志村さんへの思いを胸に、前を向いていく思いを込めたメッセージビジュアル(C)2021「キネマの神様」製作委員会

 沢田研二が、山田洋次監督作品最新作『キネマの神様』でW主演の一人で新型コロナウイルス感染症による肺炎のため亡くなった志村けんさんの遺志を継ぎ、代役として出演することが決まった。16日発表された。沢田は「志村さんの、お気持ちを抱き締め、やり遂げる覚悟です」とコメントを寄せている。

 【写真】志村けんさん

 2020年1月に映画化を発表。3月1日にクランクインし撮影を進めていた。物語は過去パートと現在パートにわかれており、3月末に過去パートの撮影は終了。4月から現在パートの撮影に入ろうとしていた矢先に、新型コロナウイルスによる肺炎悪化のため、W主演の一人、志村けんさんが亡くなった。

 突然の訃報に、山田監督をはじめとするキャストスタッフは動揺を隠すことができなかった。程なくして、政府による緊急事態宣言が発出され、撮影は長期中断となった。

 「この作品の撮影を無事に終わらせ、作品を完成させることが、志村さんへの一番の供養になると信じ、このコロナ禍の終息が見えない中、撮影が再開できる日を想像」して、志村さんが演じる予定だったゴウのキャスティングを実施。その結果、沢田研二さんの出演が決定した。

 二人はかつて、同じ事務所の先輩後輩の関係で非常に仲が良く、『8時だョ!全員集合』『ドリフ大爆笑』などの番組、共同のラジオ番組『ジュリけん』やコントなどで多く共演していた。

 沢田は、志村さんの遺志を継ぎ、14年振りに映画出演となる。山田監督作品への参加は1982年の『男はつらいよ花も嵐も寅次郎』以来38年振りとなる。

 志村さんから沢田さんにバトンが渡り再始動する本作。「映画を映画館で安心して見ることができる日を願い、キャスト・スタッフが改めて一致団結」して、作品の完成を目指す。

 撮影再開については調整中。公開は当初予定の2020年12月を見送り、2021年で調整をしている。

 また、山田組一同が、志村さんへの思いを胸に、前を向いていく思いを込めたメッセージビジュアルを作成した。

 沢田研二ほかコメントは以下の通り。

沢田研二

 志村さんの、お気持ちを抱き締め、やり遂げる覚悟です。

イザワオフィス代表取締役社長井澤健

 長年親交のあった沢田研二さんがご出演されると聞き、志村けんも大変喜んでいると思います。作品の完成を心待ちにしております。

房俊介(ふさしゅんすけ)プロデューサー

 人生のおかしさや哀しみ、夢や挫折を背負い、繊細な狂気をまとった主人公のゴウ。

 志村さんは、この役を演じる事をとても楽しみにしておられました。残念でなりません。心からご冥福をお祈り致します。

 兼ねてから志村さんと縁が深い沢田研二さんは、誰よりも志村さんの想いを抱きしめ、取り組んでいただけると思います。

 かつて『男はつらいよ』でご一緒した山田監督は「志村さんとは違うゴウちゃん。

 沢田研二さんならば、別なゴウちゃんの魅力を引き出してくれると確信しています」と仰っております。

 周りを包み込む暖かい色気、唯一無二の感性を持ち合わせた沢田研二さんと、新たな『キネマの神様』を描いていきたいと思います。

作品情報

キネマの神様
監督:山田洋次
脚本:山田洋次朝原雄三
原作:原田マハ「キネマの神様」(文春文庫刊)
出演:沢田研二菅田将暉永野芽郁宮本信子
配給:松竹
撮影時期:調整中
劇場公開:2021年公開予定

◎…物語

 無類のギャンブル好きなゴウ(沢田研二)は、妻・淑子(宮本信子)や家族に見放されたダメ親父。

 そんな彼にも、たった一つだけ愛してやまないものがあった。それは【映画】――。行きつけの名画座の館主・テラシンとゴウは、かつて映画の撮影所で働く仲間だった。若き日のゴウ(菅田将暉)たちは、時代を代表する名監督やスター俳優に囲まれながら夢を追い求め、青春を駆け抜けていた。しかしゴウとテラシンがともに食堂の娘(永野芽郁)へ恋心を抱き、運命の歯車は狂い始める…。

 時代を越えて繰り広げられる、愛と友情の物語。若き日のゴウが信じ続けた“映画の神様”が、時を越えてひとつの家族に奇跡をもたらす――。

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