元SUPER☆GiRLSの田中美麗が、2022年1月13日から開演する舞台『BASARA』に千手姫役として出演する。田村由美による漫画作品で『別冊少女コミック』(小学館)において、1990年9月から1998年6月まで連載。1998年にテレビアニメ化され、2012年から2019年にかけて舞台化もされている人気作品。新たに舞台化された同作に田中美麗は、千手姫を上西恵とダブルキャストで行う。インタビューでは、千手姫を演じるにあたって準備していたこと、役者として大切にしている心構え、芸能活動の原動力など、話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】
ダブルキャストへの不安
――この舞台のお話を聞いた時はどんなことを思いましたか。
私は過去に、舞台『BASARA外伝~KATANA 虹の話ー銀杏』に携わらせていただいていたので、「またやるんだ!」という客観的な目線でした。その中で出演のチャンスが舞い込み、とてもドキドキで、楽しみではありましたが、正直不安の方が大きかったです。
――なぜ不安に?
私はダブルキャストが、ほぼ初めてに近いということがひとつ。あと、ダブルキャストの良いところでは同じ作品を違う視点で見比べていただけるのですが、裏を返せばどちらが良かった、とか出てしまうと思ったからなんです。でも、いざ稽古が始まってしまうと、同じく千手姫を演じる上西恵ちゃんも元アイドルということもあって、意気投合しまして。2人で千手姫を作り上げるという感じで、ライバルといった空気感ではなくて、すごく心地よい環境なんです。
――ということは上西さんと役について話したりも?
はい、しました。千手姫は殺陣のシーンなどはないので、2人で台本と向き合ってました。それで、お互いにアドバイスをしあったり、わからないことがあったら恵ちゃんに真っ先に聞くようにしています。
――稽古の進捗はいかがですか。
久保田悠来さんが初演出をされるんですけど、過去に『BASARA』の舞台に出演されていたので、今回の舞台にも揚羽役として出演しながら演出もされるということで、すごく期待値の高い舞台になっています。その久保田さんを筆頭に和気あいあいと楽しい稽古になっていて、順調に進んでいます。先日「荒通し」という通し稽古があったのですが、私は途中まで出番がなかったので、みんなの演技を客観的に観ていたら涙が止まらなくなってしまって。感情移入してしまって、荒通し中だったんですけど、トイレに行ってひと泣きしてから、また稽古場に戻ってきました。それはダブルキャストで客観的に見れるというのは新鮮でした。
――千手姫の役作りとして心掛けていることは?
お姫様の役なので、私のもともとある破天荒な性格とはけっこう性格が違うんです。おしとやかで本当にお姫様といった雰囲気なので、千手姫をすごく意識していたら、普段から喋り口調が「~ですわ」みたいにそれっぽくなってきてしまって(笑)。私の中に千手姫が入ってきているなと感じています。
――ちなみにお姫様役ということで、事前に準備していたことは?
千手姫には四道(細貝圭さん)というフィアンセがいるんですけど、主役の更紗をはじめとする『BASARA』の登場人物にはラブストーリーの一面もあるので、そこも合わせて注目してほしいです。準備段階では原作がある作品なので田村由美さんの漫画などアニメをみて研究しました。プリンセスらしさを出す為にはディズニー作品のプリンセスが出てくるものも隅から隅までチェックさせていただきました。
――その学んだものはどんなところに反映されていると思いますか。
手の組み方、歩き方、立ち振る舞いに注目して見ていたので、そういうところに演技として出ていると思います。
役者として大切にしていることは?
――所作にも注目ですね。田中さんが役者として大切にしていることは?
ナチュラルさです。皆さんに見ていただいた時に不自然だと思われないような演技を心掛けています。出来るだけシンプルに、やりすぎないようなお芝居をしたいと思っています。この作品の時代背景は現代ではないのですが、私らしい千手姫を演じたいと思っています。
――その中で苦労しているところは?
千手姫は泣いたり、喜んだり、感情の起伏が大きい役なのですが、ちょっと気が緩むと、もともと自分がもっている破天荒な部分が出てしまうんです。そこを抑えながら千手姫を演じるというところです。
――まだまだ追求すべきところもあって。
めちゃくちゃあります。悔しいなと思うところもありますから。でも、ダブルキャストの良いところで、恵ちゃんの演技を見て良いところを勉強しています。切磋琢磨しながら頑張りたいです。
――色んな活動をされている田中さんですが、頑張れる原動力はどこにありますか。
ファンの皆さんの存在です。私はアイドルを卒業して女優の道を選んだんですけど、なかなか上手くいかなくて挫折しかけたことも何度もありました。SNSが活発な今、ファンのみんなからのメッセージやファンレターに本当に勇気づけられています。
最近も私の味方って沢山いるんだとわかりジーンとなって。本来なら私が勇気づけなければいけないのに、というもどかしさもあったのですが、私が出来ることは表に出て自分の存在をアピールしたり、その場を通じてファンのみんなと交流して、「ありがとう」を直接伝えることなのかなと思いました。恩返しが出来る年にしたいと毎回言っているんですけど、本当の意味での恩返しをしていく人生にしたいと思っています。
――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
今年で14年目なんですけど、ここまで見てきてくださった方々に、まだ田中美麗にこんな一面があるんだ、と改めて「好きだ」と思ってもらえるような活動をしていきたいです。引き続き、応援のほど宜しくおねがいします!
(おわり)