ぽおるすみす(Vo)、TOY BOY(Dr)​、CANDY MAN(Gt)、Kuni the ripper (Ba)の4人による架空のカートゥーン・バンド”のINNOSENT in FORMALが20日、東京・Shibuya WWWでワンマンライブ『INNOSENT One man Live How to spend the live』を開催した。“和製Gorillaz”と呼ばれ、ヒップホップやロック、エレクトロニックなどの様々な要素を取り入れたストリート色の強いサウンドが特色のバンドだ。2020年12月にリリースされたミニアルバム『INNOSENT 2 ~How to spend the night~』の発売を記念し行われた初ワンマンライブは「after song」などアンコール含め全18曲を披露。そのライブの模様を以下にレポートする。

これは挑戦です

INNOSENT in FORMAL(撮影=白石達也)

 開演時刻が近づくと、配信ライブの方にもリスナーが集まり始める。メジャー1st Mini Album『INNOSENT 2~How to spend the night~』を提げてのライブ、初ワンマンということもあり期待感が高まる。オープニングを飾ったのはバースからコーラスへの爆発力が心地よいナンバー「Riff」。ぽおるすみすのメリハリの効いた歌が序盤から会場のテンションをぶち上げていく。ソリッドなバンドサウンドが絶え間なく鳴り続けるなか「Footloose」、ぽおるすみすの変幻自在の声色も注目ポイントの1曲でもあるTVアニメ「池袋ウエストゲートパーク」ティザーPV曲の「No.1」とロックバンドらしさ全開で駆け抜けていく。

 冗談を交えつつ、TOY BOYのドラムからミディアムチューン「I wanna...」へ。ロックサウンドに光を射すようなストリングスが印象的。チャットコメント欄では外国からのコメントも見られ「This is great」など賛辞のコメントも見られた。

 ぽおるすみすは長丁場のライブを経験したことがないINNOSENT in FORMALについて、「これは挑戦です。お互い音楽を楽しんでいきましょう」と、初ワンマンへの意気込みを語り、スペシャルゲストにキーボーディストのMIHO.Oを呼び込んだ。1人加わり5人になって届けられたのは、シティポップを感じさせる楽曲「Night cruising」を披露。MIHO.Oのエレピが楽曲に彩りを加え、おしゃれな空間を作り出し、INNOSENT in FORMALの音楽性の幅広さを提示。

 さらにラテンファンク調の「fragrance」ではキレのあるCANDY MANのギタープレイに、しっかりと楽曲の根幹を温かい音色で支えるKuni the ripperのベースが印象的だった。「湿っぽいの好きじゃないけど、湿っぽい夜を過ごしがちです」と、ぽおるすみすの言葉に続いて届けられたのは、大人な夜を演出した「Glass」へ。なんとも夢見心地な時間を提供し、さらにしっとりとしたバースから徐々に扉が開くような開放感、高揚感のあるサウンドで魅了したTVアニメ「池袋ウエストゲートパーク」ED 主題歌「思うまま」と、ノリだけではないドラマチックな音楽を響かせ、オーディエンスを魅了していく。

 ぽおるすみすは「思うまま」に込めた想いを語り、ライブに観にきてくれたオーディエンスに感謝を述べると、バンドメンバーにステージを預けた。3人で披露したのは「Ficus umbellate」。音源では歌も入っているが、あえてインストバージョンで会場の熱量をあげていく。そして、ぽおるすみすがquon6を引き連れ再びステージに舞い戻り「Jackin’ Rock Beats」へと流れ込んだ。往年のロックリフがアレンジに組み込まれたロックファンがニンマリとしてしまうナンバーに、個性的でアグレッシブなラップが絡み合う。ぽおるすみすは「俺の友達イケてるっしょ! お前らもイケてるぜ!」と投げかけ、「Junkie's never enough」、「Highway」とパフォーマンス。浮遊感のあるシンセサウンドにタイトなサウンドでメリハリのある演奏でオーディエンスを楽しませた。

言霊を飛ばしてこれから生きていく

ぽおるすみす(撮影=白石達也)

 ここまでライブを駆け抜けてきて楽しそうに話すぽおるすみす。会場となったShibuya WWWがもともと映画館だったこともあり、バンドのコンセプトとも合致していたことで、もうここしかない、「まさにINNOSENT in FORMALじゃん」と、初ワンマンの場所に決まったという。

 これまでワンマンライブに悲観的だったという。自分のアンテナを伸ばしたら、INNOSENT in FORMALのことを好きでいてくれる人たちが多いことに気づき、ぽおるすみすは、「INNOSENT in FORMALの音楽をもっと沢山の人に知ってほしいと思っているので、いろんな曲を作って、色んな場所に行ってライブをしていきたい。いつか大きなステージでやれることを実現するために言霊を飛ばして、これから生きていこうと思います」と、未来への決意を語り、再びMIHO.Oを呼び込み、旅の歌である「TRAIN」を歌唱。MCで届けたメッセージを音楽に変換するように、エモーショナルな空間を作り上げていった。

 本編ラストはTV アニメ「池袋ウエストゲートパーク」ED 主題歌「after song」。感情を揺さぶりかけるパフォーマンスは、確実にライブが始まった時よりもバンドとオーディエンスの間に確固たる絆のようなものができた瞬間だった。「忘れないこの瞬間」とぽおるすみすの言葉を残し、メンバーはステージを後にした。

 アンコールに応え、ぽおるすみすが一人でステージに。届けたのはバンドサウンドではなく打ち込みのバックトラックが特徴の「R.I.P.」だ。同曲を披露した意図に「この曲がやりたいんだ」と、急遽歌唱したことを明かした。

INNOSENT in FORMAL(撮影=白石達也)

 そして、「最後はこの曲をやって帰りたいと思います」と、ラストに届けられたのは「One for you」。ぽおるすみすのラップに、オーディエンスもクラップで参加。チャット欄では「もうカッコ良すぎて鳥肌」など、バンドのパフォーマンスを称えるコメントも多く見られるなか、記念すべき初ワンマンライブの幕は閉じた。

 初ワンマンとは思えない貫禄のあるステージだった。架空のカートゥーン・バンドというフィクションとノンフィクションが混ざるスタイルだが、ライブはノンフィクションの連続で、リアルな空間が広がっていた。これから先のINNOSENT in FORMALのスタンス、魅せ方に期待が高まった一夜だった。【村上順一】

セットリスト

INNOSENT One man Live How to spend the live
2021.02.20@Shibuya WWW

01.Riff
02.Footloose
03.No.1
04.I wanna...
05.Atama
06.日向が少ないこの街で
07.Night cruising
08.fragrance
09.Glass
10.思うまま
11.Ficus umbellate
12.Jackin’ Rock Beats
13.Junkie's never enough
14.Highway
15.TRAIN
16.after song

ENCORE

en1.R.I.P.
en2.One for you

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