湯浅政明監督とKEN THE 390

 ラッパーのKEN THE 390が28日、東京・渋谷WOMBでおこなわれた『DEVILMAN NIGHT プレミアム試写会 by NETFLIX』のトークセッションに登壇した。アニメ作品『DEVILMAN crybaby』で声優とラップ監修を担当したKEN THE 390は「自分のクリエイティビティを出しつつ、ストーリーやキャラに歌詞を当てていきました」とコメント。湯浅政明監督はラップについて「自然に街の中に入ってくる様な物になったと思う」と評した。

 このイベントは、アニメ作品『DEVILMAN crybaby』が来年1月5日、日本を含めた約190カ国に配信される事を受け、企画されたもの。内容は第1話の試写、KEN THE 390と湯浅監督によるトークセッションとなっていた。参加者は抽選で選ばれた300人。フロアはアニメファンだけでなく、音楽ファンも集まっている様子だった。ちなみにタイトルにも含まれている『crybaby』とはエレキギターに用いられるワウペダルのブランド名でもある。

KEN THE 390

 イベントはまず試写会からスタートした。今作は『デビルマン』原作者の永井豪氏の画業50周年記念作品。『完全映像化は不可能』という意見もあった原作に挑戦したという事で、かなり意欲的な作品に仕上がっていた。

 30分の本編が終了すると、スタンディングで鑑賞していた観客からは大きな拍手が。映像にはクラブスペースである渋谷WOMBの設備を活かした重たいベース音など、音響へのこだわりをも感じさせた。

 その後、湯浅監督が登壇しトークがスタート。監督は「1話だけ観て『観たよ』と言ってほしくないですね」と強気な発言で作品への自身を覗かせる。マンガ『デビルマン』の連載当時については「(他のマンガとは)全然違うストーリーが展開されていた。子どもが見たらトラウマになるくらい。僕は高校の時読んでびっくりしました」と回想した。

 監督へのオファーを受けた時は「話を受けた時、どうしたらよいかわからなかった」としながらも「やりたかったし、出来ると思いました」とも話した。Netflixでの公開についても「(地上波とは違い)制限を気にする事なくできました。クライマックスは人間の根源に関わるところが描けないといけない。そこを表現出来るのはありがたかった」とコメント。

イベントのもよう

 さらにトーク後半では今作で声優とラップ監修を務めたKEN THE 390が登場し、監督と作品について語り合う。試写で見られた不良のラップシーンについては、監督が「テレビ(テレビ朝日『フリースタイルダンジョン』)でディスりあっているのを観て」入れたかったと発言した。KEN THE 390も「最初は凄いびっくりしました。ラップは悪く言えば、お笑い的な扱いで呼ばれる事もありますが、概要を聞いてそうじゃない事がわかった」と述べた。

 ラップとアニメが絡んだ作品は少ないという話題になると、湯浅監督が「ラップは自然に街の中に入ってくる様な物になったと思うので、そういう形でやってもらえれば絶対ハマる筈だと思っていた」とした。KEN THE 390も「脚本を頂いて、30秒とか1分くらいとお願いされました。ビート感は任せて頂けたので、自分のクリエイティビティを出しつつ、ストーリーやキャラに歌詞を当てていきました」と制作の裏側を明かす。

 トークセッションの最後は、KEN THE 390が「Netflixなので、何度も再生できます。ラップの内容が物語の内容に絡んでくるので、繰り返して観て頂けるとより楽しめると思います」、湯浅監督が「昔から知っていた、畏れ多いマンガですが何とか形に出来たと思います。色々な人の力を借り、Netflixで配信されます。是非楽しみにしていてください」とメッセージした。【取材・撮影=小池直也】

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