『パーフェクト・レボリューション』完成披露上映の舞台挨拶に出席した出演者と松本准平監督、熊篠慶彦氏と峯田和伸

『パーフェクト・レボリューション』完成披露上映の舞台挨拶に出席した出演者と松本准平監督、熊篠慶彦氏と峯田和伸

 銀杏BOYZの峯田和伸、リリー・フランキーらが7日、東京・TOHOシネマズ新宿スクリーン9でおこなわれた映画『パーフェクト・レボリューション』(29日公開)の完成披露上映の舞台挨拶に出席。サプライズで登場した峯田は、初めて取り組んだナレーションについて「初めてで面白かったです。リリーさんと仕事できるのは嬉しい」とコメント。また、今作では主演を務めるリリー・フランキーが映画の主題歌として銀杏BOYZの「BABY BABY」が使用できるよう直談判したという。その経緯について、峯田は今年の1月にメールをもらい、「お願いします」と快諾したと明かした。リリー・フランキーは、あの曲のエネルギーで助けてもらうしかないと考えたとその想いを語った。

 この映画は、障害者の性を訴え続けている活動家・熊篠慶彦氏の実話に基づく物語を松本准平監督が力強くポップに作品化したもの。リリー・フランキー演じる、身体障害を抱えた主人公と、女優の清野菜名演じる、人格障害を持つヒロインを中心に描かれるラブストーリーで、主題歌は銀杏BOYZの「BABY BABY」が採用されている。楽曲は劇中の重要な場面で流れている。

 舞台挨拶には、峯田、リリー・フランキー、清野、熊篠、松本監督に加え、出演者である小池栄子も登壇した。

 リリー・フランキーは「10年前に出会って、障害のある人の性について聞きました。当たり前の事なんですけど、こうやって取材して頂く事で熊篠君の活動が知られれば」とした。役作りに関しては「元々知っている人なので、そういう意味では苦労はなかったです。ただ、電動車椅子の操作は難しくて、何度かレッスンを受けました」と語り、「車の免許がないので1台欲しい。家から銀座まで10分でいけますよ(笑)」と冗談も交えた。撮影中はずっと乗っていたという。

 清野は「台本と一緒に監督にお手紙を頂いて、嬉しかったです。台本を読みながら頭の中で役が動いていたので、凄く楽しかった」と監督から手紙をもらったことを明かすと、リリー・フランキーは「俺はもらってない」とツッコむ場面も。

 さらに、小池が「基本的に主人公と家族に寄り添う役なんですけど、楽しくてしょうがなかったです。2人の愛が育まれる様子を現場で見るのが楽しくて」という言及に対して、リリー・フランキーは、自身が介護されるシーンを振り返り「小池栄子に髪を洗ってもらえるなんて、男として上がりですよ」と笑顔を見せた。

 また、リリー・フランキーの演技に関して、モデルとなった熊篠氏本人が「遠巻きに見たら完全に脳性麻痺のおっさんでした。凄かったです。形態模写というか」と話すと、リリー・フランキーは「プロの方に言われると嬉しいです」と絶妙な返しを見せ、「10年前からの知り合いだけど、初めて観察する中で『こういうところに不便があるんだな』と気付きました。入り口にスロープがあっても、トイレがバリアフリーじゃないから食べたり飲んだりする事を控えるとか…」と実際に演じたことで、気付いた具体的な不便さを語った。

 松本監督は「お会いしたときに驚きました。あまり喋れない方なのかなと思ったら、凄くペラペラ話しますし」と熊篠氏の第一印象について話すと、リリー・フランキーが「脳性麻痺という名前が誤解を招きやすい。知的障害や言語障害を伴うんじゃないか、と。全部が全部そうじゃない。度合いが皆違いますからね」と念を押した。

峯田和伸

 ここで、峯田がサプライズゲストとして登場し、出演者全員に花束をプレゼントした。それから「本日はおめでとうございます」と一言コメント。

 「BABY BABY」が主題歌に抜擢された経緯について、峯田は「今年の1月にリリーさんから『今作っている映画に「BABY BABY」を使いたいんだけど、どうでしょうか?』というメールが来まして、『お願いします』と」と直接やり取りがあったことを明かした。

 するとリリー・フランキーが「劇中に『この音楽みたいに世界を変えなきゃいけない』というシーンがあって、その会話の内容が『BABY BABY』の歌詞の内容と似ているんですよ。この曲は峯田君にとって凄く大切な曲だけど、あの曲のエネルギーで助けてもらうしかない、と色々考えてメールを送ったら7秒くらいで返事が来た」と述べた。

 楽曲提供が縁でオファーされたという、ナレーションについて峯田は「初めてで面白かったです。リリーさんと仕事できるのは嬉しい。スタジオに行ってもいなかったけどね。今日お会いできて良かったです」と語った。

 舞台挨拶の最後に映画について、清野は「内容は重くなくて、馬鹿げているシーンもあるので楽しんでください」と呼びかけた。リリー・フランキーは「障害を持った主人公の映画がゲラゲラ笑えたりするものが無かった事が不思議。それを『不謹慎だ』という人は、それこそ一番の差別です。一本の映画として楽しんで頂きたいと思います」とメッセージを送った。【取材・撮影=小池直也】

Photos

記事タグ