FlowBack「僕らはBORUTO-ボルト-と似ている」自らを好転させる強い意志
INTERVIEW

FlowBack「僕らはBORUTO-ボルト-と似ている」自らを好転させる強い意志


記者:榑林史章

撮影:

掲載:20年03月11日

読了時間:約12分

 5人組ダンス&ボーカルグループのFlowBackが11日、ニューシングル「Fireworks」をリリース。8枚目のシングルとなる今作は、アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』エンディングテーマで、彼らがアニメタイアップ曲を担当するのは、メジャーデビュー4年目にして初めてのこと。初めてFlowBackに触れる人のために、MVやカップリング曲などは様々な工夫を凝らしたものになった。今作に賭ける彼らの想いを聞いた。【取材=榑林史章】

【動画】ミュージックビデオ

FlowBackとボルトは似ている

「Fireworks」ジャケ写

――「Fireworks」は、TVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』(以下、『ボルト』)の1月クールのエンディングテーマ。『ボルト』のテーマソングに選ばれて、どんなお気持ちですか?

TATSUKI アニメのエンディングテーマは初めてで、それが僕らも大好きな『BORUTO-ボルト-』だと言うことで、嬉しさもひとしおでした。

JUDAI これまで『BORUTO-ボルト-』のテーマソングは、バンドが多かったので、その上で僕らを選んでもらえたことがすごく嬉しかったです。それにアニメで曲が流れてから、『BORUTO-ボルト-』のファンの方から「新鮮で良い」という反応が多くあって、認めてもらえたようですごく嬉しかったです。海外から僕らのSNSにアクセスしてくれる方も増えていて、これも『BORUTO-ボルト-』のおかげです。

MARK 反響で言ったら、久しく連絡を取っていなかった友だちからたくさんメールや電話が来ました。発表された時もそうだけど、第1話の放送直後は特にすごくて。それで、僕らと同じ20代もけっこう見ているアニメなんだなって。

MASAHARU 僕はもともと『NARUTO-ナルト-』が好きで。少年時代からアニメも見ていて、その時のテーマソングは記憶にすごく残っているし、そこでテーマソングを担当出来るのはアーティストとしての一つの証でもあると思っていて。そこに僕らが仲間入り出来たのはすごく嬉しいです。

REIJI エンディングの映像にFlowBackという名前が載っていることが、純粋に嬉しかったです。初回の放送の日が、ちょうど北海道でライブがあった日だったので、みんなで集まって観ました。

――みなさんは『NARUTO-ナルト-』の世代なんですよね。

JUDAI どハマりした世代です。その流れで『BORUTO-ボルト-』も好きで、『BORUTO-ボルト-』はアニメの放送が始まる前に劇場版が公開されたんですけど、僕はその劇場版も見に行ったくらいです。

――『NARUTO-ナルト-』世代のみなさんが見て、『BORUTO-ボルト-』の魅力はどんなところにあると思いますか?

TATSUKI もう完全に、親目線で見てしまっていますね(笑)。『NARUTO-ナルト-』を見ていた世代が見て、より共感する内容になっています。ボルトたちの時代になって、すごく現代のことを描いているなと思うし、同時にそこに切なさを感じる部分もあって。ナルトとボルトの価値観の違いも今の時代を反映していて、いろいろなことを訴えてくれているなと思います。

JUDAI ナルトは修行に一生懸命だったけど、ボルトは修行なんかダセエって感覚だし。ナルトの時代には無かったものがたくさんあって、電車が走っていたり、科学忍具なんていうのも出て来て。

MARK 振り返るとこの話が決まる前から、メンバーがよくナルトの話をしていて。僕は5人の中ではあまりアニメを見なかったんですけど、今回のタイアップを機に見るようになって、改めてメンバーが熱くなっていた理由が分かりました。ナルトは日々の修行とか泥臭さがあって、そこはFlowBackに似ているなと思ったし。

――好きなキャラクターとかいますか?

MASAHARU 僕はナルトの時代から、シカマルが好きで。今はその子どものシカダイが好きです。親子だから似ていて当たり前だけど、そのまま生まれて来たなってくらいそっくりで(笑)。でもシカマルより、ちょっと格好いいよね。

REIJI シカマルとシカダイの違いは、生え際のギザギザの数が違いなんじゃないかって(笑)。僕が好きなのは、シンキです。砂鉄を使った忍術で、顔に模様が入ってて、普通に格好いいです。あと好きなエピソードは、タイムスリップ編です。ボルトが過去に戻って、子ども時代のナルトと出会う物語で、2人が話をしているシーンはジーンときました。

――さっきMARKさんから、ナルトの泥臭さはFlowBackと通じるものがあるとお話がありましたが、それはみなさんも感じている?

JUDAI そうですね。火影という偉大な親(ナルト)に対して、ボルトはすごくコンプレックスを感じていて。でもボルトはそれに負けず、自分のスタンスを貫きながら忍びとして成長して行くんです。僕たちFlowBackもダンス&ボーカルグループというだけで、見てもらえなかったり、思うようにライブが出来ない時期があって、僕らの中でダンス&ボーカルという肩書きは、ある種コンプレックスだったんです。でも今となって思うのは、肩書きなんて後から付いてくるものだし、自分たちの手で変えていけばいいと思っていて。そういう風に、自分たちを取り巻く状況の中でどうやって行けばいいか考えているところは、ボルトとFlowBackは似ているなって思いますね。

――今回の「Fireworks」でも、自分の考え方次第で状況を変えられることや、自分の手で光を掴もうと歌っていて。何かにコンプレックスを感じている人にとって、この曲が背中を押すものになったら良いですね。

JUDAIはい。そうなったら嬉しいです。

今までになかった強いメッセージ

――「Fireworks」の制作は、どんな感じで進みましたか?

TATSUKI 今回は嬉しいことにアニメのテーマソングだったんですけど、でもアニメに過度に寄りすぎないようにという話をみんなでしました。「自分たちの色はしっかり出したいね」って。それを制作の最初にかかげて取り組んでいきました。

――タイトルの「Fireworks」は花火のことですよね。

JUDAI サビの歌詞に<Life is fireworks>というフレーズがあって。つまり、人生は花火のように儚くて短い。だから精一杯燃やし尽くそうと歌っています。FlowBackで言うと、僕たちは花火が打ち上がっている途中で、まだ花開いてはいないと思っていて。そんな中で、FlowBackとしての音楽人生がどれだけやれるか、どれだけ続くかは、正直言って誰にも分からない。極端なことを言えば、明日FlowBackが無くなったり、活動出来なくなるかもしれない。そういう暗闇の中で、何を残せるか。大きな花火をどれだけ花開かせることが出来るか。そんな僕らの、今の決意が込められている曲でもあります。

REIJI 歌詞に<暗闇をかき分けて走る>というフレーズがあって、そこは僕がソロで歌っているんですけど、自分の胸にもすごく刺さりました。僕たちはまだ夢を叶える途中だし、日々良いことばかりあるわけじゃなくて、壁にもぶつかるし、暗闇が続く時もあるんです。それでも、それをかき分けながら、僕たちは進んでいて。ダンスの構成でもそこの部分は、僕がみんなをかき分けで走るような振り付けがあって。それも含めて、歌詞とダンスが自分たちの心境とすごくリンクしています。逃げ出したくなる時もあるけど、それを引き留めてくれるのがメンバーだし。パフォーマンスしながら、今までになかった強いメッセージを感じました。

MASAHARU この歌詞自体、良い意味で癖がなくて。ワードの選び方もそうだし、初めて聴いた人にも刺さりやすいんじゃないかと思います。だから歌う時も自然と気持ちが入ったので、すごく感情を込めやすかったです。

――MARKさんは、歌ってみていかがでしたか?

MARK MASAHARUも言った通り、僕も変に考え込むようなこともなく歌うことが出来ました。歌詞の内容も、僕たち自身が思っていることとリンクしていたし。かと言って、変に感情的になることもなく癖もあまりつけず、わりとストレートに歌いました。いつもは限られた自分のパートの中で、エッセンシャルを残そうと意識しているんですけど、今回はあえてシンプルに歌いました。

TATSUKI でも特徴として、歌い分けが超細かいんです。今までにないくらい細かくて、ひと言だけで入れ替わるようなところがたくさんあって。それを2人ユニゾンで歌うとか。だから最初はなかなか自分のパートが覚えられなくて、練習の時に「あれ?ここは俺も歌うんだっけ?」って、何度も立ち止まって確認しての繰り返しでしたね。

――ラップパートの制作は、どんな感じでした?

JUDAI ラップの歌詞も、みんなが話したように自分たちとリンクする部分が多かったので、そんなに制作時間がかからず書けました。それに僕として一番嬉しいのは、ラップパートもTVサイズで流れたことです。今までも何度かタイアップをやったことはあったんですけど、テレビで流れるバージョンは大抵ラップパートが削られてしまって。ワクワクして放送を見たらラップが流れなくて、シュンってなった経験があったから。今回はラップが入って良かったなって。個人的な感想としては、それが一番大きいです(笑)。

――MVが数種類制作されていて。通常のMVの他にパフォーマンスビデオ、リリックビデオがあって。

TATSUKIパフォーマンスビデオは毎回撮っていて、いつもスタジオだったんですけど、今回はいつもと違って屋上で撮影したものになっています。通常のMVに屋上のシーンがあって、そのシーンの撮影の時に1曲撮ったらすごく良い感じだったので、そのまま使えるんじゃないかということで。リリックビデオは今回が初めてです。これはアニメタイアップがあったからこそで、きっと僕らの曲を初めて聴く人も多いと思ったので、そういう人にもスッと入ってもらえるようにと思って作りました。

――MVは森、街中、屋上とシーンがいくつかあって、歩きながらバックがどんどん変わっていくシーンなど、すごく見応えがありました。

MARK そのバックが変わって行くところは、各シチュエーションでまったく同じように動かないといけなくて。振り付けもMV用に作ったものだったから、当日振り付け師さんが現場に来てくださって、覚えるのにギリギリまで格闘して。撮影はすごく大変でした。

TATSUKI 森のシーンはコンテンポラリーダンスを取り入れていて。あと、ボルトにちなんで忍術っぽいところもあって。葉っぱが舞うところとか、煙を使ったりしています。

MARK 煙は色つきだったから、MASAHARUの金髪に色が付いて、めっちゃ萎えてて(笑)。

今回のリリースで花火に着火

――MASAHARUさんは、いつから金髪になったんですか?

MASAHARU 今回のMV撮影に向けて金髪にしました。理由は単純なんですけど、MVのシーンに森のシチュエーションがあって、森の緑の中に金髪は映えるんじゃないかって(笑)。でも今思うと、冒頭の森の中で舞うシーンは、もし黒髪のままだったらきっと重くなっていたから、やっぱり金髪にして良かったなって思います。

――確かに映像の中でキャラが立ってて、インパクトもありました。MASAHARUさんが金髪にすることは、みんな知ってて?

MARK 僕だけ知らなかったんです。風の噂でMASAHARUが金髪にするかもというの話が耳に入って、本人に「金髪にするの?」って聞いたら「しないよ」って。それである時、いきなり金髪になっててびっくりしました。何で嘘をついたのか、意味が分からないですよね(笑)。

MASAHARU 嘘って言うか。自分のことを報告するのって、照れくさいじゃないですか(笑)。それに30歳を越えたら出来ないと思って、20代の今のうちにやりたかったんです。

――その森の中のシーンは、地面が平らじゃないから踊りづらいし、衣装も汚れたりとか大変でしたよね。

TATSUKI まだライブで一度も着ていない衣装だったんですけど、衣装が汚れるのは覚悟の上で半分やけくそでした(笑)。1日中撮影していたんですけど、一番最後が森のシーンで明け方まで森の中で踊っていたんですよ。

JUDAI 僕は眠いし寒いしで、その時の記憶がないです(笑)。

――REIJIさんのおすすめのシーンはありますか?

REIJI 僕の個人的なおすすめシーンは、シャッターに寄りかかってるところです。映っていない反対側には、ヨッパライとか通行人がいっぱいいて、そんな中で「エモい表情をして欲しい」って監督から言われて。何とか気持ちを入れて頑張った表情を、ぜひ見てください!

――そのシャッターとかの街のシーンは、どこで撮ったんですか?

TATSUKI あれは新宿です。やっぱり『BORUTO-ボルト-』をきっかけに、海外の人もたくさん見てくれると思ったから、『BORUTO-ボルト-』の世界観と日本感をミックスしたいと思って。

MARK 浅草とか渋谷とか候補地はいくつかあったんですけど、森とのギャップで都会感も出せるんじゃないかということで新宿になりました。渋谷は、以前に1st Album「VERSUS」のトレーラーで撮ったことがあったから、「違う場所が良いよね」ということで。

――そして今回はカップリングに、「Fireworks Band Ver.」を収録。

JUDAI いろんなバージョンを聴いて欲しくて。バンドバージョンだとより壮大になって、聴く人も感情移入してもらいやすいんじゃないかと思います。

MARK バージョン違いをいくつも収録するのは、昔からやりたかったことの一つなんです。アコースティックバージョンを入れるのはよくあるアイデアだと思いますけど、「Fireworks」という曲は激しいものではないしエモい曲なので、よりエモさを発揮するには、やはりバンドサウンドだろうと思って。

MASAHARU 以前、生バンドでライブをやったことがあったんですけど、僕はその時のめっちゃ良かった感覚が忘れられないんです。そもそも音圧が違うし、その場で対応してもらえるから、僕たちの感情でリズムやテンポを変えることが出来るし。より音楽をやっている感が高まるんです。だからこのバージョンも、早くライブでバンドとやりたいです。

――また期間生産限定盤(アニメ盤)には、「FlowBack Mix -DJ 和 Mix-」を収録していて。

REIJI アニメ盤は、ボルトたちがマイクを持ってカラオケを楽しんでいる絵柄なんですけど、やっぱり『BORUTO-ボルト-』のファンが買ってくれることが多いと思って。そういうFlowBackを初めて聴く人のために、FlowBackはどういう曲をやっているのか、この機会にぜひ聴いてもらいたいです。

――それでは最後に、今後はどんな花火を打ち上げたいか教えてください。

MARK より多くの人に僕らの音楽を届けたいと思って、去年は今までで一番ライブ本数が多い1年になりました。その上で今年は、去年の小さな積み重ねが、もっとより多くの人に届くことに繋がったら良いなと思います。

――花火にかけて言うと、去年は花火を仕込んでいた1年だったみたいな。

MARK そういう感じですね。たくさん苦しみながら、自分たちで作って。今回のリリースで、その花火に着火出来たらいいなと。

TATSUKI でも、あまり早くドーンって鳴るのも違うと思っていて。ちゃんとみんなの目に届くところまで高く昇って、その上で大きな音と共に花開いたら良いかなって。

MARK 花火って夏のイメージがあるけど、去年は別府で開催されている、冬に花火を打ち上げるお祭りに出たんです。みんなで「すごいね」って言いながら見たんですけど、これは大きいなと思っていても、もっと大きなやつが後からどんどん上がって。その大きさが想像以上だったんです。だから僕らも、そういう感じでいきたいです。想像を超えた先にもっともっと行きたいです。そんなことを思いながら、その時はMASAHARUとずっと隣に座って見ていたんですけど、あまりに雰囲気が良くて「俺たち付き合ってるのかな?」って、危うく勘違いしそうになっちゃって(笑)。

MASAHARU 変な想像するなよ(笑)。

(おわり)

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