました。「ヒカレイノチ」というのも「自分も人も輝け!」という想いを込めてつけたタイトルなんです。
Hina 最初から最後まで2人で話し合いながら歌詞を書いていきました。Monaが先ほど話したテーマを教えてくれて、それで書いてみたいと思い、未来のために今を大事にしたいという想いを込めました。時間は戻せないし、止めることもできないので、今自分にできることをやらなければと思いながら作りました。
――制作はスムーズに?
Mona 私がメロディを作ったのですが、何十通りも考えました。ちょっとずつパターンを増やしていって、最終的にこのメロディに辿り着いた、という感じなんです。その何十通りのメロディもHinaに全部聞いてもらって、良いと言ってもらえたものを選びました。今作はいつも以上にメロディへのこだわりが強くて、最初から最後までスルーできないメロディにしたかったんです。そうしたら、細切れで聴いてもらうことになってしまって(笑)。
――Hinaさんはどんな基準でメロディを選びますか。
Hina まずは自分が好きかどうかというのは大きいです。それは、このメロディをもう一度聴いてみたいと思えるかどうか、それがMonaも良いと思っていたら、そのメロディで行こうという確信になります。
――なかなかこれまでに無い作り方ではあったんですね。アレンジも面白くてBメロからラテンの雰囲気が出てきますね。
Mona いつもアレンジしていただいている網守将平さんのアイデアです。特にこういうアレンジにして欲しいというリクエストはしていなくて、デモの時点で今の完成形に近いものになっていました。最初は私たちがピアノでアレンジしたデモでしたが、網守さんのアレンジを聴いて、「私たちもピアノでこれを表現したかったんだ!」という発見がありました。音のみで意思疎通ができたような感覚もあって嬉しかったです。
――Kitriはクラシックの要素を取り入れるのも特色としてありますが、今作は取り入れているのでしょうか。
Mona 今作はクラシックというよりも、Kitriの特色の一つである連弾をフィーチャーしたものになりました。「ヒカレイノチ」の間奏でそれが出ていると思います。
――注目ポイントでもありますね。「ヒカレイノチ」は楽器もたくさん入っていますけど、Hinaさんの注目ポイントは?
Hina 「心動かして」という歌詞があるんですけど、その言葉とリンクするようにリズムが刻んでいるところです。そこにすごく感動したので皆さんにも注目していただけたら嬉しいです。
Mona 色んな楽器が入っていて、それらが歌詞に寄り添っているんです。インストもシングルに入っているので、楽器だけで聴いていただいても面白いと思います。
――レコーディングで明かりを消したり、雰囲気を作ったりされました?
Mona 今回は特に作らなかったんですけど、「ヒカレイノチ」は楽器がたくさん入っていたので、それに圧倒されてしまうところもあったので、しっかり踏み締めて歩いていくようなイメージで歌いました。
Hina 私も雰囲気作りはしなかったのですが、曲のイメージとして、空や海というものが浮かんだので、頭の中で想像しながら歌っていきました。
――開放的なイメージだったんですね。さて、12月にツアー『Kitri Live Tour 2021 AW キトリの音楽会#4“羊飼いの娘たち”』を控えていますが、チェロが入るみたいですね。
Mona はい。『音楽会#3』でも参加していただいた羊毛さん(from 羊毛とおはな)と、チェロの吉良都さんに参加して頂きます。ライブでチェロを入れるのは初めてで、Kitriの音楽とどう絡み合うのか私たちも楽しみです。バンド編成の時とは違う、対局にあるKitriをお見せできたらなと考えています。音楽会でしか作れない世界観というのを表現し切りたいなと思っています。
Hina 私はまだお見せしたことがない楽器にも挑戦したいです。常に新しい楽器は探していてスタッフさんと相談しています。
――ここまでで追求していきたい楽器は見つかりました?
Hina 欲張りなんですけど、挑戦してきた楽器はどれも極めたいなと思っていて(笑)。その中でもコンサーティーナはKitriの音楽にもすごく合うなと思っています。あと、ベースも力強さが増すので、追求してみたい楽器の一つになりました。
――お二人がいま興味があることは?
Hina 私は今お城や宮殿に興味があります。自分でもなぜ興味が湧いたのかわからないんですけど、もっと詳しくなりたいなと思っています。いつか、お城でライブが出来たらいいなって。
――ちなみに一番気に入っているお城は?
Hina ベルサイユ宮殿です! ロココ調だったり建築方式など、すごく魅力的なんです。あと、マリーアントワネットがいたということがすごく自分の中で引っかかっていて、マリーアントワネットについても調べたいなと思っています。
Mona 私はこの季節になると考え事をする時間が多いんです。特に秋はあの人元気かなあとか物思いにふけます。あまり出来てないんですけど、そういった人たちに自分から連絡を取ったり、手紙を書いたりしてみたいなと思っています。
――「シンパシー」とリンクしますね! 最後に全国のKitristにメッセージをお願いします。
Mona みなさんの温かい言葉が励みになっています。感謝の気持ちで2人でこれからも面白い音楽を作っていきたいと思っているので、応援よろしくお願いします。
Hina コロナがもっと落ち着いたら全国に行きたいと思っていますし、みなさんに良い音楽をお届けして、楽しんでいただけるようなアーティストでいたいと思っています。
(おわり)
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