会見に臨んだ、左から鶴見辰吾、田畑智子、森田剛、吉岡里帆、根岸季衣

 森田剛、吉岡里帆、田畑智子、根岸季衣、鶴見辰吾が28日、都内で、舞台『PARCO PRODUCE 2020 「FORTUNE(フォーチュン)」』(2020年1月14日~2月2日、東京芸術劇場プレイハウス)制作会見に臨んだ。主演を務める森田は世界に先駆けて日本で上演されることに「日本が一番良かったと思ってもらえるようにしたい」と意気込んだ。なおこの日は、劇作家のサイモン・スティーヴンス、演出のショーン・ホームズ、美術・衣装のポール・ウィルス、翻訳の広田敦郎も出席した。

 『ポルノグラフィー』『ハーパー・リーガン』『夜中に犬に起こった奇妙な事件』など、多くの戯曲を生み出した、イギリス演劇界を率引する劇作家・サイモン・スティーヴンスによる新作。悪魔と契約し、欲望を叶え続けすべてを手に入れた男が、やがて闇へとかけ堕ちていき最期にたどりつく姿を描く。

 演出はドンマー・ウエアハウスやオールド・ヴィック・シアター、ロイヤル・コート・シアターといった英国有数の劇場で数々の作品を手掛け、2009年から約10年間、英国を代表する劇場であるリリック・シアターの芸術監督を務めショーン・ホームズ。英国に先駆け、日本で世界初上演する。

 全てを手に入れるために悪魔と「契約」を結び、闇へと堕ちていく二面性を持った主人公・フォーチュンを演じる森田剛は、サイモン作品としては過去に『夜中に犬に起こった奇妙な事件』に出演している。当時を思い起こし「すごく苦労した記憶があって、そこに飛び込むのは勇気がいることで…」としながらも、台本を読んだときに「僕にとってもチャレンジ、刺激のある舞台なのでぜひやりたいと思いました」と振り返り、「日本初上演なので、日本が一番良かったと思ってもらえるようにしたい」と語った。

 フォーチュンが想いを寄せる、素直でまっすぐな女性・マギーを演じる吉岡里帆は「10代の時に初めてこの仕事をやりたいと明確に思ったのが小劇場の学生演劇を見た時で、その時から舞台の虜、戯曲の虜」と回顧。ここ最近は映像作品への出演が続くが、以前から舞台の出演を熱望していたようで「素晴らしい舞台に出会えて嬉しい。みなさんと真っすぐに向き合いたい」と感無量の様子。

 フォーチュンと契約を交わす悪魔・ルーシーを演じるのは田畑智子。「今までに演じたことがない役で不安もありますが、期待とワクワクもある。今回は私自身にとっても挑戦。今までとは違う面を見せられたら」。稽古は2日終わったばかりでまだ手探り状態ではあるものの「稽古しながらたくさんのキーワードを得て作り上げていきたい」と難役への意気込みを述べた。

 一方の根岸は「すごく面白くてシェイクスピアを生んだ国だなと思いました」としつつも、体全体を使って物語を表現することもあって「英国のクリエイターはタフ。いまもヘトヘト」と舌を巻いた。

 鶴見も「現代的で共感もあって面白い。俳優というのは常にチャレンジをし続けていく仕事。それは留まることがなくて、一生、新しいものを見つけてどう表現していくか。そのふさわしい機会を与えられた」と本作に刺激を受けていることを明かした。

 「本作は自身が手掛けた作品のなかでも大作になる」と語ったサイモンは「芸術や演劇は想像力を使って今までない所に向かっていくのが喜び。最大の共感を生む演劇を恐れることなく出来たらこれほど素晴らしい芸術形態はない。アーティストとしてはいかに思い切ってできるかが大切」。

 「二つの国の真ん中のものを立ち上げている感じがある」と語ったショーンも「現代劇でありながらシェイクスピアの比喩的な、そこの頃に立ち返るような戯曲。そういう世界だからこそ我々が最善をつかさないといけない。全員が勇気をもって思いっきりその世界を探れるような環境を作るのが演出家をもって思い切ってその世界を探っていくことが演出家として大事な仕事」と語った。

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