渋谷TSUTAYA O-EASTで主催フェス『A FLOOD OF CIRCUS 2016』を開催したa flood of circle

渋谷TSUTAYA O-EASTで主催フェス『A FLOOD OF CIRCUS 2016』を開催したa flood of circle

 佐々木亮介(Vo.Gt)、渡邊一丘(Dr)、HISAYO(Ba)による3人組ロックバンドのa flood of circleが11月23日に、東京・渋谷TSUTAYA O-EASTで主催フェス『A FLOOD OF CIRCUS 2016』を開催した。今年で結成10周年を迎える記念に、佐々木が「自分達の手で楽しいことが1日で全てできる場所を作りたい」との想いで企画したフェスで、Nothing's Carved In Stone、go!go!vanillas、女王蜂、THE THROTTLE、Rei、DJ・片平実(Getting Better)が参加。Elephant STAGEとTiger STAGEといった2つのステージを設け、全7バンドによるアツいステージングを繰り広げた。開演前に佐々木は「俺が最高だと思っているバンドしか呼んでないので、好きに楽しんでいってください!」と自信をのぞかせており、その期待を上回る文字通り「楽しい1日」となった。

go!go!vanillas

go!go!vanillas

go!go!vanillas

 Elephant STAGEのトップバッターは、4人組ロックバンドのgo!go!vanillas。フロアから盛大な手拍子が鳴り響くなかメンバーが登場。牧 達弥(Vo.Gt)が「今日は、a flood of circleがサーカスを用意してくれました! 初っ端から手加減できません!」とフロアを煽り1曲目の「カウンターアクション」から熱量をあげていく。

「ヒンキーディンキーパーティークール」では、リズミカルなメロディに身をまかせ、思い切りはしゃぎ踊るオーディエンス。柳沢進太郎(Gt)の大胆なギターソロで、フロアも徐々にヒートアップ。飛び跳ねながらパフォーマンスする彼らのステージは、常に心をワクワクドキドキと掻き立てるものがあった。

 MCでは、牧 達弥(vo,g)が「凄くない? このフラッグ、カーテン、この仕様! 見てこれカッコいい!!(会場のセットに対して)これを見て俺思うんですけど、a flood of circleとは昔から仲良くさせてもらっていて、つい先日ね、MVの「Flyer’sWaltz」見ました? まさにこの感じですよね。サーカス! 本当に凄いね。本物のサーカスの小屋で演奏しているしさ」と、a flood of circleが先日発売した「Flyer’sWaltz」のMVについて絶賛。

 その後は、go!go!vanillasの新曲「おはようカルチャー」を初披露。サビでは、オーディエンスとコールアンドレスポンスができる暖かみのあるナンバーで、会場では見事なグルーヴが生まれていた。ラストは、ロックンローラーに魔法をかける楽曲「マジック」を披露し、ワンダーランドに招待されたような気分のライブを炸裂させた。

NEW SAMURAI ROCK'N'ROLL BANDのTHE THROTTLE

THE THROTTLE

THE THROTTLE

 アジアの日本ヤングメンが生んだ NEW SAMURAI ROCK'N'ROLL BAND のTHE THROTTLEがTiger STAGEに登場。高岩遼 (Vo)が「俺たちのイカしたストレート・ノーチェイサーを受け取ってくれ!!」と放つと、初っ端からイカシタ暴走ナンバー「ストレート・ノーチェイサー」をぶっ飛ばしてくる。これぞ、ロックンロールの原点と言わせる「ROYAL HOST ROCK lll」や「Jesse」を連続して披露し、彼らの衝動は止まることを知らない。空気はガラリと変動し、新曲の「Love is Nintai」と向かい、懐かしみを漂わせる愛の劇場をフロアに届けた。

 「踊るぞ、お前ら!!」と高岩遼が放つと、アグレッシブルなギターイントロが印象的な「KYトラック」へと続いていった。「concreteboogie」では、フロアが盛大に飛び跳ねていく景色へと広がり、「Rock’nRoll!!」の合言葉で「Rock’nRoll Music」を放出していく。ラストは、「JETPACK!」でハードボイルドな演奏を浴びせ、フロアでは拍手の音が鳴りやまなかった。

多彩な楽曲で魅せた女王蜂

女王蜂

女王蜂

 壮大なSEが流れ出し、Elephant STAGEに登場したのは女王蜂。「Human License」が鳴りだすと、フロアでは小刻みにリズムをとり、体を揺らさずにはいられない衝動に掻き立てられた。オーディエンスからバカでかく聴こえる“ヴィーナス”の言葉を筆頭に、「ヴィーナス」が奏でられていく。その後は、メロディックに巡り回る、「一騎打ち」へと駆け上がり、色鮮やかな扇子を揺らす光景が…。「売春」では、アヴちゃん(Vo)の高音ボイスを取り入れながら歌う姿に、ただ驚きを隠せなかった。

 会場が拳を振りかざす空間から続いたのは「デスコ」。アヴちゃんが履いていたスキニーを脱ぐという場面もあり、興奮状態は更に加速していく。アヴちゃんは「今日、一番似合うバンド女王蜂です。佐々木君とは仲良くしているんですけど、こんな隠し種を持っているとは思っていませんでした」と、本日のイベントについて語った。

 ハイヒールに履き替え、女らしくセクシーに歌い届けたのは「告げ口」。恐怖を感じさせる歌詞のフレーズに、背筋が凍りそうになってしまいそうだ…。女王蜂の最後を彩ったのは、シンセの音色が心地の良い「コスモ」を放ち個性豊かなラインアップを捧げた。

23歳のシンガーソングライターRei

Rei

Rei

 Tiger STAGEの2番手を務めたのは、23歳のシンガーソングライターRei。パワフルな声量と、刻むギターのリフで「JUMP」をスタートから魅せつけてくる。小柄で愛らしい容姿から放たれる、その堂々としたステージングにはただ驚愕してしまう。ブルースが効いている「my mama」、「Black Cat」を披露し、流暢な英歌詞で会場を沸かせていく。ポップテイストな、「Love Sick」では間奏でギターを弾きながら笛を吹くというReiの器用さに驚きを隠せないくらいだ。

 「こんばんはReiです、今日は、お誘いいただきありがとうございます。ボーカルの亮ちゃんとは、同じブルース好きということもあり会うといつも音楽の話ばかりしています。今日は、同じイベントに出させてもらえて嬉しいです」とコメント。Reiの軸としている、ブルースをふんだんに取り入れた「COCOA」、「Route246」といったナンバーを披露し、その姿から目を離せなくなりそうだ。ラストに贈ったのは「BLACKBANANA」で、スピード感に溢れるソングに酔いしれたくなるひとときだった。

Nothing's Carved In Stone

Nothing's Carved In Stone

Nothing's Carved In Stone

 静寂さを漂わせるSEにより登場したのは、Nothing's Carved In Stone。「行けるか渋谷!』と拓(Vo.Gt)が煽り向かったのは「In Future」。オーディエンスも豪快に拳を上にあげ、熱気に包まれていった。テクニシャンな生形真一(Gt)のギターを筆頭に「ColdReason」が炸裂していく。すると、ひなっちこと日向秀和(Ba)の鋭いベースから「Milestone」を発信し、噛みつくような刺激的なサウンドを聴かせる。

 「Warning」では、フロアからの手拍子に合わせながら大喜多崇規(Dr)のドラムが激烈に叩かれていく。「今日は、サーカス小屋ってことで僕ら見世物かな(笑)。凄い楽しみにしていました。呼んでくれて感謝しいてます」と拓が放つと、大切な仲間に歌った楽曲「Diachronic」へ。続くナンバーでは、「今日、渋谷でそんじゃそこらのLIVEをしに来た訳じゃないんです。今日は踊ろうぜ!!」と拓が力強く叫ぶと「Out of Control」へ突入。

 「Spirit inspiration」では、ひなっちの遊び心満載のベースが響きわたり、フロアでは軽快に踊りまくる姿が。このナンバーを聴いたら踊らずにはいられないはずだ。冷めぬ興奮のまま、Nothing's がラストに用意したのは「November15th」。青く光る照明に照らされ、聡明に歌う瞬間や、サビでハイスピードになる彼らのステージには盛り上がりの火が最後まで消えることはなかった。

DJ:片平実[Getting Better]

DJ:片平実[Getting Better]

DJ:片平実[Getting Better]

 Tiger STAGEでは、1996年から続いているロックDJイベント「Getting Better」のOrganizerであり、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL「COUNTDOWNJAPAN」』のRESIDENT DJである片平実が登場。学園天国の洋楽バージョンを先頭に、馴染みのある楽曲をDJとしてアレンジしていった。フロアでは、ヒットナンバーにノリながらDJを楽しむ光景も見られており、他の出演バンドとは違った空間を作りだしていた。

大トリはa flood of circle

a flood of circle

a flood of circle

 Elephant STAGEのトリは、今回のイベントの主催者でもあるa flood of circleがついに登場。「おはようございます! a flood of circleです。サーカスへようこそ!!」と佐々木の言葉を先頭に、「フェルディナン・グリフォン・サーカス」を披露。会場はダンスフロアへと移り変わり、もみくちゃになりながらも拳を振りかざしていくオーディエンス。

 モッシュの渦へと飲み込まれていったのは、「スカイウォーカー」。サビでは、オーディエンスとのコール&レスポンスも聴こえ、空間はどんどん熱を帯びているようだ。「もっとやばいことしようぜ!!」と煽ると「Blood Red Shoes」へ向かいステージ前方エリアではクラウサーフィングをしているファンの姿も。

 佐々木がギターを置き、タンバリンに持ち帰ると「Sweet Home Battle Field」を放っていく。このナンバーでは、佐々木がサーカスの醍醐味、空中ブランコと題しながらフロアに乱入。オーディエンスも更に興奮気味に。佐々木は出演キャストへの想いを次の通りに述べた。

 「今日は本当に最高です。今日は俺の好きなバンドしか誘ってないんで、見てわかったと思うけど、頭のgo!go!vanillasからこれやって良かったと思ったんだ。『A FLOOD OF CIRCUS』を俺たちは続けようと思っているのね。続けようと思っているから、一番最初のステージをgo!go!vanillasに任せてまじで良かったと思っています。THE THROTTLEは新宿で2回観てるんですけど、最初に見たときに『なんだこいつら…』って。ちょー有名になってほしくないと思ったんだけど、かっこよすぎて誘ってしまいました」

a flood of circle

a flood of circle

 「女王蜂はアブちゃんが俺を刺し殺すつもりできてたので(笑)。これからも(新宿)ゴールデン街で2人でイチャイチャしようと思っています。Reiちゃんはギターをセッションしようとか気軽に言ってくるんだけど、一緒にギター弾いたら俺が下手なのバレるから…。ナッシングスは、拓さんってひょうひょうとしているけど熱いんですよね。前一緒に弾き語りしたときとか、自分の弾き語りなのにほとんど浜省のモノマネで終わっていて…。器デカすぎると思ったんですけど。そして、今日ギリギリで会場入りしてきた片平実。来なかったらまじで俺が、アップルミュージックでDJするしかないぐらいの危機だと思いました。彼のDJが本当に大好きです」

 その後は、疾走感を引き連れていく「BLUE」へと続き再びMCへ。佐々木が「今年は本当、チャレンジしまくりだった。ロンドンへ行ってレコーディングをしたんだ。そのときのエンジニアが俺たちのことを気に入ってくれて、特になべちゃん(渡邊)とマブダチになってしまって…(笑)。俺たち、10周年でベスト盤出したり、ワンマンやったり、これやったり色々やってんだけど、全然ここが辿り着いた場所って感じがあまりしないの。ゴールだとも思っていないし。ロックンロールって何年あると思う歴史?もうわかんないわ。すげー長いんだよ。ちょー楽しいことをしたいからこれからもよろしくお願いします。さっき出たバンドのこの曲が好きとか語りたいんだけど、今日ロンドンで制作したシングルが発売日なんです。新曲ぶち込んでいいですか?みなさんをクライマックスへとお連れします)と放つと11月23日にリリースされた新曲「Flyer’s Waltz」を披露した。

a flood of circle

a flood of circle

 その後、「Dancing Zombiez」、「シーガル」といった理性を破壊されそうになるナンバーを叩きつけ、会場にいた人々の心を奪い取っていった。「俺ロックバンドだからさ、こんな楽しいことやめられないよ。バンドやってて生きててよかったって思えるよ」と佐々木が熱く言葉を告げると、綺麗な大合唱が鳴り響いたラスト曲、「ベストライド」へ。

 終幕を迎えたかと思いきや、フロアからは止まらないアンコールが。すると、その声援に応えa flood of circleが再びステージに登場。アンコールでは耳を傾けたくなる「ホットチョコレート」を奏であげ、ラストのMCでは、「来年のことも言いたいんだけど…(笑)とにかく2017年もガンガンいくので、よろしくお願いします」とコメント。彼らのフィナーレを飾ったのは、「Kids」で最後の最後まで全力投球で、走り抜けた。(取材・橋本美波)

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