諸星すみれ「夢が叶う瞬間はこういう感じ」人気声優が見せる音楽の可能性
INTERVIEW

諸星すみれ「夢が叶う瞬間はこういう感じ」人気声優が見せる音楽の可能性


記者:榑林史章

撮影:

掲載:19年10月30日

読了時間:約12分

 声優の諸星すみれが10月30日に、デビューミニアルバム『smile』をリリース。幼少期から劇団ひまわりに所属し、テレビドラマや舞台に出演しながら、声優の活動もスタート。これまでにアニメ『アイカツ!』の主人公・星宮いちごをはじめ、『文豪ストレイドッグス』の泉鏡花、『約束のネバーランド』のエマなど重要な役どころを務め人気を博している。デビュー作『smile』には、アニメ『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~』のオープニングテーマ「真っ白」をはじめ7曲を収録。クリエイターには岩里祐穂、白戸佑輔、志田原くる、宮川弾、HoneyWorks、最果タヒ、ak.homma(本間昭光)が参加。期待と不安を胸に、新しい世界に飛び込む諸星すみれの好奇心が溢れる作品となった。各曲のレコーディング秘話、ソロデビューする現在の気持ちなどを聞いた。【取材=榑林史章】

いろんな私の引き出しを開けてくださった

『smile』通常盤 ジャケ写

――ソロの音楽活動には興味があったのですか?

 小さい頃から歌うことが好きで、よく家族でカラオケにも行っていましたし、家でクリスマスパーティーなどをやった時は、家族の前でミニモミ。さんの曲を歌ったり踊ったりしていて。わりと目立ちたがりだったんです(笑)。だから、いつかはやってみたいと思っていました。でも、こんなにも早く叶うとは思っていなかったです。

――声優の活動を経て、今回アーティストとしてデビューすることになったわけですが、最初にレーベルから声がかかった時は、どう思いましたか?

 母が事務所からの電話を受けて、すごく興奮していて。なにごとかと思っていたら「すぅちゃんCDが出せるよ!」って(笑)。最初は信じられなかったし、久しぶりに震えるような感覚を覚えて、夢が叶う瞬間は、こういう感じなんだなと思いました。

――その時にデビュー作はどういうものがいいか、すでにイメージはあったのですか?

 私自身いろいろなジャンルの音楽を聴くので、やりたいと思う曲調はたくさんあったんですけど、みなさんが思う私のイメージってどういうものなんだろう? と思って。今までは役になり切るのが優先で、自分自身を表現する機会がなかったので、自分がどういうアーティストを目指せばいいのか、まったく見当も付かなかったです。ただ、ミュージカルがとても好きなので、歌でもお芝居をしている感覚になれるような、曲ができたらいいなと思いました。

――『smile』には、実際にミュージカル調の曲も収録されています。スタッフの方々と作品について話し合った時は、どういう話をしたのですか?

 私がどんな曲を聴くのか、好きなアーティストさんの名前をいくつか出させていただきながら、お話をさせていただきました。例えば、あいみょんさんが好きで、彼女のように歌詞が独特で、どこか懐かしさのあるメロディがいい、と。他には、母が昭和のアイドルが好きで、その影響で私も好きだったので、そういうテイストも欲しいなど。

――好きな昭和アイドルと言うと?

 松田聖子さんを筆頭に、堀ちえみさん、榊原郁恵さん、石野真子さん…。昭和のアイドルは、みなさん可愛いし表現力もすごいので好きです。それと昭和アイドルではありませんが、HoneyWorksさんも好きでよく聴いているので、それをスタッフさんにお話したら今回クリエーターとして参加していただけて、すごく嬉しかったです。

――そういう諸星さんの趣味を元に選ばれたクリエーターさんが思う諸星すみれ像や、こういうものを歌ったら素敵なんじゃないかというものが曲になっていったわけですね。

 はい。スタッフさんから提案していただいたものに対して、「やってみます!」と一つひとつに応えていくような形でした。でも、私の意見をすごく取り入れてくださったので、どの曲も歌いやすかったですし、曲の世界に入り込みやすかったです。その中でも「こんな声も出るんだ」「自分にもこんな歌い方ができるんだ」と、発見させてもらえる新鮮な曲も多かったです。いろんな私の引き出しを開けてくださって、可能性が広がった一枚になりました。

――実際に歌声を聴いて、諸星さんはファルセットと地声が混じっているような高音の声が、すごくきれいだと思いました。

 最初にプロデューサーさんからも、「ファルセットがきれいだね」と言っていただきました。もともと音域がそれほど広くなくて、地声で歌える限界がわりと低いんです。だから自然とファルセットっぽくなってしまうんですけど…技術的なものも知識もまったくない状態だったので、そこは少し不安がありました。でも、ずっとお芝居をしてきたので、表現という部分は自信を持って、大切に歌おうと思いました。だから「上手に聴こえるように」とか、「上手に歌わなきゃ」ということはあまり考えず、とにかく気持ちよく歌うことを考えました。なので無理をする感覚はなくて、物語に入るような感じでレコーディングがとても楽しかったです。

――ミニアルバムでデビューというのは、どうですか?

 そもそも私は、シングルだと思っていたんです。最初に『本好きの下剋上』のオープニングテーマである「真っ白」から録り始めて、それを録り終わった頃に、「ミニアルバムになるから」と言われて、すごく驚きました。それに「真っ白」がすごく難しい曲だったので、これ以上難易度が上がったらどうしようかと思って。でも次はどんな曲が歌えるのか、楽しみな気持ちが大きくて、「まだ歌えるんだ!」と嬉しかったです。

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