INTERVIEW

多屋来夢

自分に素直に。リアルドールの素顔
スタイル本に詰め込んだ「私」


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:20年12月02日

読了時間:約4分

(C)KADOKAWA (C)TAYA RAIMU (C)NICHT

 言葉数は少ないがしっとりとした語り口で愛嬌はある。少女がそのまま大きくなったような印象だ。多屋来夢。23歳。小学生の頃にスカウトされ、芸能界入り。ファッション誌などでも活躍。人形のような容姿はリアルドールとも呼ばれ、憧れの眼差しを一身に受ける。彼女の魅力は透明感のあるピュアさだ。

 2日に発売される『多屋来夢1st スタイルブック RAIMU』(KADOKAWA)にはそうした彼女の魅力が全てありのままに掲載されている。もともとスタイルブックは夢だった。念願叶い「嬉しい」とほくそ笑む。

 「撮影している時から完成が超楽しみでした。これまでは自分の好きな服やこういうのを撮りたいということは、あまり言ってこなかったから、それを自分の本で表現できるのは嬉しいです。皆があまりやらない独特の雰囲気がある写真も載っているし、オタク部屋も見たことがないと思う。そういう珍しいものが沢山載っています。本当に自分の全部が載っている本です」

 夢だからと言って気負いはしない。「私のしたいこと、載せたいことを伝えて、やってもらいました」。撮影もカメラマンにお任せだ。「可愛く撮ってもらえたら何でもいいかなって感じ」。

 なかでも、注目して欲しいのは「文字」だという。「SNSとかも文字をまったく打たなくて写真だけを載せていたので、最後の長いインタビューとかは今まで言ってこなかったこと、出していなかったことを言っているので見て欲しい」

 自分をさらけ出すことについての抵抗は? と聞けば「ないです」ときっぱり。

 趣味はアニメやゲーム、人形。本作にもそれは掲載されている。「ゲームしている所もあるし、オタク部屋や人形もあるし、自分の好きなものが入っています」。

多屋来夢

普段着られない衣装を着た

 来夢が人形を好きになったきっかけは初音ミクのフィギュアだった。可愛いと思い、そこから買い集めていった。

 「人形には自分が普段着れない服とかを着せたい感じです」

 ある種の願望や理想形を人形に求めているようにも感じる。しかし、本作では自らも着た。3カラーのチャイナ服や、ロマンチックなガーリースタイルにエッジを利かせたネオ・ガーリーなスタイリング、ロリータ、ゴシック、メイド、スクールガールなどだ。

 「自分も一緒にやりたいなって」

 制服やメイド服は自身にとって「可愛いアイテム」。異性なら歪んだ見方もできそうだが、本人も「私もあります。だから普段じゃ着れないし。下着やスクール水着も着せているんですよ。スクール水着にランドセルを背負わせている写真もあって。自分じゃ出来ない事もやって。そういう姿は可愛いと思います」と包み隠さない。

(C)KADOKAWA (C)TAYA RAIMU (C)NICHT

今は充実している

 小学生の頃にスカウトされ、芸能界入り。モデルとして活動。しかし、本人には仕事という意識はなかった。「自分でこの仕事をやっているという感覚はあまりなかったです」

 転機になったのは高校生の頃だ。そのまま卒業して「学生」の肩書が消え、仕事1本になった時、不安が襲った。

 「めっちゃ不安でした。仕事がこなかったらどうしようと。親にも大丈夫? って言われてましたから」

 「きっと仕事は辞めていたと思います」大学に進むつもりだった。

 そんな彼女の背中を押したのは音楽ライターで翻訳家、そして実の叔母の多屋澄礼さん。澄礼さんの奨めで受けたオーディションで『ミスiD 2015』に選出された。

 「ミスIDがきっかけで仕事をし始めた感覚になっています」

 今は、「めっちゃいいです。辞めないで良かったと思います」と充実している。

 過去には女優業にも意欲を示したが、「モデル以外何ができるのか分からない。演技で喋ったりするのが無理だから」

木村武雄

多屋来夢

 そう気づいたのは「わりと最近です」。きっかけは取材だったという。「モデルをやってなかったら何やっていたと質問をされた時に、何もできないと思ったから。バイトもしたことなかったし」

 しかし、彼女には喋らずとも絵になる魅力がある。若くしてフォルムで表現できるのは生まれ持った天性とも言える。

 「そうですか? 嬉しい。喋らない仕事をたくさんしたい。この仕事は自分に合っているかなと思います」

 照れくさそうに笑う。そんな来夢にとって仕事とは。

 「やりたいと思うことなのかな。今はやりたい事が出来ているから仕事と言っていいのかなと思います。自分の好きな物をやらせていることが仕事になっているから嬉しいです。これからもそういうことを仕事にできたら」

 ありのままに進む。自分が好きなことを表現する。それが彼女の魅力でもある。本作ではそうした彼女の感性に出会える。

【取材・撮影=木村武雄】

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