結木滉星が映画『下忍 青い影』(11月15日公開、山口義高監督)で主演を務める。幕末に暗躍する下忍の戦いを描く。寛一郎主演の『下忍 赤い影』(10月4日公開)と対になる作品で、結木は琉球武術の使い手、尚(しょう)を演じる。スーパー戦隊シリーズ『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』でパトレン1号/朝加圭一郎役を好演し注目を集めた結木。本作では本格アクションに挑戦。ラストに繰り広げられるワンカットアクションは目を見張る。アクション監修は現代忍者を名乗る『キングダム』の坂口拓が務めた。結木は1カ月にも及んだハードな撮影で新境地を見出すことができたという。【取材・撮影=木村武雄】
感情を溜め込んだ
――出演が決まった時の気持ちは?
単独での初主演は初めてでしたので、プレッシャーはありました。でも、共演者の方の力に甘えようと思っていて。それと自分が一番楽しもうと意識していました。
――撮影を振り返っていかがですか?
撮影は日光江戸村で1カ月弱おこないました。撮影スケジュールもタイトで、『赤い影』と『青い影』を並行しながら撮っていましたので、感情の切り替えが大変でした。それ以上に、尚を演じるためにエクステを1カ月付けていて、更に肌を黒くするためにファンデーションも塗って。ふんどしでのシーンでは、体全身を日焼けするわけにもいかないので、ボディ用のファンデーションを塗りました。メーク時間も含めて現場に入る前までの準備が大変でした。
――時代劇は初挑戦ということですが、苦労した点は?
衣装が初めて着るようなものばかりで、慣れるのにも時間がかかりました。重ね着をしているから見た目以上に重いですし、動きも制限されてしまいます。それも大変でしたね。
――台本を読んだときの尚の印象は?
尚は若いのに人間としての土台がしっかりしていると思いました。台本は『赤い影』から読みましたが『青い影』を読んで「なるほど!」と。『青い影』は尚の生い立ちに遡っていいて、『赤い影』の前のお話。彼が過去にどういうことがあったのか、というのが描かれていて、僕自身読んだときに「こういうことがあったから(赤い影のときの)尚はクールで落ち着いているんだな」と知ることができて。ですので、演じる上ではそのギャップ、メリハリは意識しました。
――尚は言葉数も少ないですが、その分、ため込んでいる感情は相当なものだろうと思いました。役作りではどのように?
内に込めている感情は意識しました。連れて行かれたナツへの思いや、過去にあった屈辱などを思い起こして、その感情を溜め込みました。それと、本読みをした後に、監督に「こういう感じで演じたいと思っています」と伝えたんです。そうしたら「そういう感じでいい」と言われて、役作りや演じ方について監督は親身になって協力してくれたのは心強かったです。現場でも積極的に意見交換しましたし。
――尚は最初こそ「怒り」に満ちていましたが、次第に光が見えてきますね。
そうです。尚という人物を演じることもそうですが、僕も一人の役者として共に成長していきたいと思っていました。こうして振り返ってみると、尚と一緒に成長できた気がしていて、本当に有意義な1カ月でした。
――お気に入りのシーンは?
いっぱいありますが強いて挙げるなら、過去のナツとのシーンです。尚はナツが原動力になっていたので、その感情は大事に演じていました。それと、尚が武術を教わり強くなるきっかけを与えた隆正とのシーンも大事ですね。
――『赤い影』と『青い影』の演じ分けはどうされましたか?
同じ尚でも『赤い影』の時と、『青い影』の時とではだいぶ違うので、切り替えは難しくて。それこそ午前中に『赤い影』を撮って午後は『青い影』というのもありましたから。ですので台本を読み返すなどしてなんとか切り替えていました。