CLIEVYとKEENによる2人組ボーカルユニットのC&Kが6月27日、東京・NHKホールでコンベンションライブ『コンベンションライブ~見てくれ!好きか嫌いか言ってくれ!同情するなら尺をくれ!!!~』をおこなった。コンベンションライブ(関係者向けお披露目ライブ)ということで、この日はオーディエンスも出演者として、関係者に向けて、C&Kの魅力を一緒にアピールするという変わった試み。アンコール含め約3時間、30曲を熱演した。そのライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

盟友・九州男がゲストで登場

撮影=田中聖太郎

 オーディエンスはC&Kの“&”としてCLIEVYとKEENと同じこのライブの出演者。会場は赤と白のシャツ、紅白帽を被った“&”で埋め尽くされるという、コンサートとしては異質な光景が広がっていた。すべてはNHKホールということもあり、彼らの目標であるNHK『紅白歌合戦』を狙ったものだ。

 まずはコンベンションライブということで、レーベル担当者からの挨拶。時々、サンプリングされた銃声音が鳴り響くなか、ライブの意図を説明した。この銃声が何を意味するのか、それは彼らがまだヒットしていない、それを示唆するものとのことで、まだその銃弾も体にヒットしない、というダジャレ的な演出。

 そして、幕が上がり7人のダンサーとDJ、ステージ下からサックスを持ったCLIEVYとKEENの2人がゆっくりとせり上がり、管楽器のサウンドがゴージャスでファンキーな「C&K X」でライブの幕は開けた。序盤からクライマックスのような盛り上がりだ。

撮影=田中聖太郎

 ダンスビートが身体を揺らした「to di Bone」、クラップが響き渡った「milky way」、KEENのダンスが光った「ジャパンパン~日本全国地元化計画~」とリズム・メロディ・2人歌声による相乗効果でアゲアゲな空間に。続いてCLIEVYが新生姜の神輿に乗って登場し、会場の熱気を煽った「MATSURI」と、まさにタイトル通り、お祭り騒ぎといった盛り上がりで、会場一丸となって楽しむ光景が広がった。

 ここでCLIEVYによる音声アナウンスでコンベンションの説明から、歌のお兄さんを彷彿させる衣装にチェンジした2人とスイカの着ぐるみを着用した大勢のちびっ子ダンサー達をバックに「C&K XII」をパフォーマンス。子どもたちの純真無垢なエネルギーがステージから溢れていた。

 MCでは2人の前に設置された特効演出のジェットスモークが噴き出し、集まったオーディエンスに向け、感謝の気持ちを伝えようとするが上手く行かず。ユーモアを決して忘れない、笑いが絶えない空間。

 CLIEVYは「あれもやりたいこれもやりたい、まだ未完成の2人です」と告げ「みかんハート」、続いて、深い青のライティングの中歌い上げた「空気」を体操服のまま熱唱。2人のハーモニーが心地よくホールを包み込み、ステージをあとにした。

 雷雨のSEが鳴りしばしのブレイク。客席で観覧していたC&Kが所属事務所の代表から「年末にここ(NHKホール)に立たせたい」と、話すと、雨の音は2人の苦心の涙のように激しさを増していく。

 金色のジャケットに着替えた2人、フル生バンド編成で「C&K IV」で扇情すれば、コール&レスポンスで一体感を高め、ファンキーな「DANCE☆MAN(WOKKY WOKKY×BOGGIE WOGGIE)」は、オーディエンスによる、ビートに合わせ腕を振り子のように左右に揺らす光景は圧巻。続いて、ミラーボールが金色の光をホールいっぱいに反射させた、ノリノリのラテンのリズムで踊らせる「EVERYBODY」では、CLIEVYのフェイクが我々の心を高ぶらせ、歌唱力の高さが伺える瞬間だった。

撮影=田中聖太郎

 そしてライブも中盤戦へ。「道 feat.九州男」では、C&Kをメジャーへと導いた盟友・シンガーソングライターの九州男(くすお)が登場し、ホールは大歓声に包まれた。3人で紡いだ「道」は、ここからさらに突き進もう、まだ見ぬ景色を見たいという想いを力強い歌声に乗せて届けた。12年前にもコンベンションライブを九州男とおこなったという思い出を振り返り、3人の和気あいあいとしたトークで和やかな空気。

 信じる道を進んで欲しい、いつかは光が当たると「キミノ言葉デ」を歌唱。しっとりとしたバラードだが、歌詞を変えてユーモアを交えた一筋縄ではいかないステージ。そして、感情を揺さぶる「Y」を熱唱すれば、じっくりと真剣に歌声に耳を傾けるオーディエンス。盛り上げる音楽と聴かせる音楽のメリハリ、表現力の振り幅の大きさを感じさせてくれた。

今日は“&”になってくれてありがとう

撮影=田中聖太郎

 ライブもいよいよ後半戦に突入。「精鋭」ではダンサーも再び登場し、これぞエンターテインメント! といった、華やかなステージで大きな盛り上がりみせた。演奏に合わせオーディエンスと共に右左、前後ろ、回転したりと体全身を使って一体感を高めていくライブならではの楽しい瞬間だ。続いての「C&K V」ではダンサーがデッキブラシやペール缶を使用したパフォーマンスで我々を視覚でも楽しませてくれた。

 CLIEVYは「慎重に、時に大胆に歩き出そう」と投げかけ、レゲエスタイルのグルーヴィな一曲「歩きだせ」を披露。ステージ後方からぶら下がったライトは、星のように瞬き、2人の力強い歌声は、背中を押し、迷っている人の気持ちを前進させてくれるようだ。

 CLIEVYは「最高の景色を見せてくれてありがとう」と感謝を告げ、「ドラマは自分で作る!」という意気込みから「ドラマ」を届けた。みんなで両腕をプラプラと左右に振る“サバイバルダンス”で楽しみ、ラストは九州男が再び参加し「Sun Son Sound feat.九州男」で、爽快なタオル回しで会場を埋め尽くすなか、本編を終了した。

 オーディエンスはアンコールを求め「道」のサビを大合唱。そして、いつしかC&Kコールに変わる。真っ赤に染まるステージに白いスーツを着用した2人が登場し「C&K IX」で爆発的な盛り上がり、そして、CLIEVYのエモーショナルな歌声に、浴衣を羽織り女性ダンサーに囲まれる中、セクシーに身体を動かすKEENに歓声が飛ぶ。

 続いて、始まったのはスカビートが躍動感を与え、<SPA! SPA! S! P! A!>の掛け声で高めあった「入浴」、さらに、踊り狂った「踊LOCCA~around the world 新たなる冒険~」ではオーディエンスも隣同士で肩を組み、座席、境界線なんて関係ないといった、ピースフルな人と人との縁、繋がりを感じさせてくれたシーンだった。

撮影=田中聖太郎

 KEENが祭服で登場し、愛を歌った「愛を浴びて、僕がいる」。神聖さも感じさせる空間の中、CLIEVYは肩車で登場し会場を沸かせ、2人の歌のエネルギーはホールの隅々まで響き渡った。そして、「梅雨上げ宣言」へ。紅白出場祈願のダルマをあしらったカートに乗ってCLIEVYが登場し、赤いパンツを着用したスイマーも乱入、フィナーレへ向けてのラストスパートで会場はさらにヒートアップ。

 ライブでの恒例行事!? となった「帰れ」では、バンドメンバーを<帰れ>とメロディに乗せ退場させ、残ったメンバーで「紅白行くぞ、おー!」の合図に集まったオーディエンスと記念写真。CLIEVYは「今日は“&”になってくれてありがとう」とオーディエンスに感謝を告げ、最後に8月7日にリリースされる新曲「嗚呼、麗しき人生」を届けた。歌詞にある<この麗しき人生は行方知らずでひとりぼっち>、しかし、最後には多くの仲間の存在を認識し、幸せを感じることが出来ると、今の2人の想いを歌い上げた。

撮影=田中聖太郎

 ここまでかすりはしたが、ヒットしなかった銃弾が遂に2人にヒットし、その場に倒れ込んだCLIEVYとKEENはスタッフによって担架で運ばれ退場するという劇的な終幕。最後の最後までユーモア溢れる公演だった。年末に向け、さらに加速度を上げていくことが容易に想像できるC&K。下半期はどんな試みで我々を楽しませてくれるのか期待が高まった。

セットリスト

01.C&K X
02.to di Bone
03.milky way
04.ジャパンパン~日本全国地元化計画~
05.MATSURI
06.パーティ☆キング
07.C&K XII
08.みかんハート
09.空気
10.C&K IV
11.DANCE☆MAN(WOKKY WOKKY×BOGGIE WOGGIE)
12.※がある
13.EVERYBODY
14.幸せのディスタンス
15.道 feat.九州男
16.キミノ言葉デ
17.Y
18.精鋭
19.C&K V
20.歩きだせ
21.終わりなき輪舞曲
22.ドラマ
23.Sun Son Sound feat.九州男

ENCORE

EN1.C&K IX
EN2.入浴
EN3.踊LOCCA~around the world 新たなる冒険~
EN4.愛を浴びて、僕がいる
EN5.梅雨明け宣言
EN6.帰れ
EN7.嗚呼、麗しき人生

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