INTERVIEW

谷川愛梨

素の私、包み隠さずに。
恩返しと始まりの1st写真集『愛梨』


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年06月22日

読了時間:約8分

 NMB48の元メンバーで、女優、タレントとして活動する谷川愛梨が、『谷川愛梨1st写真集 愛梨』(KADOKAWA、撮影・田中智久)を23日に発売する。グループ在籍時から笑顔が印象的な彼女だが、グループではメンバーを支える立場だったことに加え、私生活では7兄妹の長女ともあって「しっかりしないといけないと思った」という。そんな彼女が本作で見せるのは素の表情。どのような思いで撮影に臨んだのか。【取材・撮影=木村武雄】

谷川愛梨1st写真集 愛梨(C)KADOKAWA (C)Showtitle  PHOTO/TANAKA TOMOHISA

卒業後に写真集オファー「嬉しい」

――2019年12月に卒業されてから約1年半が経ちます。

 卒業して拠点を東京に移したあとにコロナ禍になって。でも、一人でいるのがめっちゃ好きなので、ちょうどいいぐらいでした(笑)

――過去に人見知りと話されていたかと。

 人見知りです。初めてお会いした時に人見知りする方としない方と分かれるんですよ。なぜそうなるかは分からないですけど…。人見知りしたらずっとそうなってしまって、仲良くしたいのにできないこともあって。この前、舞台に出させて頂いた時も共演の女の子と仲良くなりたかったけど「あ、あ、無理だ…」ってなって。それと私、めっちゃマッサージが好きなんですけど、マッサージする人が日本の方だと人見知りが出て緊張するので、いつも外国の方がやっている店に行くんですよ。外国の方の方が緊張することもなくオープンに話せるんです。もしかしたら外国の方が向いてるのかな? 外国にいる時の方がなぜか楽しいですし(笑)

――となると今回の撮影チームはどうだったんですか。

 全く人見知りしませんでした! 今回企画して下さった編集の方は顔見知りだったんですけど、初めてお会いするカメラマンさんやスタッフの皆さんに人見知りしたらどうしようと思って…。でも、顔合わせの時から大丈夫でした! 皆さん優しいですし、気を使って下さって、基本、優しい人が大好きなんです。なので2日間楽しく過ごすことができました。素敵な撮影チームに巡り合えて良かったです。

谷川愛梨

――そもそもこの話が来た時はどう思ったんですか?

 やっぱり嬉しかったです! NMB48にいた頃はなかった話なので、卒業してからもこうやって気にかけて下さっていることが嬉しくて。あと、舞台には出演させては頂いたんですけど、こういうご時世なので去年の舞台は中止になりましたし、握手会もないので、私を見てもらう機会もないなと思っていた時だったので、こうして一つの作品にしてお届けできることがすごくありがたいことだと思いました。

――昨年はコロナ禍で舞台中止などもあって気持ち的には大丈夫でしたか。

 決まっていた仕事が中止になることが続いて、先行きがちょっと心配になることは正直ありました。でもそこまで悩み込むことはなかったです。昔はめっちゃ悩んでいたんですよ。でも、そんなことを考えてもどうにかなるわけでもないですし、未来の楽しいことを考えようと思うようになりました。

――NMB48の頃、特に最初の方はネガティブだったとも話していますよね。

 そうなんです。でも、未来はきっと良いところに行けると思うから、それに向かって明るく頑張って行こうと思えるように変わったんです。だから選抜で序列が落ちてしまっても、次のシングルでは絶対にその位置に自分が立つぞって。悔しいは悔しいですけど、そればかり考えるんじゃなくて、もっと魅力的にアピールしていこうと変わりました。それは卒業しても変わらずです。

――そう思い続けて達成したり達成しなかったりするわけですが、卒業してコロナ禍になって、それでもこうして写真集の話が舞い込んできたというのはやっぱり明るい将来を信じてきたから?

 そうですね。それと、ご縁もあると思います。今回は担当して下さった編集の方との素敵なご縁があったからこうしてできたわけで、出逢いに感謝しています。

谷川愛梨

裏では泣いていた、エッセイで赤裸々に

――それで今回のテーマは「素の私」という事ですが、なぜこれをテーマにされたんですか。

 NMB48では、私はそこまでアイドルアイドルしてなかったんですけど、それでもアイドルらしくいようとか色々考えていた8年半の活動だったので、本当の気持ちを隠すことが多かったんです。ファンの皆さんは応援して下さるのに、ネガティブな言葉をぶつけてはだめだと思っていて、そういうところを出すのではなく、笑顔でずっといることがアイドルだと思っていました。なので、ずっと楽しく明るくしようと。でも裏では泣くこともありました。でもそういうことは見せたくないし、ずっと隠して。ただ、卒業して環境も変わりましたし、今だからあの時のこと、秘めていた本当の気持ちを出せるなって。そうした小さい頃からの話を今回エッセイに書いたんです。お父さんのことも書いたし、私がNMB48に入るきっかけになったことも本当にいろいろと書いて、だから写真だけじゃなくて、その文章でも楽しんでもらえたら嬉しいなあと思っています。

――ずっと明るい印象がありましたが、裏ではそうだったんですね。

 やっぱり心配かけたくないので。でもそれって私が長女というのもあるのかな? 妹が3人いるのでしっかりしないと思ってきたから、育ってきた環境もあるのかもしれないです。泣いてるところは見せられないですし、それはやっぱりグループの中にいても。2期生なので先輩の方ですし、どちらかというと自分が弱っているところを見せるんじゃなくて、弱っている子を支えたい、何とか助けてあげたいって思っていたので。

――今回の写真集の最後の方では赤いドレスで涙を流しているカットもあります。

 自然と涙が溢れてきたんですよ。空を見ていたらふと感情が高ぶって。それをカメラマンさんがすかさず押さえて、すごいなって! このカットはめっちゃ好きなんです。出来上がったのを見てビックリして! 普段どんな表情してるのかあまり分からなくて、こんな表情してたんだ、かっこいいって! 最初は不安だったんですよ。ずっと笑顔しかできないと思っていたので、こんな表情も出来るんだって。

(C)KADOKAWA (C)Showtitle  PHOTO/TANAKA TOMOHISA

――それまで抑えていたものが溢れたのかもしれないですね。写真集ではそうした何か忘れていたものが呼び覚まされることはありましたか。

 こういうグラビアの仕事が久しぶりで、水着はプライベートでも全然着ないので本当に久しぶりに着て。グループ時代に水着を着てミュージックビデオの撮影をしたときのことなどを思い出しました(笑)。それと、どこか客観的に見ているところもあって。そういうのもエッセイに書かせて頂いたんですけど、なんか自分を見てる自分がいるみたいな。そういうのをメンバーに話しても理解してくれなくて。やっぱり感覚が人と違うのかなって思います。怖い話って思われるかもしれないですけど、それも素の私なんで包み欠かさず書きました。

――人とは違う感性は個性なので良いと思います。

 ありがとうございます! 読んでくださる方も、それを変な奴だと思わずに「こういう子もいるんだ、面白いな」って感じで知って頂けたら嬉しいです!

(C)KADOKAWA (C)Showtitle  PHOTO/TANAKA TOMOHISA

本当に爪を見ていたんです!

――お気に入りカットに、ピンクのランジェリー姿を選ばれましたが、その理由は?

 すごい素だなと思って。爪を見ているカットなんですけど、本当に爪を見ていたんですよ! 本当に爪を見てて! 爪を見てるフリみたいと思うかもしれないじゃないですか。やっぱり撮影だから。でも本当に爪見てたんですよ。

――そこなんですね(笑)それだけ素だったという事ですね(笑)普通に過ごしている姿を切り撮ったという感じですね。

 そうです(笑)。本当に自然体な感じで撮って頂いて、アイドル出身だからどうしても表情を決めがちなんですけど、そういう顔は載せたくなかったですし、素の飾らない自分を撮って頂きたくて。カメラマンさんが「自由にしていいよ」って本当に上手に乗せてくださって、その中で出た爪なんです!

――表情じゃなくて爪なんですね(笑)体づくりは?

 初めて自分のお尻を見てこんなお尻なんだって。もうちょっと鍛えたいなって思いました。お尻の鍛え方は分からなくて、足は筋肉が結構ついていたので筋肉を落としました。

――筋肉をほどよく落とすのは大変ですね。食事のバランスとか。

 食事制限はしていました。ちょうど舞台が終わって2日後に撮影だったので、舞台中から食事制限もしていて。そこが一番過酷だったかもしれないです。もともと自分のグラビアとかは全く見ないんですよ。グループ時代とかも恥ずかしくて。でも今回初めて見ました。でもお尻はまだ見れてないんですよ。なんか恥ずかしくて、まだ(笑)。

お気に入りカットを広げる谷川

――チャームポイントは左胸元のほくろですか?

 そうです。セクシーぼくろっていう(笑)。でも昔はコンプレックスだったんです。ほくろが嫌で小学生の時に触っていたら取れて。「やった!」と喜んでその日パーティーをしたのに次の日にはまた出てきて、でもいま愛せています。私のチャームポイントです!

――衣装とかは?

 全部一緒に打ち合わせして、こういう色が好きとかも全部聞いてくださったんです。

(編集者)本体表紙がすごいんですよ! 大人の表情で色はピンク! 可愛い子からアンニュイな表情になって。最後赤いドレスで涙を流して。最後の最後はアイドルっぽく。

 そうなんですよ! 私の好きなピンク! 本当に素敵に仕上げて下さいました!

写真集を手に

――様々な表情を見せた本作ですが、改めてどう思いますか。

 今まで応援してくださった方、10年間、10年間でなくても、グループで私を知って下さったり、卒業してから知って下さった方への感謝の想いを込めることができました。いつも応援してくれてありがとうと、エッセイでも書かせて頂いたんですけど、恩返しの1冊になったと思います。それと写真集をきっかけで私を知ってくださった方との始まりのきっかけになればいいなと思います。

谷川愛梨

(おわり)

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木村武雄
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