真木よう子、やりがいは「感情を出せるか」過去に役から抜け出せず
INTERVIEW

真木よう子、やりがいは「感情を出せるか」過去に役から抜け出せず


記者:木村武雄

撮影:

掲載:20年02月20日

読了時間:約6分

 真木よう子が、2月22日放送のNHK・BSプレミアムの特集ドラマ『ファーストラヴ』で主演を務める。出演作を決める基準の一つに「感情が出せるか」とも語る彼女は劇中で公認心理師として「愛」と「殺意」に迫る。様々な感情が交差する本作にどのような思いで臨んだのか。過去に役に入り込みすぎて抜け出せなくなったこともある真木が切り替えるために頼ったものとは何か。【取材・撮影=木村武雄】

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役を越えた公認心理師

 ドラマは、第159回直木賞を受賞した島本理生氏の同名小説が原作。上白石萌歌が演じる女子大生の環菜は父親を殺害、警察の取り調べで「動機は見つけてください」と発言し、波紋を広げる。真木が演じる公認心理士の由紀は環菜のルポを書くため彼女と向き合うことになるが、真相に近づくにつれて明らかになっていくのは、複雑に絡み合った感情と、気づかないうちに性格が形成されていった家庭環境だった。

 環菜と由紀のやりとりを中心に繊細な女性心理を描いた。会見でプロデューサー・塩村香里氏は「丁寧に繊細に演じてもらい魅力的なものになった。非常に難しい役だった」と語り、制作統括のNHK・管原浩氏も「色んな思いが詰まっていてそれを120分でどう表現するか悩んだ。最終的にその苦労を二人に背負ってもらった」と真木と上白石に頼った。

 様々な出来事、そして感情を内に秘める環菜を表現するため上白石は喜怒哀楽を、仕草や表情などで表していった。上白石は、演じる上で真木の目に助けられたといい「真木さんとじゃなかったら生まれなかった感情がありました」と語った。

 真木自身は「目の表情」を意識しておらず、公認心理師として務めていくなかで自然と生まれたものだった。

 「なるべくゆっくり、相手に寄り添うように優しく話しかけるということを常に頭の隅に置いていました。彼女と接していくうちに、彼女を救いたい気持ちが大きくなっていって、本当の環菜さんを見たいというのが本心になっていきました。環菜さんの目を見るというのは、何も考えずにやっていました」

 真木は「患者さんの言葉が全ての答えではなくて、SOSはいろんなところに出ています。動きや目、しゃべり方を見て何がおかしいのか分析していくのが臨床心理師ということを教えられました」。上白石が言う「目」はこれらの言葉の表れとも言える。真木は役を越えて臨床心理師として向き合っていたことが伺える。

 そんな由紀自身もトラウマを抱えていた過去がある。真木は演じるにあたって「由紀はそれを乗り越えたので、過去の闇に悩むことはなかった」としながらも共感はあったという。出演を決めた理由として挙げたのは「女性でしたらどこかに共感が得られる物語」だった。「女性が救われていく、次のステップへ導いていかせるような役でしたのでぜひ挑戦してみたいと思った」とも語った。

 「闇は、誰もが抱えているものだと思う。子供の頃の自分にとっての親は必ずしもパーフェクトではなくて。家庭を持った女性なら理解してくれる人もいると思う。虐待とかそうした法に触れるものではなく、あの時の一言がまだ忘れられないとか、母親との確執は少なからず持っていて、それがこの作品でほんの少し出せるのではないかと思いました」

 環菜と黒木瞳が演じた環菜の母・昭菜との確執もこのドラマの一つの鍵を握っている。

真木よう子

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