ロックバンドのJUN SKY WALKER(S)が5月25日、東京・日比谷野外大音楽堂でデビュー30周年記念ツアー『30th Anniversary Tour FINAL ~全部このままで~』最終公演を開催。昨年9月29日の渋谷CLUB QUATTRO公演を皮切りに全国31カ所31公演をおこなった。文句なしの晴天の下開催されたこの日のライブではアンコールを含む全22曲が披露され、圧倒的熱量をもってファンを魅了した。「僕らの青春はまだ始まったばかり」と、31年目も邁進するJUN SKY WALKER(S)の灼熱のツアー・ファイナルは会場一体の盛り上がりを見せた。【取材=平吉賢治】

30周年の集大成をみなさんにお届けしたい

宮田和弥(撮影=平野タカシ)

 いきなりのサプライズ・スタイルにファンは歓喜に湧く。ステージに現れた4人のメンバーはおもむろに客席に下り、会場中央のPA席前に設置されたサブステージへと向かった。全員アコースティック・ギターを構え、「全部このままで」をゴージャスな4声コーラス・バージョンで披露。開始からのスペシャル演出に会場は即座にヒートアップ。

 拍手に包まれながらメイン・ステージへと戻り、いつものバンド編成で「BAD MORNING」まで駆け抜け、リズムに同期する挙手が鮮やかに野音を彩った。宮田和弥(Vo)は「30周年の集大成をみなさんにお届けしたいと思いますので、最後まで楽しんでいって下さい!」と力強く宣言し、8ビートほとばしる「その日まで」でオーディエンスを疾走させる。

森純太(撮影=平野タカシ)

 「ガラスの街」では宮田が森純太(Gt)のもとへにじり寄り肩を寄せ合いながらボーカルを猛らせ、30年のバンドの絆を滲ませるように、次々とエネルギッシュな楽曲を走らせた。「これは未来への歌です」と言葉を添えて放った「NO FUTURE」では圧倒のコール&レスポンスが巻き起こり、「俺達と一緒に未来をつくろうぜ!」と、灼熱のツアー・ラストといわんばかりの熱量を発生させた。

35年、40年、50年とみんなと一緒に

寺岡呼人(撮影=平野タカシ)

 「PARADE」の前に宮田が伝えた言葉は、ジュンスカにとって“30周年”は通過点である、といったことを示唆するようだった。「みんなと一緒に歩いて行けるように」という心強い願いは、一歩一歩進んで30周年を迎えた彼らの説得力のあるギフト・フレーズだ。会場はその言葉に応えるように、超満員となった野音は渾然一体の愛の塊となってライブを燃やした。

 宮田が目を見開いた笑顔で「ちょっと騒いで行くかい!」と煽ると、スクリーンにコミカルなメンバー映像が映し出されるなか、軽快に「アパート」を披露。真っ赤に燃え盛るライティングのなかで渦巻くような「さらば愛しき危険たちよ」、曲のスタートから大歓声が鳴り止まない「歩いていこう」とライブは最高潮に。

 ファンが持つタオルが一斉に振り回された「Let's Go Hibari-hills」では、宮田の目の前のファンとタオルを交換するという嬉しいサービスも見せた。森は意気揚々と腕が振り切れんばかりの“風車ストローク”でギターをジャキジャキとかき鳴らし、寺岡呼人(Ba)、小林雅之(Dr)の怒濤のビート感のなかで縦横無尽な荒ぶりを見せた。

小林雅之(撮影=平野タカシ)

 「解散した後は仲が悪かったんだぜ…今は凄え仲良しなんだよ!」と漏らし、笑いを誘うシーンも挟みつつ、ライブも後半。ここまでの1時間少々は体感30分ほどの熱き密度だった。「素敵な空とみんなと一緒に分かち合いながらこの歌を一緒に歌いたいと思います。30周年のジュンスカファン全てに送ります!」と天を指した宮田の合図で始まった「すてきな夜空」では、大歓声と共に冒頭からのジュンスカ・アンセム大合唱に野音は一体となった。

 タンバリンを叩きながら、ときに高く投げては華麗にキャッチと、ハイテンションで演奏された「ロックンロール☆ミュージック」ではコールが鳴り止まない。「もう一発行けますか!」という煽りで最終曲「MY GENERATION」へと向かい、高らかなジャンプをもって本編フィニッシュ。「サンキュー日比谷、愛してます!」と宮田のシャウトでツアー・アクトは燃え尽きるように終了した。

 30年分の熱量を感じるような拍手とアンコールに応えたジュンスカは再びステージに。「なつかしい恰好ですね」と、ジュンスカらしいロングTシャツ姿で「遠くへ行かないで」「One-Way」と2曲を披露。30周年、30カ所でのロング・ツアーを終えた宮田の「今の自分に満足せず、誇り高く歌っていきます」という言葉は、温かく、頼もしく公演ラストステージの野音に響き渡った。

 興奮収まらない会場からは更なるアンコールが止まらなかった。ファンの愛に応えるように、メンバーは笑顔で再登場。アコースティック編成でもう1曲。これが正真正銘のツアー・ラストソングとなった。30周年を迎え、31年目、これからも走り続けるJUN SKY WALKER(S)の生き様は、最終曲の「青春」、そしてこの言葉で示された。「僕らの青春はまだ始まったばかりだ」。

セットリスト

『30th Anniversary Tour ~全部このままで~』
5月25日@東京・日比谷野外大音楽堂

01. 全部このままで
02. だけど一人じゃいられない
03. BAD MORNING
04. その日まで
05. 声がなくなるまで
06. ガラスの街
07. 悲しすぎる夜
08. メロディー
09. NO FUTURE
10. PARADE
11. いつも二人で
12. アパート
13. さらば愛しき危険たちよ
14. 歩いていこう
15. Let's Go Hibari-hills
16. START
17. すてきな夜空
18. ロックンロール☆ミュージック
19. MY GENERATION

ENCORE

EN1. 遠くへ行かないで
EN2. One-Way
EN3. 青春

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