JUNNA「これからも変わらずいられたら」若き才能が感じる時代の流れと音楽
INTERVIEW

JUNNA

「これからも変わらずいられたら」若き才能が感じる時代の流れと音楽


記者:榑林史章

撮影:

掲載:20年12月09日

読了時間:約10分

 歌手のJUNNAが9日、2ndアルバム『20×20』をリリース。2016年、15歳の時にアニメ『マクロスΔ』のユニット・ワルキューレのメンバーとしてデビューし、2017年にソロデビュー。今作には降谷建志や詩人の最果タヒなど豪華クリエイターが参加したほか、全編英語詞の楽曲や、JUNNA自身が作詞作曲を手がけた楽曲も収録され、前作以上のバラエティに富んだ内容になった。タイトルにも込められている通り、今年11月2日に20歳の誕生日を迎えたばかり。まだまだ若い彼女が今作の制作において、どんな部分にこだわり、どんな想いを込めて制作したのか話を聞いた。【取材=榑林史章】

「もう20歳だね」と言われるとグサッとくる

『20×20』通常盤ジャケ写

――『20×20』というタイトルは、どういう意味で付けたのですか?

 20歳という人生の節目となる年にアルバムを出させていただけるということと、2020年は誰もがきっと大変な思いをして、記憶に一生残る年になったと感じたので、その2つの意味を込めて付けました。

――前作は『17才が美しいなんて、誰が言った。』というタイトルでしたが、17歳の当時の自分は今の自分の目にどう映りますか?

 ちょうど2年前の18歳になる直前でのリリースだったのですで、若かったなって(笑)。当時もその時に出来る最高のものになるように、精一杯やって作れたと思っています。でも今考えると、まだちょっと遠慮していた自分がいたかなって。今作はまだ未熟な部分がたくさんあると感じているんですけど、自分から「ここをもう一回歌いたいです」など、意思を少しずつ伝えられるようになって、遠慮せずに作れたアルバムかなと思います。

――早く大人になりたいとか、20歳になりたいと思っていましたか?

 いえ、まったく思っていなかったです(笑)。子どもだった時は、無邪気に「早く大人になりたい」と言っていました。でも、20歳に近づくにつれて、自分の中でどんどん複雑な気持ちになっていきました。「なりたいけど、なりたくない」みたいな…。両方の気持ちを抱えたまま20歳になってしまったという感覚です。今までの取材では「10代の~」と記事にしてくださることが多かったのですが、それがなくなる寂しさもあったし、「もう20歳だね」と言われると、「10代のままが良かったね」と言われているみたいに勝手に感じてしまって…グサッとくる時もあります(笑)。

 逆に20歳になったからこそ出来ることも増えて、良い部分もいっぱいあります。だから今後は年齢をあまり気にせず、も変わらずいられたら良いなと思いますね。

――アルバム全体を通したテーマみたいなものは考えましたか?

 いろいろな曲に挑戦して新しい私の一面を見せたいということと、今を生きている中で、自分が思ったことや感じたことなど、今の自分の心情をストレートに表せたら良いなと思いました。

――今作には「Now or Never」という、全編英語詞の曲があって。タイトルには「今しかない」や「今を楽しもう」といった意味がありますが、歌詞はだいたいどんなことを歌っているのですか?

 今しか楽しめないことや、今しかやれないことがいっぱいあるんだよ、と。歌詞はもちろん曲調でも、すごくポジティブな気持ちにさせてくれる楽曲です。一気に曲調がポンッて明るくなって、聴く人の気持ちを明るく照らしてくれるような曲になったかと思います。

――JUNNAさんは、大学で英語を学んでいるとのことですけど、JUNNAさんの中で英語はどういうものなんですか?

 実は歌よりも英語の勉強のほうが長いくらいなんです。英語をマスターすれば英語曲も歌えるし海外でライブをやった時にも、自分の言葉で気持ちを伝えられるし、直接会話することも出来るので、英語の勉強はずっと続けようと決めていたんです。専門用語が出てくるような難しい会話は考えないと言葉が出てきませんけど、日常的な会話は頭を切り替えなくても抵抗なくすんなり話せる感じです。

――今後は自分で、英語で作詞もしてみたいですか?

 普段使う英語の文章と歌詞としての文章は、またちょっと違うのですが、いずれ挑戦してみたい気持ちはありますね。

ステイホーム期間中に揺れ動いた気持ちを歌詞に

JUNNA

――また今作では、「あばよイエスタディ」が印象的でした。タイトルにある「あばよ」はオジサン世代の言葉ですけど、JUNNAさんは不思議と似合いますね。

 ありがとうございます(笑)。コモリタミノルさんらしいメロディとサウンドで、岩里祐穂さんの歌詞もすごくインパクトがあって、とても中毒性のある曲だなと思います。

――歌詞の言葉で特に印象的だったのは?

 すごくインパクトを感じたのは、<生きて死んでみませんか>というフレーズです。歌う時も、ここは格好良く歌いたいなと思っていました。メロディと歌詞の言葉がすごくリンクしていて、最後に覚悟を持って何かを伝えようとする姿勢を感じて、今の自分をすべて詰め込むような気持ちで歌いました。

――JUNNAさんとしては、何を伝えたいと思ったんですか?

 生きて死ぬと言うのは、一生懸命を通り越して、死んでも良いくらいの覚悟を持って生きることなのかなと思います。私自身は、まだそこまで過酷な経験をしたことがありませんが、ウワ~って叫びたくなるような状況であっても、自分よりもっと頑張っている人はたくさんいるはずだし、自分で出来ると信じて死なずにやり切れば、必ずやり遂げることが出来ると思うんです。そういう自分の考えとか生き様を、最後に込められたら良いなと思いました。

――奮い立たせてくれるような感じですね。Dメロで高音が出てきますが、そこは歌っていかがでしたか?

 そこで一気に雰囲気が変わるんです。<遠くから鳴り止まない拍手がつづくような>という歌詞で、一気に白い雰囲気になると言うか、どこかの教会にいてカーンカーンと鐘が鳴る中で、周りから拍手されているような雰囲気を感じました。Dメロまでは暗くて黒い雰囲気で歌って、そこで一気に神聖な感じに、心がグイッて反対側に持っていかれる感じを表現出来たら良いなと思いました。優しい感じと強さを感じさせたいところもあったので、浄化されるような歌い方を意識しました。

――今回のレコーディングで、難しかった曲は?

 「Sleepless」です。聴いた感じはそんなに難しく聴こえないんですが、言葉数と音数が多すぎて息が続かないくらいで「私は歌えるのか?」と思いながらレコーディングしました。逆に後ろの音数があまり多くなく、でも強さがあるからこそ、歌で表現していかなきゃいけないと思って。この曲は、たくさんある候補曲の中から自分で選んだ曲だったから「責任を持ってちゃんと歌い切らないと!」と思って、編曲のNAOKI-Tさんからアドバイスをもらいながら歌いました。

――「Sleepless」は歌詞の内容も面白いですね。

 寝る前のちょっとしたイライラ感と言うか、不穏な空気が立ちこめている感じで、それは言葉でも音でも表現されています。部屋の灯りを消して眠る時は、いろいろ考えてしまう時間ですよね。すぐ寝られる日もあれば、漠然と不安を感じてしまう日もある。今日はあのことで苛立ったなとか、その日を思い返す時間でもあり、自分とちゃんと向き合う時間なのかなと思います。ただ私は、寝て起きたら忘れているタイプなので、嫌なことを思い出しても「寝て忘れよう」って寝ちゃいますけど(笑)。

――そして「いま」は、JUNNAさん自身が作詞作曲。作曲は初チャレンジということでいかがでしたか?

 以前から、作ってみたいとは思っていたんです。ただ、自分の持っている音楽の知識だけで作れるのだろうかと不安もあって、なかなか一歩が踏み出せなくて。この「いま」は、自粛期間中にいろいろ感じたこと、考えたことが力となって、ここで一歩踏み出すしかないなと思って挑戦しました。

 自粛期間は、今の自分に出来ることは何だろう? と、すごく考えたり、「私には何も出来ない」と無力さを感じたり、「でも私は歌うことしか出来ない」と、時間をかけて自分自身と向き合うことが出来たんです。この大切な気持ちを曲に出来たらと思って、ただネガティブな感情で終わらせるのではなく、明るい未来に繋げられる曲にしたいと思って作ったのが「いま」です。

ライブでは泣きたくない

『20×20』初回限定盤ジャケ写

――また今作では、歌のレコーディング以外のいろんな現場にも立ち会ったそうですね。

 プリプロダクションと歌のレコーディングだけでなく、楽器のレコーディングやトラックダウン、マスタリングなど、楽曲制作に関わる工程のほぼ全部に立ち会わせていただきました。CDの曲と曲の間隔も私が決めました。

――曲間の秒数は、自分の中でどういう基準があったんですか?

 ライブ感を大切にしました。アルバムすべてを聴いて、一つのライブが完成するイメージにしたかったんです。盛り上がりのところは曲間を詰めたほうが聴く人の気持ちも乗りますし、バラードなど一気に雰囲気が変わるところは曲間を延ばしました。今回はいろいろなタイプの曲があったので、より難しかったですね。

 曲によって余韻が長く残る曲など様々で、特に「イルイミ」から「波打ち際」への曲間は、すごく難しかったです。どんな環境で聴いても楽しんで聴いてもらえるように、良いポイントを見つけるのが大変でした。こういう細かいところまでこだわったので、細部までじっくり聴いてもらえたら嬉しいです。

――さて、今年ももう終わりに近づいていますが、2020年を振り返った時にJUNNAさんが一番幸せだと思った瞬間はどこですか?

 11月2日に無観客生配信ライブ『JUNNA ROCK YOU STREAMING LIVE 2020 ~MOVE ON~』を配信した時です。久しぶりのライブで、ちょうど1年前の誕生日に同じ会場でライブをやって以来で、久しぶりにたくさん歌えて本当に幸せだなって思いました。みんなにお祝いもしてもらえて、すごく嬉しかったです。逆にツアーが出来なかったことは、すごく悲しかったです。今年は20歳になる年だったので、いろんなことを計画していたのですが、それが全部出来なくなってしまったのはとても残念でした。

――ツアーが出来ないと決まった時は、正直どう感じたんですか?

 もちろん悲しさ悔しさがありました。でもせっかくやるのなら、何の不安もなく思い切り楽しめる場所にしたいじゃないですか。そういう時が来るまで、私は待ちたいなって思います。

――2021年は、やっぱりライブですか?

 そうですね。有観客ライブが出来たら良いなって思います。満員での開催は安全面などを考慮しながら調整が必要かと思いますが、状況に対応しながら自分のやれることをやっていけたらなって。

――有観客でやるソロライブ一発目は、泣いてしまいそうですね。

 泣きますかね(笑)。私、ライブでは泣きたくないんです。1回泣いたことがあって、名古屋公演だったんですけど、「ソラノスミカ」という曲を歌う前になぜか泣いてしまって。地元というのもあったし、その日がツアーファイナルだったので、一気に緊張が解けて思わずという感じだったと思います。逆にワルキューレのライブではいつも泣いちゃうんですけど(笑)、ソロは私が崩れると助けてくれる人がいないから、泣いたら大変なんですよ。でも久しぶりにみんなと直接顔を合わせたら、もしかしたらヤバイかもしれないです!

(おわり)

作品情報

JUNNA
2ndアルバム『20×20』
12月9日発売
Flying Dog
初回限定盤(CD+Blu-ray)【VTZL-178 POS:4582575 38232 4】 4000円+税
通常盤(CD) 【VTCL-60538 POS:4582575 38233 1】 3000円+税

<CD収録曲>
1.我は小説よりも奇なり
2.FREEDOM〜Never End〜
3.Sleepless
4.La Vie en rose
5.イルイミ
6.波打ち際
7.Now or Never
8.コノユビトマレ-20×20 ver.-
9.あばよイエスタデイ
10.Sky
11.いま

<Blu-ray Disc収録曲>
1.コノユビトマレ Music Video
2.イルイミ Music Video
3.我は小説よりも奇なり Music Video

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